ホンダの原付バイクに「R」の称号!? 「モンキーR」が魅せるレーシングスピリッツの本気度とは
1987年に登場したホンダのスポーティな50ccレジャーバイク「モンキーR」は、ご存知「モンキー」のスポーツバリエーションモデルです。その中身はツインチューブフレームにモノショック、ディスクブレーキなどミニレーサー的な「R」仕様でした。
「動物名シリーズ」の中でも異色のスポーツモデル!?
ホンダの50ccレジャーバイク「モンキー」は1967年に発売されて以来、現在の「モンキー125」までその名が続くロングセラーの人気モデルです。レジャーバイクと呼ばれるカテゴリーの中でも、小柄で可愛いスタイルが幅広いユーザー層に好評です。

この「モンキー」シリーズの派生モデルとして、1987年に追加されたのがスポーツバリエーションモデルの「モンキーR」です。
「モンキーR」が誕生した1987年は、日本国内でバイクレース人気が沸騰していました。3月には20年ぶりに世界GPが鈴鹿サーキットで開催されますが、その直前のタイミングで「モンキーR」は発売されました。
7月の鈴鹿8時間耐久ロードレースには10万人を超える観客が来場するほど、バイクのロードレースは盛り上がっていました(4輪のF1も、この年に鈴鹿で初開催)。
そして「VFR750R・RC30」が発売されたのもこの年で、いわば猫も杓子も「モンキー」も、レースに夢中な1987年だったのです。
モデル名にレーシングを意味する「R」が加えられ、その名の通りのロードスポーツモデルに仕上げられています。世界GPでチャンピオンを獲得したファクトリーマシン「NSR500」によく似たツインチューブ形状のフレームを新設計しています(素材はスチール製)。
フロントは本格的なテレスコピックサスペンション、リアには角型断面のスイングアーム+モノショックサスペンションを装備しています。
専用の仕様は他にもあります。ハブとスポークを一体のアルミキャスト製にした軽量なコムキャストホイールをセミレーシングタイヤ(チューブレス)と組み合わせ、さらに「モンキー」シリーズ初となるフロントディスクブレーキも装備していました。
エンジンは同じ空冷4ストローク単気筒SOHCですが、最高出力は「モンキー」の3.1ps/7500rpmに対して4.5ps/8500rpmと、1.4psアップした「R」仕様です。マフラーはバンク角も余裕で確保できるミドル通しのアップタイプでした。
さらにアルミ製バックステップにローポジションハンドルで、サーキット走行もイケるライディングフォームにも対応していました。

このように、走りを意識した装備が充実の「モンキーR」でしたが、半年後には2ストロークエンジンの原付レーサーレプリカ「NSR50」がデビューし、ミニバイクレースの座を譲ります。
そうして翌年には、アップハンドルでゆったりしたポジションの「モンキーRT」(1988年型)が追加されました。アップタイプのフロントフェンダーやリアキャリアを装備し、ある意味で新しいスタイルのスポーツツーリング仕様とも言えます。
ホンダ「モンキーR」(1987年型)の当時の販売価格は15万9000円です。
■ホンダ「MONKEY R」(1987年型)主要諸元
エンジン種類:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ
総排気量:49cc
最高出力:4.5PS/8500rpm
最大トルク:0.42kg-m/6500rpm
全長×全幅×全高:1510×610×800mm
始動方式:キック式
燃料タンク容量:7L
車両重量:73kg
フレーム形式:バックボーン式・ツインチューブ
タイヤサイズ(F):3.50-10-2PR
タイヤサイズ(R):3.50-10-4PR
【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)
Writer: 柴田直行
カメラマン。80年代のブームに乗じてバイク雑誌業界へ。前半の20年はモトクロス専門誌「ダートクール」を立ち上げアメリカでレースを撮影。後半の20年は多数のバイクメディアでインプレからツーリング、カスタムまでバイクライフ全般を撮影。休日は愛車のホンダ「GB350」でのんびりライディングを楽しむ。日本レース写真家協会会員








