高市首相から表彰 「諦めてきたこと、ひとつ減らせます。乗りましょう、バイクに」 サイドスタンドプロジェクトの活動とは
障害者をサポートする事業はさまざまありますが、「SSP(サイドスタンドプロジェクト)」のように、バイクで風を感じる楽しさを体験し、夢や希望を持ち直すきっかけを作ってもらおうと、手助けをする団体は他に類がありません。7年間の活動実績が、高市早苗首相らによって表彰を受けました。
世界で唯一、先進的で独創的な活動
高齢者や障害者など、特定の人の障壁を取り除く活動を行う団体を対象に実施される「バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰」に、公益社団法人「SSP(サイドスタンドプロジェクト)」が選ばれました。
SSPの代表理事は青木治親氏、専属パラモトライダーに青木琢磨氏が、テクニカルアドバイザーに青木信篤氏が就任。バイクレース界のレジェンド、あの「青木3兄弟」が力を結集し、障害者がバイクに乗る夢を実現するためのユニークな活動が評価されました。
表彰式は2025年12月25日午後、首相官邸で開催され、高市早苗首相、黄川田仁担当相が表彰状を授与しました。

専属パラモトライダーの琢磨氏は、1998年のロードレース世界選手権のテスト走行中に転倒し、その後の車椅子生活で再びモータースポーツの競技者として挑戦し続けています。
2019年、鈴鹿8時間耐久ロードレースでのデモ走行などをきっかけに、一般の障害者にもあるバイクに「乗りたい」という気持ちを実現する活動へと拡大していきました。
選考委員会(委員長=中野泰志慶応大学教授)は、受賞のポイントをこう説明します。
「オートバイに乗りたいという障害者をサポートする活動は世界で唯一、先進的かつ独創的。障害者はさまざまな場面で挑戦を諦めなければならないことが多いが、SSPは前向きな気持ちを断らないことを基本姿勢に、ボランティアの協力で実現している。普通であれば考えられないことを実現し、社会に大きなインパクトを与えている」
バイクは「人を幸せにする手段」
代表理事の治親氏は12月24日、「自民党オートバイ議員連盟」と超党派の国会議員で作る「バイカーズ議員連盟」が開催する受賞報告会で、受賞の喜びをこう語りました。
「なんで危ないことをするのって思ってるところがあると思います。僕も拓麿が乗って大丈夫じゃんっていうような気持ちから始まったところはあるんですけど、オートバイは危ないというところが社会認識としてあり、なかなか説得することにはすごく苦労をしてきました。
しかしながら、今年で7年目を迎えまして、延べで我々がパラモトライダーと呼ぶ障害を抱えているライダーを、約270人ほどを乗せてきました。趣味性が高いオートバイでもあるのですが、この活動を通じてですね、人を幸せにできる取り組みが、オートバイでこういうことができるんだっていうふうにすごく強く感じております。
オートバイは世界中に流通しています。障害者の方も世界中にいらっしゃいます。このオートバイでしかできない幸せを全世界の人に、これから届けていけたらいいなというふうに思っております」
希望者は車椅子で生活する人だけでなく、さまざまな障害を持つ人に広がっていると、治親氏は言います。
「最初は拓麿が車椅子なので、車椅子の人が中心になるかなと思ったら、最近は視覚障害者、目が見えない人でもオートバイに乗れるっていうことがありまして、その人が言うのは風が気持ちいいですって言うんですよ。これからですね、まだまだいろんな形で進んでいければいいなというふうにも思いますし、またこの次ですね、先天性で両腕がない方にですね、この次オートバイに乗ってもらう、というチャレンジが始まりました。試作車もできて、これから体験してもらいます」
体験走行はクローズドサーキットだけでなく、公道走行も行われることがあります。SSPの活動そのものが不可能を可能にすることの連続です。治親氏の夢は広がります。
「オートバイに障害者を乗せるのは危ないっていうだけじゃ進まない。人生の楽しさを知る可能性がある。そんな体験の場所を提供できる活動にできたらいいんじゃないかと思っています」(治親氏)
SSPが参加者らに配布するクリアファイルには、こんな言葉が記されています。
「その諦めてきたこと、ひとつ減らせます。乗りましょう、バイクに」
Writer: 中島みなみ
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。





