【現地探訪】イタリア・ボローニャのミュージアムで、ドゥカティのフィロソフィーを感じる
イタリアのボローニャにある、ドゥカティのミュージアムに行ってきました。ミュージアムでは、肌で知る知識がたくさんあります。
ラジオから補助エンジン、そしてモーターサイクルへ
2025年シーズンのMotoGP第16戦サンマリノGPの取材前、ドゥカティのミュージアムを訪れました。イタリアのボローニャにあります。ボローニャのボルゴ・パニゴーレ空港からバスが出ていますし、ボローニャの中心街からはタクシーまたはバスなどで行くことができます。
ミュージアムのチケットは、ウェブサイトから事前に購入が可能です。今回、筆者(伊藤英里)はファクトリーツアーがセットになっているチケットを購入しました。ファクトリーツアーは日時指定なので、事前予約が必要です。イタリア語だけではなく、英語のツアーもあります。一般チケットは48ユーロでした。
ファクトリーツアーは写真撮影厳禁なので、ぜひ実際に行って体験してみてください。イヤホンで解説を聞きながらファクトリー内を回ることができるので、なかなか興味深いです。
ファクトリー内にはMotoGPマシンや電動バイクレース『FIM MotoE World Championship』(2025年で終了)に供給していた電動レーサー「V21L」の開発エリアもありました。当然ながら、そこは中を見ることはできないのですけどね。

ミュージアムは、ファクトリーと同じ敷地内にあります。入口に展示されていたのは、ドゥカティがモーターサイクル事業を始める前に製造していたラジオ機器などです。
ドゥカティのルーツは、1926年に設立された「Societa Scientifica Radio Brevetti Ducati(科学会社ラジオ・ブレヴェッティ・ドゥカティ)」です。アントニオ・カヴァリエリ・ドゥカティと、その息子のアドリアーノとブルーノによって設立されたそうです。アントニオは1927年には亡くなり、アドリアーノ、ブルーノ、末弟のマルチェッロの三兄弟が、ドゥカティの立役者とされています。
ここではコンデンサーからラジオ機器などの生産を行っていたそうです。当時、ドゥカティの事業はモーターサイクルではなかったのですね。
しかし、第2次世界大戦で工場が深刻な爆撃被害を受けました。そして終戦後の1946年に、ドゥカティは初めてのモーターサイクル製品である小型エンジン「Cucciolo(クッチョロ)」の生産が開始されました。
これは自転車に取り付けるタイプの小型エンジンです。ピンときた人もいるかもしれませんが、ホンダの黎明期にも、創業者・本田宗一郎が作った「自転車用補助エンジン」がありました。こちらも1946年頃のことです。
イタリアや日本という敗戦国が、戦後の復興のなかで模索した産業として、海を超えて同じ時期に似たようなエンジン製造に着手していたことを想像すると、納得もできるし、当時への想像が膨らんでしまいます。

こうしたメーカーの歴史を知ることができるのは、ミュージアムのいいところです。もちろん、情報としての「歴史」は、インターネットでいくらでも入手できるのですが、実際にイタリアのボローニャに赴き、当時製造されていたラジオなどを見ながら思いを馳せる時間は、体験を持って歴史を知っているような気にさせてくれます。
というわけで、機会があれば、ぜひ実際に訪れてみてください。ミュージアム、おすすめです。
また、ミュージアムではメインにレーシングマシンが展示されており、その奥の部屋に、そのレーシングマシンに近い時代の市販車が展示されていました。
ドゥカティは、伝統的にレーシングマシンの技術を市販車にフィードバックしています。レースの現場は「走る実験室」と言われていますので、どのメーカーにとってもレースから市販車に技術が投入されるのは当然の流れでしょう。けれど、ドゥカティミュージアムの展示は、その印象をより色濃くさせ、ドゥカティのフィロソフィーをよく感じることができました。
ファクトリーツアーとミュージアムをあわせると、すべて見るのに半日はかかると思います。お昼頃に行って、夕方くらいにミュージアムを出るのが時間的にちょうど良いでしょう。イタリアではレストランがオープンするのが早くはないので、17~18時にボローニャ中心街に戻れば、ちょうどディナータイムになるはずです。
イタリアには魅力的な都市や観光名所がたくさんありますが、ぜひドゥカティのミュージアムとファクトリーツアーも、「訪れる場所」として候補に入れてみてくださいね。
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。









