「コンジー」って何だ!? 知らない食と出会った、ポルトガルへ向かうフライトの「機内食」

2025年シーズンのMotoGPポルトガルGPとバレンシアGPを取材するために、ポルトガルに向かう飛行機内で初めて出会ったのが「コンジー」です。選ぶつもりのなかった「コンジー」に、筆者(伊藤英里)はすっかり魅了されてしまいました。

予想外の出会い、これも「機内食」の面白さか

 2025年シーズンのMotoGPポルトガルGPとバレンシアGPの取材のため、筆者(伊藤英里)は11月某日、成田空港からポルトガルに向かう飛行機に搭乗しました。と言っても、成田から一路、ポルトガルに飛ぶわけではありません。しがないフリーランスゆえ、限りある予算に頭を悩ませ、あちらこちらと乗り継ぎを検討しながら航空券を予約するのですから。

マドリード空港着陸前にサーブされた機内食。出汁が効いたやさしい味わいのコンジーは、量もちょうどよかった
マドリード空港着陸前にサーブされた機内食。出汁が効いたやさしい味わいのコンジーは、量もちょうどよかった

 そんなつつましく生きる筆者ですが、今回のポルトガルまでの旅は、なかなかの乗り継ぎの多さっぷりでした。

 まずはキャセイパシフィック航空で成田から台北へ。台北は乗り継ぎではなく「経由地」だったのですが、一度降機してセキュリティ・チェックを受け、下りたところとは別のゲートに移動して同じ飛行機に乗り直しました。席もまったく同じで、変わったことと言えば、台北で降りたために乗客がぐっと減ったことくらい、でしょうか。

 その後、第1の乗り継ぎ空港である香港へ到着。そこから一気にマドリードへ飛びました。第2の乗り継ぎ空港であるマドリードからはポルトガル航空を利用するので、預けたスーツケースをピックアップしてターミナルを移動し、ポルトガル航空にチェックインをしました。マドリードからは第3の乗り継ぎ空港であるポルトガルの首都リスボンに飛び、リスボンで再び飛行機を乗り継いで、ファロ空港へ……。

 最終目的地であるファロ空港に到着したのは、日本を出た翌日の夕方でした。およそ31時間かかりました。ファロ空港からホテルまで、さらにレンタカーで1時間かかったので、合計で32時間程度でしょうか。もはや1時間程度のプラスなぞ、どうでもいい気がしてきます。

 なんとも長い旅路です。おまけに乗り継ぎの飛行機が少しずつ遅れ、最後のファロ行きの飛行機に乗り遅れるんじゃないかと肝を冷やしました(結局のところ、余裕で間に合いました)。なるほど、乗り継ぎが多いと、こんなリスクがあるわけですね。

 さて、そんなキャセイパシフィック航空の「機内食」ですが、香港からマドリードまでの約15時間にわたるフライトの機内食のうち、1度目を見事に逃してしましました。香港発の便は出発時に機材の修理が必要ということで、しばらく離陸ができずに待機していたのです。アナウンスでは「重要な部分なので、修理せずに離陸できない」と伝えられました。そんな「重要な修理」を搭乗してからするのはいかがなものか。ここでもハラハラしました。

 ハラハラ……していたはずなのですが、いかんせん深夜の便だったので、待機しているうちに一足お先に夢の世界へ飛び立ってしまいました。まったく、睡魔には勝てたためしがありません。けれど、ジタバタして睡魔に勝ってもまったくいいことはないです。「負けるが勝ち」です。

台北から香港まで、たった2時間のフライトでサーブされた機内食。たくあんらしきものが乗っていたのにびっくりした。味もたくあんだった
台北から香港まで、たった2時間のフライトでサーブされた機内食。たくあんらしきものが乗っていたのにびっくりした。味もたくあんだった

 というわけで、目覚めたときにはすでにマドリードまで約2時間のところでした。機内食のタイミングです。2度目(筆者にとっては1度目)の機内食は、現地時間に合わせて朝ごはん仕様でした。

 ちなみに、最初の機内食は夕食仕様で、「スイート・サワーポークのフレッシュパイナップル添え」(おそらく酢豚のこと)または「シチリア風ラム肉の煮込みとパッケリ(パスタ)」、ベジタリアン向けの「スパイス香る野菜マサラとグリーン・プラオ(炊き込みピラフ)」でした。

 朝ごはんの選択肢は、「スクランブルエッグ」と「コンジー」というもの。「コンジー」がよくわからなかったので「スクランブルエッグ」を選ぼうとしたところ、後方席だったためにワゴンが来たときには選択肢が「コンジー」しかありませんでした。マドリード行きの便だったのでヨーロッパ系の乗客が多く、おそらく筆者のように「コンジーって何だかわらんから、スクランブルエッグにしておこう」と考えた人が多かったのでしょう。

 しかし、これが予想外の出会いとなります。「congee(コンジー)」とは日本で言うお粥のことでした。後日調べたところ様々な「コンジー」があるようですが、筆者が食べたものは豚肉や野菜の出汁が染み出ている、お米のスープのような料理です。とっても美味でした。

 お粥という点も、寝起きの胃にやさしく高ポイントです。移動では、どうしても体に負担がかかります。ストレスもありますし、気圧の変化は気付かないうちに体を疲弊させています。だから、こうした素朴な食事の方がありがたく感じるのです。

 選ぶつもりのなかった機内食のおかげで、「コンジー」という素敵なメニューを知ることができました。

「これもまた、機内食の面白さなのかもしれないなあ」と思いました。

 地上では、たった2つのメニューしか選べない、なんてシーンはほとんどありません。レストランに入って自分の望むメニューが無ければ、お店を変えればいいのです。

 ところが、機内食はそうもいきません。だから、自分の知らなかったメニューに出会うこともできるわけです。

「コンジー」がすっかり気に入った筆者は、ポルトガルGPとバレンシアGPの取材を終えて日本に帰るキャセイパシフィック航空のフライトで、再び「コンジー」を食べることになるのでした。

【画像】これが「コンジー」か!! 美味しい食に出会えた「機内食」を画像で見る(6枚)

画像ギャラリー

Writer: 伊藤英里

モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。

編集部からのおすすめ

先着400人限定! 宮ヶ瀬湖畔のクリスマスイルミネーションにライダーを招待!【PR】

先着400人限定! 宮ヶ瀬湖畔のクリスマスイルミネーションにライダーを招待!【PR】

最新記事