走るほどに“本物感”が伝わってくる!? トライアンフ「ボンネビルT100」2026年モデル 派手さはないけど中身は最新!!
トライアンフのモダンクラシックシリーズは、2026年モデルでリファインされました。アメリカのカリフォルニア州で開催された「BONNEVILLE EXPERIENCE(ボンネビル・エクスペリエンス)」で試乗した5機種から、1月に日本導入されたばかりの「BONNEVILLE T100(ボンネビルT100)」のレビューを紹介します。
「BONNEVILLE(ボンネビル)」の名を継承
トライアンフの「BONNEVILLE(ボンネビル)」は、ネオクラシックモデルの中で最も有名なアイコンと言えるでしょう。
このアイコンは、1956年にアメリカのボンネビル・ソルトフラッツという最高速チャレンジで、トライアンフの排気量649ccのツインエンジンを搭載した「ストリームライナー」というマシンが、非公式ながら時速214マイル(約342.4km/h)の世界最高速を記録したことに遡ります。
そして1958年に最初のボンネビルである「T120 BONNEVILLE」を発売。トライアンフは、アメリカはもちろん世界中の市場をリードしていったのです。
そんな伝統を今に受け継ぐのが、「ボンネビルT120」と「ボンネビルT100」です。「T120」は排気量1200cc、「T100」は900ccのエンジンを搭載し、それぞれ全く別物のキャラクターに仕上げられています。
「T120」はモダンクラシックシリーズの中のフラッグシップでベテラン向き、「T100」はどちらかと言うと若い世代やリターン組、さらに初めてのビッグバイクとして人気だと言います。

だからと言ってここで紹介する「ボンネビルT100」は、決して「ヌルい」仕上がりにはなっていません。とくに2026年モデルは電子制御を充実。IMU(慣性計測ユニット)を連動させたコーナリングABSとトラクションコントロールを装備し、ライディングモードに新たに「レイン」が追加されました。
英国クラシックスタイルを気軽に楽しめる
「ボンネビルT100」を目の前にすると、コンパクトかつシンプルです。年齢や性別、そしてキャリアを問わず魅力的に映り、ファッションとの調和性が高いこともすぐに伝わってきます。
目立った装飾のないミニマルなスタイリングですが、中身は最新。この姿から電子制御が充実していることは、誰も想像がつかないと思いますが、本質を知るとトライアンフが現代の技術を駆使しながらボンネビルを守り続けていることがよく伝わってきます。

跨ると、900ccとは思えないほどスリムです。目に飛び込んでくるコクピットのスピードとタコに分かれた2眼のメーターもクラシカルな雰囲気を盛り上げてくれます。シート前端とタンク後端が絞り込まれ、790mmのシート高は同エンジンを搭載する「スクランブラー900」と変わりませんが、「ボンネンビルT100」の方が前後タイヤが小径で、ハンドル幅が狭くさらに低く構えるため、コンパクトに感じます。
エンジンを始動しブリッピングすると、ステンレス製のマフラーから「スクランブラー900」よりも野太いパラレルツインサウンドが轟きます。
「ロード」モードを選んで市街地を走り出すと、どこまでもスムーズ。エンジン特性は穏やかで扱いやすさが磨き込まれているのが分かります。とくに低速域のトルク感が豊富で、高いギアでも簡単に走ることができます。また、「レイン」モードを使えば、ウエット時も扱いやすさを約束してくれることでしょう。
そして車体の細さとコンパクトさが、軽々とバイクを操れている手応えを教えてくれます。この直感的に扱いやすい感性は、とても大切です。「ボンネビルT100」に憧れを抱き、その夢を叶えたライダーに、バイクの趣味性の深さを身近に感じさせてくれるからです。

いまボンネビルに乗ることの誇り
峠に行っても、スリムかつコンパクトな「ボンネビルT100」の扱いやすいキャラクターは変わりません。サスペンションはよく動きつつ、しっかりと踏ん張ってくれるので、大小様々なコーナーをリズミカルに駆け抜けることができます。
「ボンネビルT100」に搭載される900ccの水冷パラレルツインエンジンは、シリンダーヘッドに昔の空冷エンジンをイメージさせるフィンが設けられ、水冷ですが趣を感じさせる洗練されたスタイルが特徴です。しかし、雰囲気だけにとどまらないその性能を発揮させることで峠での楽しさが倍増するのです。
立ち上がりで高回転まで回してみると、エンジンが独特のパルス感を増幅すると同時に、ライダーの気持ちに高揚感を芽生えさせます。想像以上の軽快性と運動性の高さは、スポーツライディングの楽しさを気づかせてくれることでしょう。ライダーはフロントタイヤが素直にステアしていく感覚に追従するだけで、自然とペースを上げることができるのです。

走るほどに「ボンネビルT100」に込められた紛れもない本物感が伝わってきます。見た目にも走りにも派手さはありませんが、その存在の全てに味わいや深い奥ゆかしさがあり、そこに英国気質を感じるのです。これこそが、現代に「ボンネビルT100」を走らせる喜びと誇りなのだと思います。
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トライアンフ「ボンネビルT100」(2026年モデル)の価格(消費税10%込み)は135万9000円からとなっています。
Writer: 小川勤
1996年にエイ出版社に入社。2013年に二輪誌『ライダースクラブ』の編集長に就任し、様々なバイク誌の編集長を兼任。2020年に退社。現在はフリーランスとして二輪媒体を中心に執筆を行なっている。またイベントレースも好きで、鈴鹿4耐、菅生6耐、もて耐などにも多く参戦。現在もサーキット走行会の先導を務める。














