大胆なフォルムで登場!! ホンダ「CB750インテグラ」はカウリングバイク創世記のド真ん中!?
日本国内で1982年にバイクのカウル規制が解禁されると、各メーカーからカウル付きスポーツバイクが次々に発売されます。ホンダからは人気のナナハンにカウルを標準装備した「CB750F INTEGRA」が登場しました。
昭和の高速道路をエアロダイナミクスで駆け抜ける!!
現在ではスポーツバイクにカウル(フェアリング)が装備されているのは普通で、逆にカウルが付いていないモデルを区別するためにネイキッドと呼んでいます。
古くは第2次世界大戦で活躍したバイクに風防が装着されており、レースシーンでは1950年代にフルカウルのマシンが登場しました。外国車では1970年代から新車時にカウルを標準装備というスポーツバイクが現れます。
国内ではホンダが1954年に、スクーターの「ジュノオK型」にアクリル樹脂の大型ウインドシールドを採用しています。しかし日本国内ではカウルを装着したスポーツバイクの販売は規制されており、その流れが変わったのは1980年代に入ってからです。

ホンダでは1980年に、アメリカ工場生産の「GL1100インターステーツ」に大型のツーリング用カウルが装着されています。
カウルの装着でより快適にツーリングを楽しんで欲しいと考えたホンダは、1981年に鈴鹿8時間耐久ロードレース優勝記念モデルとして、「CB750Fボルドール2」を限定販売します。この時のカウルは標準装備ではなくディーラーオプション扱いで、輸出向けの「CB900Fボルドール」のカウル部品を利用していました。
ボルドールとはフランスの24時間耐久ロードレースの名称で、そこで大活躍したホンダのレーシングマシン「RCB1000」の栄光とテクノロジーをイメージさせるものでした。最速スポーツモデルが最良のツーリングバイクだった時代です。
さらに1982年6月には「VT250F」にメーターバイザーと称したミニカウルを標準装備して販売します。これらの流れもあり、カウルの規制は撤廃され、7月に国内向けとしては初のカウル標準装備車である「CBX400Fインテグラ」を、8月には今回紹介する「CB750Fインテグラ」を販売開始します。
「CB750Fインテグラ」のベースになった「CB750F」は、1979年にSOHCエンジンの「K」シリーズ時代からフルモデルチェンジを果たし、DOHC16バルブ(1気筒あたり4バルブ)エンジン採用など当時のホンダを代表するスポーツバイクでした。
同年6月に3度目のモデルチェンジとなった「CB750F」は、39mm径のフロントフォークにTRAC(=トルク応答型アンチダイブ機構)を装備し、リザーブタンク付きリアショック、扁平ワイドな18インチフロントタイヤとブーメランコムスターホイールを装備しています。
「CB750Fインテグラ」は、その「CB750F」の最新型にカウルを装備したバリエーションモデルです。

ABS樹脂で形成されたカウル本体は、上体を起こした乗車姿勢でもライダーを風圧から守り、シールド部分は走行風を上方へ流す跳ね上がった形状となっていました。
さらにレッグシールドも装備しており、空冷エンジンの後方でカウル本体と繋がっています。エアロダイナミクスを意識した形状のミラーは、ラバーモールドステーでカウルに装着されています。そしてカウル内には左右に小物入れも用意されていました。
また、メーター部分にはコックピット感覚の電圧計と時計が装備され、それまで輸入車だけが味わえたゴージャスな仕上がりとなっています。
「CB750Fインテグラ」の登場以降、様々なモデルにカウルが追加され、「VT250Fインテグラ」や「MBX80インテグラ」など、「インテグラ」を車名としたバイクが増えていきます。
それらのモデルチェンジが一回りすると、最初からカウル付きの車体がポピュラーとなり、派生モデルの名称であったインテグラは使用されなくなります。
「CB750F」シリーズは「CB750Fインテグラ」が最終型となり、カウル付きの「CBX750F」が登場して「CBX」や「CBR」の時代へ移っていきました。
インテグラの車名に関しては続きがあります。1985年にはホンダの4輪車「クイント・インテグラ」で再登場し、2012年には排気量700ccの「DCT」を搭載したスクーターと大型2輪を組み合わせたような「インテグラ」が発売されています。
一方、「CB」シリーズのカウル付きモデルは2005年に復活し「CB1300スーパーボルドール」が登場しました。
1982年8月に発売された「CB750Fインテグラ」の当時の販売価格は75万円で、同年6月に発売された「CB750F」(カウル無し)は64万円でした。
■ホンダ「CB750F INTEGRA」(1982年型)主要諸元
エンジン種類:空冷4ストローク並列4気筒DOHC16バルブ(1気筒あたり4バルブ)
総排気量:748cc
最高出力:70PS/9000rpm
最大トルク:6.0kg-m/7500rpm
全長×全幅×全高:2180×800×1340mm
シート高:800mm
始動方式:セルフ式
燃料タンク容量:20L
車両重量:264kg
フレーム形式:ダブルクレードル
タイヤサイズ(F):100/90-18 56H
タイヤサイズ(R):130/80-18 66H
【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)
Writer: 柴田直行
カメラマン。80年代のブームに乗じてバイク雑誌業界へ。前半の20年はモトクロス専門誌「ダートクール」を立ち上げアメリカでレースを撮影。後半の20年は多数のバイクメディアでインプレからツーリング、カスタムまでバイクライフ全般を撮影。休日は愛車のホンダ「GB350」でのんびりライディングを楽しむ。日本レース写真家協会会員











