凄いバリエーション!! ホンダならではの「横型エンジン」を搭載するバイクは? 歴代モデル一気見せ!!
ホンダの「スーパーカブ」は、世界生産累計台数が5億台を超えていますが、搭載されるホンダならではの「横型エンジン」はさまざまなモデルに使われているので、世界で一番多いエンジンかもしれません。一体どれだけ使われているのでしょうか。
跨りやすいように開発された「横型エンジン」
エンジンには様々な形式があり、シリンダーがほぼ水平に寝たエンジン、いわゆる「横型エンジン」はホンダ以外にも存在します。
ホンダが「スーパーカブ」用にこのエンジンを開発した背景には、女性がスカートをはいたままでも乗り降りしやすい、ステップスルーのバイクを作るためだったと言われています。
また経済性を考慮した燃費の良さや、バイクに不慣れな人でも扱いやすいクラッチレバー操作が不要な自動エンジンクラッチなど、画期的な技術が数多く投入されています。

そして1958年に誕生した「スーパーカブC100」以来、様々な進化と熟成を重ねながら、歴代「スーパーカブ」はもちろん、多様な車種にも使われてきました。
一体どれだけ使われているのでしょうか? 「スーパーカブ」以外の「ホンダ横型エンジン搭載車」を紹介します。
実用車から発展したロードスポーツ
日本のバイクは「実用車」から始まっており、純粋なスポーツバイクは高嶺の花でした。そのため1960年代頃までは、実用車ベースのスポーツ車が数多くありました。
ホンダも「スーパーカブC100」の横型エンジンをベースに、圧縮比を高めて最高出力をアップした「スポーツカブC110」を1980年に発売します。
さらに排気量を50ccから55ccに拡大して法規的にタンデム可能な「スポーツカブC115」や、86.7ccの「ベンリィ90 C200」などをリリースします。
その後は「ベンリィ」に名を変えて「ベンリィCS90/CS50」を販売し、1967年には「若者向けスポーツ車」と称して「ベンリィSS50」が登場しました。

しかしホンダの小排気量スポーツ車は、その後は縦型エンジンの「CB90」(1970年)や「CB50」(1971年)に移行します。そのため横型エンジンのロードスポーツ車は、おおむね1970年代初頭に姿を消しました。
ちなみに「スーパーカブ」は乗り降りしやすいステップスルーですが、スポーツ車のベースとなった車体は「ベンリィCD90/65/50」といった実用車でした。
1968年に登場した「ベンリィCD50/90」はリファインを重ね、「CD50」は2003年型まで、「CD90」は1998年型まで生産されます。
そしてこの「CD50/90」をベースに、1996年にスポーツモデルの「ベンリィ50S/90S」が復活します。
スクランブラーやトレッキングも多数登場!
近年は国内外で「スクランブラー」が人気ですが、ホンダは早期からスクランブラーに着手しており、1966年に横型エンジンの「ベンリィCL90」を発売しています。
その後も実用車の「CD」シリーズをベースに、スポーツモデルの「CS」シリーズと同様に「CL50/65/70」などのスクランブラーモデルをリリースします。
さらに1969年には専用のダブルクレードルフレームに横型エンジンを搭載して走破性を高めた「ベンリィSL90」を発売しています。

ちなみに1997年には、同時期の「CD50」をベースに「CL50」を復活させています。
そしてスーパーカブがベースのオフロードモデルと言えば「ハンターカブ」ですが、最初に登場したのは1968年の「CT50」です。その後、輸出モデルで人気を博した「CT110」が1981年に国内販売されました。
それからかなり間が開きますが、2013年には「スーパーカブ110」をベースに、アウトドアスタイルの「クロスカブ」が登場し、2018年のモデルチェンジで「クロスカブ50」と「クロスカブ110」の2本立てになりました。

ホンダの「FUNバイク」と言えば横型エンジン
そしてホンダの横型エンジンでハズせないのが、「モンキー」を代表とする「FUNバイク」でしょう。
皮切りはホンダが1961年に開園したレジャー施設の遊具として、「スーパーカブC100」系エンジンを極小な車体に載せた「Z100」で、それをベースに海外向けにレジャーバイクの「CZ100」を製作。そして日本で公道を走れる初の「モンキー」である「Z50M」が1967年に発売されました。
その後は車体やデザインを変えつつ横型エンジンも進化を重ねて、2009年にはFI(フューエルインジェクション)仕様の最後の50ccエンジンを搭載した「モンキー」が発売されました。

次に登場するのが1969年発売の「ダックスホンダ」です。鋼板プレスのモノコックボディが特徴の、胴長短足なダックスフントに似たフォルムのレジャーバイクで、50ccと70ccで多彩なバリエーションを誇りました(変わり種の90もアリ)。
1981年型で一旦生産終了しますが、1995年に復活して1999年まで販売されました。
また「ダックス」系の横型エンジンを利用して、跨ぎやすいステップスルーのファミリーバイク「シャリイ」(1972年~)も販売されました。
1976年には2ストロークエンジンを搭載したミニサイクルのように軽快な「ロードパル」を、1980年には原付スクーター「タクト」を発売し、いずれもファミリーバイクとして人気を博しますが、耐久性に長け燃費の良い「シャリィ」は1997年型まで生産されたロングセラーモデルとなりました。

その後も1978年に「モンキー」の兄弟車である「ゴリラ」や派生モデルが登場します。
1982年にはゴツい建設機械のようなスタイルと副変速機(輸出モデルの「CT110」も装備)を備えた「モトラ」が登場。また本格的なアメリカンスタイルの「ジャズ」が1986年に発売され、1995年には後継モデルの「マグナ50」が登場します。
そして2003年にはオリジナリティ溢れるスタイルの「Solo(ソロ)」が発売されました。

横型エンジンの進化と熟成が続く
ホンダの横型エンジンは長らく50~110ccで生産され、日本では「スーパーカブ」をはじめここまで紹介してきた多彩なバイクに搭載されてきました。
アジア圏ではタイホンダが1997年に「Wave100」というカブ系の横置きエンジンを搭載するコミューターを発売し、1999年に排気量を拡大した「Wave110」に。2003年にはさらに排気量アップし、FI(フューエルインジェクション)を装備した「Wave125i」が発売されました。
そして2013年1月に、「Wave125i」のエンジンをコンパクトな車体に搭載したミニスポーツバイクの「MSX125」がブリュッセル・モーターショーで初公開され、同年9月に日本で「GROM(グロム)」の名で発売。ついに最大排気量の「125cc横置きエンジン」がお目見えしました。
それからホンダの125ccクラスのFUNバイクが一気に拡大! かつて横型エンジンで人気を得たモデルのリバイバルとして、2018年7月に「モンキー125」、同年9月に「スーパーカブ125」、2020年9月に「CT125・ハンターカブ」、2022年9月に「ダックス125」が発売されました。
この間には125cc横型エンジンが刷新され、各モデルも順次リファインされました。

「スーパーカブC100」(1958年発売)のために開発された横型エンジンですが、基本形とも言える原付1種の50ccは厳しさを増す排出ガス規制の対応が困難なため、ついに姿を消します。しかし既存の110ccエンジンをベースに「新基準原付」として新たなスタートを切りました。
こうしてホンダの横型エンジンは110ccと125cc、それに新基準原付の110ccの3種になりましたが、まだまだ進化と熟成が続きそうです。
Writer: 伊藤康司
二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。








































