兄弟車とは別次元の軽快感と運動性を実感!! トライアンフ「スピードツイン1200」の魅力とは
排気量1200ccの水冷並列2気筒エンジンを搭載するトライアンフ「SPEED TWIN 1200」(2025年型)に試乗しました。クラシカルなルックスを守りつつ現代的な装備が充実したネオクラシックモデルの乗り味とは?
ネオクラシックモデルの小/中/大
近年の2輪の世界で、最もネオクラシックモデルに注力しているメーカーと言ったら、私(筆者:中村友彦)が筆頭に挙げたいのはトライアンフです。何と言っても現在の同社のラインアップには、400cc単気筒車が5機種(新型含む)、900cc並列2気筒車が3機種、1200cc並列2気筒車が5機種と、合計13機種ものネオクラシックモデルが並んでいるのですから。
もっとも、BMWモトラッドやモトグッツィ、カワサキ、ヤマハなどもこの分野には力を入れていますし、ロイヤルエンフィールドの場合はラインナップのほとんどがネオクラシックモデルと言えなくはありません。
ただし、同様の雰囲気で統一された小/中/大のモデルが揃うのは、世界で唯一、トライアンフだけでしょう。

そんなトライアンフのネオクラシックモデルは、旧車的な資質を追求した正統派、現代的な足まわりのスポーツ系、悪路走破性を意識したスクランブラー、低く構えたスタイルが魅力のクルーザー、という4種に大別できます。
当記事で紹介する「SPEED TWIN 1200(スピードツイン1200)」はスポーツ系のトップモデルで、2025年型では前後ショックや外装部品、電装系などのアップデートが行われました。
昔ながらの外観+現代的な足まわり
基本設計を共有する他の1200cc並列2気筒車と比較した場合、「スピードツイン1200」の最大の特徴は、現代のオンロードバイクの定番にして運動性能重視のスタンスが伺える、前後17インチのラジアルタイヤです。

グリップ位置が低めのハンドルや後方の高い位置に備わるステップ、シリーズ最強の105ps/7750rpmを発揮するパワーユニット、後端が跳ね上がったマフラーなど、兄弟車との相違点は他にも数多く存在するのですが、キャラクターを決定するという意味で、最も重要な要素は路面との接点になるタイヤでしょう(試乗車はハイグリップスポーツ指向のメッツラーM9RRを装着)。
と言っても、昔ながらのルックス+前後17インチのラジアルタイヤという構成は、「スピードツイン1200」が元祖ではありません。歴史を振り返れば、1990年代中盤以降の日本製ネイキッドは同様の構成が定番になっていましたし、近年のネオクラシックモデルでは、BMW「R 12 nineT」やインディアン「FTR」シリーズ、カワサキ「Z900RS/カフェ」、ヤマハ「XSR900/GP」などが、前後17インチのラジアルタイヤを採用しています。
そういったライバル勢を意識したのでしょうか、2025年型の「スピードツイン1200」はスタンダード以上の運動性能が実感できる上級仕様として、ブレンボ製スタイルマキャリパーやオーリンズ製リアショック、クイックシフターなどを装備する「RS」を設定しました。
「スピードツイン1200」のスタンダードの価格(消費税10%込み)が188万9000円/195万9000円であるのに対して、上級仕様の「スピードツインRS」は226万9000円です。
30万円以上の差額をどう感じるかは人それぞれですが、BMW「R 12 nineT」が256万3000円から、「FTR」シリーズが248万8000円からと、ライバル勢の中にはさらに高額な車両が存在するので、「スピードツイン1200RS」の価格が突出しているわけではありません。
弟分の「900」を上回る軽快感
ここからはインプレ編で、冒頭からこんなことを言うのは我ながらどうかと思うのですが、トライアンフの並列2気筒車は、1200ccより900ccのほうがイイ……と、以前から感じていました。
その理由は、車重とハンドリングとエンジンフィーリングの軽さです。逆に言うなら1200ccはいろいろな面で重さを感じることが多く、個人的には軽快な900ccの方が、約90年の歴史を誇る、トライアンフの並列2気筒車の伝統を色濃く継承している気がしていたのです。

ただし、実は「スピードツイン1200」を試乗した経験は今回が初めてだったので、前段に記した印象は、「ボンネビルT120」や「スクランブラー1200X」、「スピードツイン900」、「スクランブラー900」などに乗っての話なのですが、エンジンとシャシーの基本設計が同じなのだから、「スピードツイン1200」のライディングフィールも、それなりに重いのだろうと考えていました。ところが……。
実際は、車重もハンドリングもエンジンフィーリングも軽く、それでいて弟分に当たる900と比較するなら、パワフルにして鼓動感が濃厚、しかもよく曲がるのです。
パワフルさと鼓動感の濃厚さは事前の想像通りだったのですが、よく曲がることは私にとって想定外です。ちなみに「スピードツイン900」の最高出力は65ps/7500rpmです。

その感触が不思議だったので、軸間距離・キャスター角・車重を調べてみました。
「スピードツイン1200」1413mm・22.4度・216kg
「スピードツイン900」1435mm・24.9度・216kg
この数値なら、1200の方がよく曲がると感じたのは当然でしょう。
そんなわけで、「スピードツイン1200」の実力に感心した私ですが、よくよく考えると、タイヤがフロント18インチのバイアス/リア17インチのラジアルで、乗車姿勢がアップライトな「スピードツイン900」は、ネオクラシックという枠の中でスポーツ性を追及した兄貴分とは異なり、日常域の扱いやすさを重視しているのです。
だからこのモデルを語るうえで、弟分の話を持ち出すのは的外れなのかもしれませんが、前述したようにこれまでは900cc推しだった私は、現在は「スピードツイン」に関しては1200ccも大いにアリ!! と感じています。
Writer: 中村友彦
二輪専門誌『バイカーズステーション』(1996年から2003年)に在籍し、以後はフリーランスとして活動中。年式や国籍、排気量を問わず、ありとあらゆるバイクが興味の対象で、メカいじりやレースも大好き。バイク関連で最も好きなことはツーリングで、どんなに仕事が忙しくても月に1度以上は必ず、愛車を駆ってロングランに出かけている。






















