「いつまでもここにいたい……」ドイツのミュンヘンでBMWの世界にどっぷりとはまる
ドイツのミュンヘンにあるBMWの「Museum」と「Welt」に足を運びました。巨大なミュージアムの膨大な展示に、時間を忘れてすっかり没頭してしまいました。
BMW好きなら、間違いなく1日中楽しめるはず
2025年シーズンのMotoGPの取材のために、春頃から日本GP前の9月中旬まで、筆者(伊藤英里)はヨーロッパに滞在していました。8月中旬、オーストリアGPの取材後にグラーツとザルツブルグに滞在したあと、ドイツのミュンヘンに移動しました。お目当ては、「BMW Museum」と「BMW Welt」です。
余談ですが、「Welt」はドイツ語で「World」のこと。「Museum(ミュージアム)」は、発音は異なりますがスペルは英語と同じです。さらに付け加えると、「Munchen(ミュンヘン)」もドイツ語で、英語の場合は「Munich(ミューニク)」となります。……と知ったのは、ミュンヘンに到着してからです。
ミュンヘンと言っても中心地から少し離れた住宅街の家にホームステイをしたので、ミュージアムまではバスと地下鉄を乗り継いで向かいました。ミュージアム、WeltとBMW本社があるその一帯は、ミュンヘン北部のオリンピア・パークのすぐそばにあります。交通の便はかなりいいです。

ミュージアムのチケットは、ウェブサイトから事前購入が可能でした。一般で16ユーロです。筆者が予約したときはまだ9月上旬で、サマーバケーションの時期だったらしく、入場時間が規律正しく区切られていました。2025年12月に再度ウェブサイトを確認すると、時間区切りはなくなっていたので、訪れた時期は混雑期だったようです。
そんな状況でしたから、ミュージアムの入口は人であふれていました。もちろん、ミュージアム内も人が多かったです。とはいえ、ミュージアムはかなりの広さで入場人数もコントロールされていたので、「人が多すぎて展示がまったく見られない!」ということはありませんでした。ただ、せっかく日本から行くなら閑散期がいいかもしれません。そのほうがゆっくりと見られるはずです。
筆者は歴史を知るのが好きなので、ミュージアムに展示されている車両を見ながらBMWが歩んできた時間を知るのがとても面白く感じました。展示されている車両には、その車両の説明だけではなく、時代背景なども詳しく説明されています。
BMW(バイエリッシェ・モトーレン・ヴェルケ)の始まりは、1916年。ただ、ルーツとしてはラップ・モトーレン・ヴェルケ(航空機用エンジンの製造会社)と、グスタフ・オットー・フルークマシーネンファブリク(航空機メーカー)という2つの会社になります。
グスタフ・オットー・フルークマシーネンファブリクは1916年に破産し、バイエリッシェ・フルークツォイク・ヴェルケAG(BFW)として再編されました。
その後の紆余曲折があり、結果的にBMWがBFWの法的後継企業となったことから、BFWの創立日である1916年3月7日がBMWの創立日になっているそうです。1916年と言えば、第1次世界大戦のさなか。日本は大正5年でした。

そんな説明や当時の写真を眺めながら、展示されている車両を見ます。ミュージアムでは最初のゾーンに、BMWとして最初のバイクである「BMW R 32」が展示されていました。1923年の秋にベルリン・モーターショーで発表され、1917年から主任設計者を務めたマックス・フリッツによって設計された車両です。
こうして見ると、100年前のバイクも、基本的な「形状」としては2025年と変わらないのだな、と思います。もちろん、長い時間をかけて各部が大いにアップデートされていますし、技術も進化しています。
例えば、「R 32」には、まだ現在のようなサスペンション機能を持つフロントフォークがありません。けれど、バイクというのはこの形状を原型にして進化してきたのだなあと、実際の車両を見て肌で理解したような気がします。こうした経験ができるのは、ミュージアムならではですね。
このミュージアムはかなり広く、4輪と2輪が展示されているので、その数も相当です。ゾーンとしては、なんと22に分かれています。かなり多いです。ひとつひとつのゾーンをじっくり見ていくと、とんでもなく時間がかかります。
今回、筆者の場合は2輪をメインで見ましたが、4輪もあわせてしっかり見たら相当時間がかかるでしょう。ミュージアムをじっくり堪能したい、という人は、2日ほどかけて見るのが確実かもしれません。それほど展示数が多いのです。
ミュージアムの前には「BMW Welt」が建っています。ミュージアムが建てられたのは1973年ですが、こちらは2007年のオープンで、無料で入ることができます。
BMWグループのMINIやロールスロイスも展示されていて、巨大なショールームと言えるでしょう。バイクの展示もあってまたがることができるので、自由に体験しながら車両購入を検討できる空間です。カフェも併設されており、「複合施設のショールーム」と言ったほうがいいかもしれません。
BMWミュージアムとBMW Weltをめぐったあと、しばらく頭がぼんやりとしてしまいました。情報量の多さ、そしてそれ以上に濃厚な体験だったのです。BMW好きなら、間違いなく1日中楽しめるはずです。いいえ、バイク好きならば、きっと楽しめます。そこは、まるで大人のためのアミューズメントパークのような場所でした。
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。












