いきなり走り出すのはキケン!? もうすぐバイクシーズン到来! 冬眠明けの重要な“儀式”とは
冬はバイクに乗らなかったライダーも、寒さが和らいでくると走りたくてウズウズするハズ。しかし冬眠していたバイクをそのまま走らせるのはNGです。必要カ所をチェックしなければ、バイクもライダーも危険です。
いきなり走り出すのは危険!
昔と違って近年は、高性能な防寒ウエアや電熱グローブなどの防寒アイテムを利用すれば、真冬でもライディングを楽しめるようになってきました。とはいえ路面が凍結や積雪した状況では、どんなに防寒対策しても基本的にバイクは乗るべきではありません。
また地域によっては、「冬場の数カ月間はバイクはお休み」というライダーも少なくないでしょう。そんな「冬眠していたバイク」を、春が近づき暖かくなってきたからと言って、いきなり普通に乗り出すのは少々危険です。
「ずっと乗っていないのだから、何も消耗していないでしょ?」と思うかもしれませんが、乗り出す前の「春メンテ」は必須です。
とは言えとくに難しいことは無く、基本的には「日常点検」と変わりません。どこをチェックすれば良いのでしょうか。

エンジンを「かける前」に確認
数カ月間もバイクを動かしていないと、まずは「エンジンかかるかな?」と心配になるのは人情です。セルボタンを押す前に確認すべきは「エンジンオイルが規定量入っているか?」、水冷エンジン車なら「冷却水(クーラント)が規定量入っているか?」もチェックします。
当然ですが、オイルや冷却水が入っていない(もしくは規定量に足りない)状態でエンジンをかけたら、破損する危険があります。
もちろん冬眠中にオイルや冷却水が抜けたり減ったりする可能性はかなり低いですが、エンジンのオイルレベルのチェック窓や、冷却水のリザーバータンクのレベルを見るだけで済むので、万一に備えてチェックしましょう。
そしてセルボタンを押して「キュルキュル、ブォンッ!」と、すんなりエンジンがかかれば良いですが、「キュル……キュル……」と、セルモーターの回り方が弱かったり、「カカカッ」と(スターターリレーの)音がするだけでセルモーターが回らない場合は、バッテリーが弱っている証拠です。

バッテリーはバイクに乗っていない間に自然放電し、車両によっては盗難抑止装置などで駐車中もわずかに電気を消費するので、冬眠中に放電した可能性があります。
この状態で深追いしてもエンジンはかからず、バッテリーが完全に上がってしまう可能性大です。充電器があれば補充電し、無ければバッテリーを外してバイクショップに持参して充電してもらうしかありません。
もしバッテリーの外し方がわからなければ、無理せずショップに連絡して対策方法を聞きましょう。
オイルが「カフェラテ」っぽかったら要注意!
無事にエンジンがかかったら、それでも走り出さずにチェックを続けます。再びエンジンのオイルレベルのチェック窓を確認して、エンジンオイルの色が多少黒く汚れていても問題ありませんが、もしカフェラテのような泡立ったクリーム状に見えたら、直ちにエンジンを停止します。
これはエンジンオイルと水が混ざって攪拌され、泡立った「乳化」した状態で、エンジン内の結露によって付着した水滴が原因です。
わずかな水分なら、ある程度の頻度で乗っていればエンジンの熱によって蒸発するので問題ありませんが、冬眠中に何度も結露して水がたくさん溜まった状態で激しく乳化してしまうと、エンジン内の潤滑に問題が起こる場合があり、最悪ではピストンやカムの焼き付きなどの原因にもなります。
このような状態を確認したら、基本的にオイル交換する必要がありますが、まずは乗らずにバイクショップに連絡・相談しましょう。
空気圧とパッド残量は絶対に確認!
アイドリングも安定し、オイルチェック窓を覗いて乳化もしていなければ、いよいよ走行………ではありません。走る前には必ずタイヤの空気圧をチェックします。
タイヤは正常な状態でも自然に空気が抜けます。一説には1カ月で約5%減少するとも言われています。ということは、例えば適正空気圧が230kpaで(冬眠前にきちんと入っていたとして)3カ月間冬眠していたら、195.5kpaまで下がっていることになり、この状態で走るのはグリップ力やハンドリングにも影響します。

ブレーキパッドの残量と、ブレーキフルードが適切な量入っているかなどもチェックします。
バイクを押し引きしながらブレーキをかけて、ブレーキが効くか、ブレーキレバーやブレーキペダルの操作に違和感が無いかも確認します。これは冬眠明けに関わらず、日常的にチェックするべき項目です。
そしてヘッドライトやテール/ブレーキランプ、ウインカーといった灯火類の作動状態と、ホーンが鳴るか確認します。
と、最低でもここまでチェックして問題が無ければ、走り出して大丈夫でしょう。
面倒でも出先でトラブるよりマシ
話が前後しますが、冬眠の状態によっても春メンテの項目が変わります。たとえば風雨をしっかり遮断するガレージ保管ならばともかく、屋外で車体カバーをかけて保管しているライダーの方が多いでしょう。
また車体カバーも1枚なのか、2枚重ねかで状況は異なりますが、しっかりカバーをかけていても、屋外だと少なからず砂ボコリが舞い込みます。また風による乾燥や、雨が降れば湿気がこもります。
そのため冬眠明けの春メンテの際には、まずは車体に付着したホコリを落とすために洗車するのがオススメです。これは見た目を綺麗にするというより、ホコリが付着したまま上記のメンテ作業を行うと、塗装面や樹脂パーツに小傷が付いてしまうからです。
またフロントフォークやリアサスペンションのロッドなどの摺動部分も、ホコリが付着したまま動かすとオイルシールが傷む危険があるからです。

乾燥によってレバーやペダルなど、操作部の油脂(グリス)が乾き気味になっている場合もあるし、湿気によってチェーンがサビている場合もあります。したがってこの辺りの清掃&潤滑も大切と言えます。
このように、チェック要素を挙げていくと「こんなに色々やっていたらツーリングに行けないよ!」と面倒に感じるかもしれません。
しかしノーチェックでツーリングに出かけて、行った先でトラブルが発生したらそれどころではないでしょう。
数カ月冬眠していたバイクは、慌てず時間をかけて「春メンテ」がオススメなのです。
Writer: 伊藤康司
二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。











