デジタル化だけじゃない!! バイクの「メーター」に見る多様な変遷 アナログ式は見た目重視に!?

昔のバイクのメーターは、文字盤の上を針が上下する「アナログ式」でしたが、いまどきは液晶パネルの「デジタル式」が主流……とは言い切れません。はたしてバイクのメーターは、どのように進化してきたのでしょうか?

いまどきのデジタルメーターは、表示が豊富

 いまどきのバイクのメーターは、液晶パネルのデジタル式が主流になりつつあります。スピードやエンジン回転数はもちろん、燃料計やギアポジションの表示も「普通」です。

ヤマハ「MT-125」のメーター。視認性の良い反転液晶にバーグラフのタコメーターと、大きなデジタル表示のスピードメーター。ギアポジションや燃料計も見やすい
ヤマハ「MT-125」のメーター。視認性の良い反転液晶にバーグラフのタコメーターと、大きなデジタル表示のスピードメーター。ギアポジションや燃料計も見やすい

 しかし昔のバイクはこんなに多彩な表示は無く、機械の針が上下するシンプルなメーターでした。

 そこでスポーツバイクにおけるメーターの変遷を、時代を追って見てみましょう。

スポーツバイクの黎明期に「タコメーター」が登場

 日本では1950年代頃に、「実用車」をベースに「スポーツバイク」が登場してきましたが、当時はアナログ式のスピードメーターがヘッドライトと共通のケースにひとつだけ装備するのが主流でした。

 しかしホンダが1960年に本格スポーツの「CB72」を発売したころから様相が変わってきます。従来と同じライトケース一体のメーターながら、エンジン回転数を表示する「タコメーター」が追加されたのです。

ホンダ「CB72」のメーターはスピードとタコの針が逆回転。ライトと一体の小さなメーターケースに収めるための工夫と思われる。縦型のオドメーターも珍しい
ホンダ「CB72」のメーターはスピードとタコの針が逆回転。ライトと一体の小さなメーターケースに収めるための工夫と思われる。縦型のオドメーターも珍しい

 そして1960年代後半~70年代前半に、ホンダの「ドリームCB750FOUR」やカワサキの「Z1」こと「900 Super4」などの大排気量スポーツの登場とともに、スピードメーターとタコメーターが独立した2眼メーターが増えてきました。

 ちなみに「Z1」や「Z2」は、夜間にライトを点けるとメーターの文字盤が後ろから透けて光る透過照明式のメーターを採用しており、当時のビッグバイクならではの高級装備でした。

機能とルックスを競った1980年代

 日本は1980年代初頭に空前のバイクブームを迎え、高性能化を競ってエンジンの水冷化が進んだり、充実した装備でライバルに差をつけました。そのためエンジンの水温計や、燃料計を装備するメーターが増えてきました。他にもバッテリーの電圧計や電流計などを装備する車両もありましたが、当時はまだアナログメーターが主流でした。

スズキ「RG250Γ(ガンマ)」のメーターは、パネルに対して防振構造の取り付け。タコメーターは3000回転以下の表示が無い
スズキ「RG250Γ(ガンマ)」のメーターは、パネルに対して防振構造の取り付け。タコメーターは3000回転以下の表示が無い

 バイクブームの「スペック競争」は、レーサーレプリカブームに移行していきます。エンジンやフレームはもちろん、スタイルや装備も「どれだけレーシングに似ているか」が勝負で、メーターも例外ではありません。

 レーシングマシンはスピードメーターを装備せず、エンジン回転数を知るためのタコメーターが主体です。また走行中の振動を緩和するため、メーターはスポンジ製のメーターパネルにマウントするなどしていました。

 そこで市販のレーサーレプリカは、中央に大きなタコメーターを備え、その横にタコメーターより小径のスピードメーターを配置するのがトレンドになります。なかにはタコメーターがスポンジマウント(風)で、小径のスピードメーターや各種インジケーターランプは、敢えて別モノというか後付け感のあるデザインだったり、実際にレース参戦のためにスピードメーターとインジケーター部分だけを取り外せる構造にした車両もありました。

