規模が大き過ぎて脳がバグる!? 古代日本・東北支配のため作られた国内最大級の城柵「志波城」とは? バイクで往く城跡巡り

高橋克彦の歴史小説「火怨(かえん)」では、古代蝦夷(えみし)の将、阿弖流為(アテルイ)の熱い生き様が描かれています。朝廷側の武将、坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)とは敵同士として知略を巡らせ、命を削りあったライバルであり、2人の間には友情さえもあったのではないかと語り継がれています。朝廷の権力の象徴である「志波城(しわじょう)」の跡を訪れました。

山城や石垣より遥か昔、蝦夷との戦いで造営された大規模な城柵

 今回バイクで訪れた城跡は、岩手県盛岡市に一部復元・整備されている古代城柵「志波城」です。平安時代に桓武天皇(かんむてんのう)の命を受けた征夷大将軍、坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)によって造営されたと考えられています。

綺麗に整備された「志波城跡」を訪れた。バイクは案内所前の駐車場に停めて散策を開始
綺麗に整備された「志波城跡」を訪れた。バイクは案内所前の駐車場に停めて散策を開始

「志波城」について理解を深めるには、大和朝廷と蝦夷の戦いに触れずにはいられません。古代~中世の日本では、大和朝廷の支配に抵抗した東北地方の住人を、差別的な意味を込めて「蝦夷(えみし)」と呼んでいました。

 高橋克彦の歴史小説「火怨(かえん)」では、古代蝦夷の将、阿弖流為(アテルイ)の熱い生き様が描かれています。坂上田村麻呂とは敵同士として知略を巡らせ、命を削りあったライバルであり、2人の間には友情さえもあったのではないかと語り継がれています。

 早速、「志和城古代公園」の案内所にある駐車場にバイクを停めて館内を見学します。ここは写真撮影も自由だそうです。

 館内では戦いやその後の平定、城の歴史が詳しく解説されていました。教科書にも出てくる「大化の改新」(654年)は日本初の政治改革で、天皇中心の中央集権を目指し、律令制度として全国を支配し、税金を納めさせようとしました。

 しかし蝦夷はそれに従わず、独自の文化様式を守りながら生活していました。8~9世紀初頭には桓武天皇の元で蝦夷討伐の動きが活発化し、岩手県南地域で大きな戦闘が3度勃発。789年の巣伏村(すぶせむら)の戦いではアテルイが政府軍に大勝しています。

 朝廷側にも強力な武人がいました。それが征夷大将軍、坂上田村麻呂です。792年に事態は大きく転換します。志和村のリーダー、阿奴志己(アヌシキ)が朝廷に帰属を願い出るのです。アテルイを主人公とした歴史小説からすると、同郷の蝦夷の重要人物の裏切りであり、後のアテルイ処刑の起因ともなる大きな出来事なのですが、案内所の解説ムービーは、歴史の見方を変えてくれました。

 この城は朝廷の権威の象徴でもありますが、内部には多くの蝦夷が住み、朝廷側と助け合いながら復興のために働いたといいます。近年はエジプトのピラミッドも奴隷に作らせたのではなく、安定した衣食を与えられた者たちが平和的に働いていたという見解がされています。

 蝦夷も「朝廷と共存して東北地方を支え、復興させていった。時代の先読みをしたのがアヌシキだったのではないか」と解説していました。

 もちろん歴史は勝者が残すものであり、真実はわかりませんが、日本という国の有り様は、確実に古代の歴史から繋がっているのだと思うと感慨深いものがあります。

復元された外郭南門と、その先に真っ直ぐに伸びる南大路。一般的な山城や石垣の城とはまるでベツモノ。その規模感に圧倒される
復元された外郭南門と、その先に真っ直ぐに伸びる南大路。一般的な山城や石垣の城とはまるでベツモノ。その規模感に圧倒される

 さて、復元された城内を歩いてみることにします。840m四方の築地塀(ついじべい)、930m四方の土塁による二重区画という広大な敷地の中に、252mの長さを誇る築地塀や櫓、門などが見事です。

 この大規模な城柵を設けた坂上田村麻呂の力量ももちろん凄いのですが、現代人がこの広大な土地を管理し、完璧なまでに復元したことにも驚きました。

 実は「志波城」の正確な位置は不明だったそうですが、1976~1977年に東北自動車道建設時の発掘調査で判明したそうです。その後、1984年に国の史跡に指定されています。

 訪れたのは平日の午後、誰もいない静かな敷地内を歩いていると、古代の風に吹かれているような気分に浸ります。アテルイは802年に降伏しました。「志波城」は翌年の803年に建てられたそうです。

 良きライバルでもあった坂上田村麻呂は朝廷にアテルイの助命を願い出るも叶わず、残念ながら打首となっています。この城はアテルイ側の視点で見れば平和の象徴でもあるけれど、敗北の証でもあります。少し複雑な気持ちで「志和城跡」をあとにしました。

【画像】規模感がハンパない!? 歴史小説にも描かれた古代日本を知ることができる「志和城跡」を見る(20枚)

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