非主流派の魅力? スズキ「GT550」と「RG400ガンマ」にヤマハ「TDR250」!! 2026年春の『T.O.T.』に参戦したオンリーワンの2ストローク車
国内最大の草レースとして知られる「T.O.T.(テイスト・オブ・ツクバ)」には、1970~1990年代車を中心として、多種多様なバイクが参戦しています。2026年5月に開催された「SATUKI STAGE」で、唯一の存在だった2ストローク車、スズキ「GT550」と「RG400ガンマ」、ヤマハ「TDR250」を紹介します。
多種多様な参戦バイクの中で唯一の存在だった2ストマシンに注目
国内最大の草レースとして知られる「T.O.T.(テイスト・オブ・ツクバ)」には、1970~1990年代車を中心として、多種多様なバイクが参戦しています。2026年5月に開催された「SATUKI STAGE」で、唯一の存在だった2ストローク車を紹介します。

スズキ「GT550」大幅に手を入れたのは足まわりだけ
往年のスズキ製2ストローク車を愛する堀内英和さんは、以前は空冷並列2気筒の「GT500」や水冷並列3気筒の「GT750」を駆って、1970年代に生産された500~750ccが主力の「D.O.B.A.R.1」クラスを戦っていました。
そして2025年秋からは、ラムエアヘッドが特徴的な空冷並列3気筒の「GT550」で、同じクラスに参戦しています。
上位陣の4ストローク並列4気筒勢、カワサキ「Z2」系や「ザッパー」系、ホンダ「CB750F」などと比べると戦闘力的には厳しいようですが、会場で唯一のスズキ製2スト・トリプルは観客から大きな注目を集めていました。

「このバイクでTOTに参戦するにあたって、大幅に手を入れたのは足まわりだけです。オーバーサイズピストンの投入やクランクシャフトのオーバーホールは行っていますが、エンジン内部は基本的にノーマルです」
そう語る堀内さんですが、吸排気系にはきっちり手が入っていて、キャブレターは純正と同径でレスポンスに優れるケーヒンPWK28、チャンバーはスガヤ製と思われる当時モノの集合タイプを採用しています。
「パワーを追求するなら、キャブレター口径は30mm以上、チャンバーは独立式にするべきでしょう。でもこのエンジンは高回転域がよく回るので、現状ではあえて、低中回転域重視のセットアップを進めています」
スズキ「RG500ガンマ」どこまで行けるか見極めたい
『クオリティーワークス』というショップの代表を務める山下さんは、独自のチューニングを施した2スト・スクエア4気筒の「RG500ガンマ」を駆り、1980年代前半から中盤のTT-F1を再現した「ZERO-1」クラスを過去に何度も制しています。
とはいえ、2025年から使用している車両は「RG400ガンマ」で、エンジン内部はスタンダードのまま。その理由はどこにあるのでしょうか。

「400ガンマのポテンシャルを知りたいんですよ。逆に言うなら、僕は500ガンマのことは隅々まで把握しているつもりですが、400ガンマはそうとは言い難いので、このレーサーでどこまで行けるかを見極めたいんです」
ちなみに、エアクリーナーボックスを撤去してキャブレターをエアファンネル仕様とし、チャンバーをスガヤ、点火系をジールトロニックに変更した現状の後輪出力は、ノーマル+約20psの78psに向上しています。
「シャシーダイナモのデータを見たときは、400ccでこんなに出るのか!! と驚きました。ポートを加工したり圧縮を上げたり、キャブレターを大口径のレース用に変更したりすれば、+5~10psは確実にイケるでしょうね」
もっとも、近年の「ZERO-1」クラスの上位を走る4ストローク並列4気筒の「FZ750」や「GPX750」は120ps以上ですから、排気量がスタンダードの「RG400ガンマ」で上位進出は難しいでしょう。
とはいえ、全面刷新した足まわりのセッティングをじっくり煮詰めれば、まだまだタイムは短縮できると山下さんは考えているようです。
ヤマハ「TDR250」ようやくサーキットを普通に走れるように
T.O.T.参戦歴が約20年に及ぶ後藤さんの主戦場は、1980年代前半から中盤のTT-F3を再現した「ZERO-2」クラスで、ここ最近はヤマハ「R1-Z」を愛機としていましたが、今回は同系の2ストパラレルツインを搭載する異色のデュアルパーパス、「TDR250」でエントリーしました。

「R1-Zでの参戦は今後も続けるつもりですが、ちょっと違ったことをやってみたくなったんです。TDRのフレームはRZ-R系とよく似たダブルクレードルで、トラス構造でバックボーンタイプのR1-Zとは異なるしなやかさがあって、過去にRZ-RでZERO-2に出ていた身としては、何だか懐かしい気持ちになりました」
ただし、「TDR250」はサーキット向きのバイクではありません。コーナーを気持ちよく攻められるようになるまでには、いろいろな試行錯誤が必要になったようです。
「前後17インチホイールを筆頭とする足まわりは、当初から高年式のヤマハのスポーツモデル用に変更していたのですが、シェイクダウンではチャンバーやステップを擦りまくりでした(笑)。そこからバンク角対策を施して、前後ショックをいじって車体姿勢を整えて、ようやくサーキットを普通に走れるようになったんです」
現状の「TDR250」の戦闘力は、長年の愛機である「R1-Z」にはまだまだ及ばないと言う後藤さんですが、車両を解説する口ぶりからは、久しぶりにゼロから行ったマシン製作に、充実感を抱いていることが伺えました。
Writer: 中村友彦
二輪専門誌『バイカーズステーション』(1996年から2003年)に在籍し、以後はフリーランスとして活動中。年式や国籍、排気量を問わず、ありとあらゆるバイクが興味の対象で、メカいじりやレースも大好き。バイク関連で最も好きなことはツーリングで、どんなに仕事が忙しくても月に1度以上は必ず、愛車を駆ってロングランに出かけている。



















