枯渇!? バイク整備士資格者 神奈川県整備振興会が異例の追加募集 東京は定員「増」
整備士不足が深刻です。現役世代の大量退職や働き方改革で、人材をうまく確保できないバイク業界からは「対応できるのは数週間後。今すぐ修理は難しい」というバイクショップの悲鳴が聞こえます。人材の枯渇が著しい首都圏では、新しい整備士育成の対応が求められています。
整備士大量退職時代、人材育成には実務経験必要で「焦り」
神奈川県自動車整備振興会は、8月に実施した2025年度の自動車整備士の資格取得講習について、バイク三級整備士(三級2輪整備士)講習の二次募集を開始しました。募集期間は2025年9月15日まで。追加募集定員は若干名です。

神奈川振興会は8月の一次募集に定員25人を設定・募集を行い、1日目で定員に達しました。
一方、整備士制度を担当する国土交通省整備課は、2024年度に講習制度を見直す通達を出しました。
バイク三級整備士の技術講習は講師1人に対して25人。実技に必要なバイク1台に対して10人の定員を定めていますが、定員に達しても、なお応募がある場合に定員枠を増やすして、二次募集ができる対応を2024年度に創設しました。
神奈川県振興会は、この制度を利用して二次募集に踏み切りました。同振興課が整備士講習会でこうした対応を行うのははじめてのことです。
自動車の整備は車検のあるバイクを含めて、二級整備士、またはその指導を受ける三級整備士が行うことが基本です。バイクブームのたびに拡大した業界では、整備の信頼性を高めるために有資格者の増員を進めてきましたが、その中でも高齢化が進んでいます。
減少する資格者を補うためには新しい整備士を要請する必要がありますが、入門編である三級整備士の受験資格を得るためには、1年の実務経験が必要。独立整備を行うことができる二級整備士になるためには、三級資格取得後の実務経験が3年以上必要です。
資格取得の前提となる講習会は、年に1回しか開催されません。
これまでは工業系の高等学校や高等専門学校での育成で、三級整備士の育成を図っていました。ただ、最近の整備業界に対する若手人材の求職意欲は旺盛とは言えず、特にバイク業界では、人手不足を第二新卒など他業界から補っているのが現状です。
そのため資格者を自社内育成する方向にあり、各地方の振興会が実施する整備士講習の応募者が、首都圏では増加しています。
東京都振興会でも、定員枠を広げて対応
神奈川振興会に先駆けて募集を行った東京都自動車整備振興会は、2024年度は24人だった「三級2輪」の定員を、2025年は36人と大幅に増員しました。募集は9月5日に締め切られ、定員には満たなかったものの前年を上回る27人が応募しました。
「応募初日に早くから並んだ人がいましたが、それ以後の勢いがなかった」と、担当者は話します。
都道府県に設置された自動車整備振興会が開催する整備士講習の受講希望者は、開業時間に窓口を訪れて即日、受講費用を納付することが前提になっています。その募集期間は6日間。他の資格取得講習と比較して短く、社会人にとって応募のハードルは高く設定されています。
そんな中でも、新たに整備士を目指す人たちの奮闘が続いています。
整備資格制度を担当する国土交通省自動車整備課は、2026年後半から整備士資格を再編。実務経験期間も短縮して、整備士能力を確保しながら、より取得しやすい新たな制度をスタートさせます。
座学と実習を組み合わせた整備士講習で受講定員を増やすことは、新たな講師の手当に加えて、実習で使う車両の増車などの整備も必要で、簡単ではありません。
そんな状況の中で行われた募集定員の拡大は、振興会にも整備士不足の危機感が共有されていることを示しているようです。
Writer: 中島みなみ
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。





