「まだタイム伸ばせるぞ」 カワサキ「マッハ」で挑む旧車レース タイヤ選びで見えた「懐の深さ」と驚きのパフォーマンスとは
カワサキの2ストロークマシン「750SS」(マッハIV/H2)でレースを楽しむライターの後藤武さんが、旧車レースとベストマッチな「コンチネンタルタイヤ」についてレポートします。
「2 CR」から「3 CR」へ:性能とフィーリングの変化
マッハ(カワサキ「750SS」)で旧車レースを楽しんでいるライターのゴトー(筆者:後藤武)が、コンチネンタルタイヤ「ContiRoadAttack3 CR(コンチロードアタック3CR)」を前後に装着したときのレポートです。
以前もコンチネンタルタイヤのレポートしているのに「どこまでコンチネンタル好きなんだよ」と言われそうですが、実際、コンチネンタルタイヤが大好きであります。
それは、サーキットで初めて「コンチロードアタック2CR」を履いたときの衝撃が記憶にあるからです。

「コンチロードアタック2CR」ってものすごいタイヤで、それまでのクラシックタイヤの常識を塗り替えてしまいました。グリップが高いだけでなく、シャープで自由自在なハンドリングだったことから各クラスでタイムが大幅に短縮され、「テイスト・オブ・ツクバ」はもちろん、世界各国のクラシックバイクレースで大活躍。ストリートでも大変な人気となったのです。
その後継として登場したのが、現在販売されている「ロードアタック3CR」になります。「ロードアタック2CR」の性能を継承しつつ、レースでは後半まで高いグリップ力を発揮するようになりました。
ただ、このタイヤが出たときにゴトーはちょっと馴染めませんでした。「ロードアタック2CR」の自由自在感が薄れていたように感じてしまったからです。ゴトーの周囲でも同じような意見がいくつか聞かれました。
ただ、激戦のモンスタークラスで「ロードアタック3CR」がトップグループのライダーたちに愛用されていますから、確かにタイヤのパフォーマンス的には確実に向上しています。
乗り方やライダーによって意見が分かれるものの、18インチでは最高レベルのパフォーマンスを持っているタイヤであることは間違いありません。それでもゴトーは、先代の「ロードアタック2CR」のフィーリングを恋しく思っていたのでした。
「紫マッハ」で探ったベストな組み合わせ
テイスト・オブ・ツクバ仕様の「紫マッハ」(カワサキ「750SS」)で、フロントに「クラシックアタック」(サイズ:90/90 R 18 M/C 51V TL)、リアに「ロードアタック3CR」(サイズ:130/80 R18 M/C 66V TL)を装着したのも、キッカケは「ロードアタック2CR」的なフィーリングにならないかな、と考えた結果です。それにフロントを細くすれば、コーナーでのバンキングはシャープになります。
「そこまでして侵入で素早くバンクさせたいのか?」と聞かれたら、その通り。テイスト・オブ・ツクバ仕様のマッハはエンジン特性が激しくて、立ち上がりでパワーをかけたときに微妙なパワーコントロールが難しいからです。
侵入で鋭く向きを変え、立ち上がりではマシンを起こしてスロットル全開、という乗り方ができれば、多少タイヤが滑っても堪えることができます。
実際にこのタイヤの組み合わせはフィーリングがとても良くて、スパスパとコーナーでバンクさせることができました。ただ、当然と言えば当然なのですが、レースになってベースを上げて走るとフルバンク時にフロントタイヤのグリップが少し頼りなくなることもあります。
思い切って攻め込んだ時は細いフロントタイヤに負担がかかり、無理することができないシビアなフィーリングになってしまいました。

レースでは相手を抜くとき、部分的に無理をしなければならないこともあります。そういうときの自由度の高さを考えたら、フロントにも「ロードアタック3CR」を装着するべきかもしれないと思いました。
そしてカタログを見ていたら、あれ? 「ロードアタック3CR」のフロント用に100/90 R18 M/C 56V TLがラインナップされているじゃありませんか。
過去、ゴトーがフロントに履いたのは110/80ZR18というサイズ。「車重が軽いマッハにはもう少しだけ細いフロントタイヤがあったらフィーリング良くなりそうだな」と思っていたのです。
見逃していたのか、後から発売になったのかは分かりませんが、これは大発見でした。「もうこれしかない」と考えて前後「ロードアタック3CR」にすることを決意。フロントに100/90 R 18 M/C 56V TL、リアに130/80 R18 M/C 66V TLを装着することを即決したのであります。
前後「3 CR」フロント90/90→100/90で掴んだ手応え
この選択は間違っていませんでした。自由自在感が大幅に向上しています。「ロードアタック3CR」の安定感の高さはありますが、ライダーの操作を邪魔するものではなく、安心して攻めることができます。事前テストで十分に走り込めなかったのでタイムが伸びず予選は6番手でしたが、この時点でシッカリとした手応えを感じたのでした。

決勝前半は大排気量4ストロークに混ざって、トップグループを走行。前の数台がとても速くてジリジリと離されてしまいましたが、タイムも大幅に向上して結果は4位となりました(18インチタイヤを履いたバイクではトップです)。
決勝のレース中、走り方が変わってきました。コーナーの侵入で一気に方向を変えるのではなく、スムーズにコーナリングスピードを上げる方向です。つまりセオリー通りの走り方。こうするとタイヤがとてもシッカリとコーナリングフォースを受け止めてくれることが分かってきたからです。
立ち上がりでは以前よりもバイクが寝ている状態になりますが、ギャイ~ン!! とパワーが出るマッハでもリアタイヤがシッカリと踏ん張ってくれるので問題なし。自分が乗れている感じもするものだから少しずつタイムも上がり、レース終盤には今回のレースの最速タイムが出ました。たぶん、もう少し乗り込んだら過去の自己ベストも更新できそうな感じがしています。
ストリートからレースまで、懐の深いタイヤ
レースを終えて、「ロードアタック3CR」って面白いタイヤだな、と思いました。「まだタイムが伸ばせるぞ」なんて感じさせてくれることがその証拠。それにも増してすごいのは、このタイヤがレース専用のハイグリップタイヤではなく、ストリートやツーリングでもオススメできるということ。それでいてレースでは18インチトップレベルのパフォーマンスを発揮するんだから、どんだけ懐が広いんだよ、って思うわけです。

ちなみにゴトー、もちろん次回のレースでも「ロードアタック3CR」で参戦します。そして過去の自己ベストを乗り越え、17インチハイグリップを履いたビッグバイク勢に食い込みたいと考えています。
Writer: 後藤武
クラブマン誌や航空雑誌の編集長を経て現在はバイク、食、飛行機などのライターと
して活動中。飛行機とヘリの免許を所持しエアレースのTV解説も担当していたことも。2スト、旧車、V8のアメ車など多数所有。








