ベツモノ!? シリーズ初のモデルチェンジに驚き BMW Motorradのクロスオーバーモデル「F 900 XR」とは

輸入バイクとしては初となる首都高のパトロール車両に採用されているBMW Motorrad「F 900 XR」は、排気量894ccの並列2気筒エンジンを搭載するクロスオーバーモデルです。最新モデルである2025年型に試乗しました。

「F」シリーズのポジションの変化

 2006年からBMWモトラッドが発売を開始したパラレルツインエンジンを搭載する「F」シリーズは、当初はエントリーモデルという位置づけでした。とはいえ、2017年から単気筒車の「G 310」シリーズがラインナップに加わったことで、役割は中軸を担うベーシックモデルに変化しています。

BMW Motorrad「F 900 XR」(2025年型)に試乗する筆者(中村友彦)。カラー:ライト・ホワイト/レーシング・ブルー・メタリック/レーシング・レッド(エンジンスポイラー標準装備) ※撮影車両は純正アクセサリーのソフトケース装着車
BMW Motorrad「F 900 XR」(2025年型)に試乗する筆者(中村友彦)。カラー:ライト・ホワイト/レーシング・ブルー・メタリック/レーシング・レッド(エンジンスポイラー標準装備) ※撮影車両は純正アクセサリーのソフトケース装着車

 もっとも、近年でも初めてのBMWバイクに「F」シリーズを選ぶ人は少なくないようですし、その一方で、2006年のデビュー当初からフラットツイン(水平対向2気筒/ボクサーツイン)エンジンの「R」シリーズや、当時の並列4気筒車である「K」や「S」シリーズとは一線を画する、ミドルパラレルツイン車ならではのフレンドリーさに好感を抱くライダーは数多く存在しました。

 事実、私(筆者:中村友彦)も過去に「F 700 GS」をじっくり試乗した際に、「自分の使い方なら、フラットツインのGSより、こっちのほうが合っているかも?」と感じた記憶があります。

「GS」と「R」のいいとこ取り

 そんなパラレルツインの「F」シリーズは、フレームがアルミ製ツインスパーかスチール製トレリスのいずれかで、エンジンのクランク位相角が360度だった初代と、フレームをスチール製ブリッジタイプに統一し、クランク位相角が270度になった現行型に大別できます。

BMW Motorrad「F 900 XR」(2025年型)カラー:ライト・ホワイト/レーシング・ブルー・メタリック/レーシング・レッド(エンジンスポイラー標準装備)
BMW Motorrad「F 900 XR」(2025年型)カラー:ライト・ホワイト/レーシング・ブルー・メタリック/レーシング・レッド(エンジンスポイラー標準装備)

 そして初代のパラレルツイン「F」シリーズのラインナップが、S、ST、GS(×3タイプ)、R、GTの5機種だったのに対して、2018年から発売が始まった現行型は、GS(×2タイプ)、R、XRの3機種です。

 スポーツモデルのS、スポーツツアラーのST、グランドツアラーのGTを廃止して、クロスオーバーモデルのXRをラインアップに加える展開は、近年の2輪業界の流れを考えれば自然なことでしょう。

 ここで紹介する「F 900 XR」(2025年型)の特徴は、アドベンチャーツアラーのGSとスポーツネイキッドのRの「いいとこ取り」とも言うべき足まわりで、前後サスペンションは豊富なストロークを確保し(ホイールトラベルは170/172mm。現行モデルのF 800 GSは前後170mm、F 900 Rは135/142mm)、タイヤは「F 900 R」と同じ前後17インチのオンロード用を選択しています。

 そういったオールラウンダーとしての資質は兄貴分の「S 1000 XR」に通じる要素ですが、アルミ製ツインスパーフレーム+並列4気筒エンジンの「S 1000 XR」の価格が266万5000円からであるのに対して、「F 900 XR」の価格は100万円以上安い、153万7000円からです。