徐々に液晶ディスプレイが増加

 1990年代の前半は、メーターにおいてはあまり変化がありませんでした。しかしビッグネイキッドや大排気量スーパースポーツの台頭で、1990年代後半には徐々に変化がありました。

ヤマハ「YZF-R1」(1998年)は、大径のアナログ式タコメーターに、スピードをデジタル表示する大型液晶パネルをセットする
ヤマハ「YZF-R1」(1998年)は、大径のアナログ式タコメーターに、スピードをデジタル表示する大型液晶パネルをセットする

 まずネイキッド系は2眼メーターが主流ですが、スピードメーターに内蔵するオドメーターやトリップメーターが、従来の機械式から液晶パネルのデジタル表示に徐々に移行していきました。

 そして1998年に登場したヤマハの大排気量スーパースポーツの「YZF-R1」では、アナログ式の大径のタコメーターと、スピードをデジタル表示する大型の液晶パネルを組み合わせました。

 その後しばらくは、この「アナログ式タコメーター+液晶パネル」が、スーパースポーツ系のスタンダードになった感があります。

21世紀のメーター事情は?

 1990年代後半から2010年頃までは、メーターの見た目に大きな変化がないように感じます。全般的なトレンドと言うより、バイクのジャンルやコンセプトに合わせた仕様(アナログ式、アナログ回転計+液晶パネル、フルデジタルなど)になったのではないでしょうか。

日本メーカーでは2015年にヤマハ「YZF-R1」が初めてフルカラーTFTディスプレイを採用。各種電子デバイスや電子制御式サスペンションのセッティングもディスプレイ上で行える
日本メーカーでは2015年にヤマハ「YZF-R1」が初めてフルカラーTFTディスプレイを採用。各種電子デバイスや電子制御式サスペンションのセッティングもディスプレイ上で行える

 とはいえ進化が止まったワケではありません。

 たとえば液晶パネルは(アナログ式メーターに内蔵する小振りな液晶パネルも含め)表示項目が断然増えました。平均燃費や瞬間燃費、残った燃料で走れる距離など、いわゆるドライブコンピューター的な機能が増加していますが、コレは燃料供給方式がキャブレターからFI(電子式燃料噴射)に変わったことで、燃料の消費を正確に計測(計算)できるようになったためです。

 他にも、液晶パネルに「ギアポジション(現在使っているギアの段数)」の表示も増えました。じつはギアポジション表示は1980年代頃のスズキ車の多くも装備していましたが、当時は「回転数とスピードで何速に入っているか判断できないとダメ!」みたいな風潮もありました。

 しかし現在はロードレースのトップカテゴリーのMotoGPマシンのメーターも、ギアポジションを分かりやすく大きく表示しているくらいなので、大切な項目と言えます。また普段乗りでも一目で何速か分かるのはライディングテクニックの観点でもエコロジーの観点でも便利な機能と言えます。

 そして2010年代の中頃から「フルカラーTFTディスプレイ」が増加しています。単純にカラー表示というだけでなく、走行時の画面パターン(何種か選べる)や、各種の設定画面に切り替えることが可能です。

 さらにはスマートフォンとの連携機能(コネクテッド)や、専用アプリによるミラーリング(スマホの画面をメーターの画面に映し出す)で、ナビゲーション画面などを表示できるモデルもあります。

 またハーレーダビッドソンなど外国車の中には、スマホ同様にメーターパネルを指先でタッチ操作できるバイクもあります。

 このように、直近10年くらいでバイクのメーターやそれに付随する機能は一気に電子化が進んでいます。とはいえ敢えてアナログ式のメーターを装備するレトロなスタイルのバイクも少なくありません。またフルカラーTFTディスプレイで、針が上下するアナログ式メーターを表示する凝ったメーターも存在します。

 走行中に愛車の外観を見ることはできませんが、メーターは常にライダーの目に映っているだけに、(もちろん情報は大切ですが)デザインも重要です。これから先、どんなメーターが登場するのかも気になるところです。

【画像】進化の過程がオモシロイ!! 昔から現代にかけて多様に変化してきたバイクのメーターを画像で見る(24枚)

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Writer: 伊藤康司

二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。

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