 ちなみにBMW Motorradの販売車両のほとんどに、ETC 2.0車載器が標準装備となっています。

かつてとは異なるライディングフィール

「あら、こんなにいいバイクだったっけ……?」シリーズ初のマイナーチェンジを受けた、2025年型の「F 900 XR」を体験した私は不思議な気分になりました。と言うのも、オーナの方が読んでいたら申し訳ないのですが、2020年にこのモデルを試乗した際の私は、良好とは言い難い乗り心地とエンジンの味気なさに疑問を抱いたのです。

BMW Motorrad「F 900 XR」(2025年型)に試乗する筆者(中村友彦)。カラー:ライト・ホワイト/レーシング・ブルー・メタリック/レーシング・レッド(エンジンスポイラー標準装備) ※撮影車両は純正アクセサリーのソフトケース装着車
BMW Motorrad「F 900 XR」(2025年型)に試乗する筆者(中村友彦)。カラー:ライト・ホワイト/レーシング・ブルー・メタリック/レーシング・レッド(エンジンスポイラー標準装備) ※撮影車両は純正アクセサリーのソフトケース装着車

 ところが今回試乗した2025年型は、乗り心地はしっかりBMWモトラッドの基準に達していますし、エンジンはどんな場面でも従順な特性を実現しながら、低回転域では不等間隔爆発ならではの鼓動感、中高回転域では軽快でシャープな吹け上がりを味わわせてくれます。

 これはもう、相当に気合いが入った仕様変更が行われているに違いない。そう感じた私は、即座にスマホを使って2025年型の改善点を調べてみたのですが……。

 さまざまなメディアが報じている2025年型の特徴は、フロントフォークにアジャスト機構を追加、前後ホイールとバッテリーを軽量化、軸間距離を1521mmから1535mmに延長、ユーロ5+規制をクリア、フェアリングを刷新、電子デバイスの充実化などで、乗り味が劇的に変化する、コレといった内容はありませんでした。

 となると、デビューからある程度の年月が経過して、生産精度が向上したのでしょうか(2020年に私が試乗した個体はハズレだったのかも?)。あるいは、メーカーから改善に関するアナウンスが無くても、途中で何らかの仕様変更が行われていたのかもしれません。

 などと書くと違和感を覚える人がいるかもしれませんが、BMWモトラッドを含めた海外メーカー車は、一昔前は初年度と2年目以降の乗り味が異なることが少なくなかったですし、モデルチェンジのタイミングではなくても、各部の改善を行うことが珍しくないのです。

BMW Motorrad「F 900 XR」(2025年型)に試乗する筆者(中村友彦)。カラー:ライト・ホワイト/レーシング・ブルー・メタリック/レーシング・レッド(エンジンスポイラー標準装備) ※撮影車両は純正アクセサリーのソフトケース装着車
BMW Motorrad「F 900 XR」(2025年型)に試乗する筆者(中村友彦)。カラー:ライト・ホワイト/レーシング・ブルー・メタリック/レーシング・レッド(エンジンスポイラー標準装備) ※撮影車両は純正アクセサリーのソフトケース装着車

 さて、何だか話があらぬ方向に向かってしまいましたが、2025年型の「F 900 XR」を試乗した私は、このモデルが前述した「GSとRのいいとこ取り」を実現していることを認識し、他のBMWモトラッドで通例になっている、このまま旅に出たい……という印象を抱きました。

 ちなみにこれまでの私は、同業者と「F」シリーズの話をする際は「GS推し」の姿勢を維持してきたのですが、今後はGSとは方向性が異なる快適性や速さが満喫できる、XRの美点もきっちり語ろうと思います。

【画像】「こんなにいいバイクだったっけ?」BMW Motorrad「F 900 XR」(2025年型)を画像で見る(20枚)

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Writer: 中村友彦

二輪専門誌『バイカーズステーション』(1996年から2003年)に在籍し、以後はフリーランスとして活動中。年式や国籍、排気量を問わず、ありとあらゆるバイクが興味の対象で、メカいじりやレースも大好き。バイク関連で最も好きなことはツーリングで、どんなに仕事が忙しくても月に1度以上は必ず、愛車を駆ってロングランに出かけている。

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