待遇アップ!! バイク安全運転講習に次世代への1歩 「警察庁」は都道府県警察に協力要請 「二普協」は指導員の処遇改善
バイク死亡事故の大きな原因のひとつが、20代以下やリターンライダーの初心運転者の事故です。不慮の事故から守るための運転技術向上を目指して、各地でバイクの安全運転講習会が開催されていますが、その継続が危ぶまれています。次世代へ安全を引き継ぐための対策に乗り出しました。
存続危ぶまれるバイクの安全運転講習
バイクの安全運転講習は、警察と都道府県の「交通安全協会」が共同で実施するケースと、バイクメーカーで構成される一般社団「日本二輪車普及安全協会」(二普協/倉石誠司会長)が主催する2種類があります。
公道走行を前提とした安全運転技術の習得に特化し、格安の受講料を設定しています。初心ライダーの運転の不安を、運転の楽しさに転換するきっかけを作ることが目的です。
ただ、こうした講習の運営に携わる指導員は、ほかに仕事を持つボランティアです。1980年代のバイクブームでは、販売につながることを期待する関係者に支えられてきましたが、現状は本業のメカニックさえ確保できない厳しい人手不足と、現役指導員の高齢化で、必要数すら確保することが難しくなっています。
こうした状況を変えようと、主催団体のひとつである二普協が、大きな動きを見せました。安全本部本部長の荒井龍介理事は、次のように話します。
「2026年度の開催から指導員の処遇改善を図っています。具体的には交通費の支給や手当の見直しです」
二普協では、初心運転者向けに「BRL」(ベーシック・ライディング・レッスン)を展開しています。この講習会の運営に携わる指導員の日当を、全国一律化を目指して低過ぎる地域の日当を引き上げることを基本にします。
講習の参加を指導員の居住する都道府県とし、その範囲で交通費を支給すること。また、指導員の車両を持ち込んで指導にあたる場合は、燃料代などに相当する持ち込み料の支給を手当に盛り込みます。
「財政的な負担は大きくなったが、処遇改善に取り組み、指導員にも目を向けていることを伝えながら、士気高揚につなげたい」(前同)
警察庁も都道府県警察を通じて協力要請
都道府県警察と警察署が主催する安全運転講習会でも、初心ライダーの運転技術向上を目指しています。とくに東京、大阪などバイク利用の多い都市部では、死亡事故全体に占めるバイク乗車中の割合が増えていることから、安全運転講習会は事故防止に大きな意義があります。
警視庁は初心者向けに、ほぼ毎週末バイク講習会を開催しています。ところが、ここにも指導員の問題があります。

二普協によると、二輪車安全運転指導員は全国で約7000人が登録されています。東京都は約700~800人、全体の10%を占めています。こうした地域では、警視庁と同協会の両方で開催しても余力があります。
ただ、東京都のような環境は特別で、講習会で参加ライダーを募る以前に、新しい指導員を認定するための認定講習も開催できない状況に陥った地域も珍しくありません。
警察庁もその維持のための対策に乗り出しました。2025年10月、同交通部運転免許課は、都府県警察あてに、次のような事務連絡を出しています。
【指導員養成講習会や(※指導員の)審査、BRLへの警察職員の派遣・講習会場等となる運転免許試験場等の場所の提供について積極的に協力するよう】
指導員は、都道府県警察の外郭団体である「交通安全協会」下の「二輪車安全運転推進本部」が認定します。指導員を束ねる特別指導員は「全日本交通安全協会」下の「二輪車安全運転推進委員会」(中央委員会)が認定します。
全日本は地方協会の活動を支援し、その関係は警察庁と都道府県警察に似ています。
警察庁は、事務連絡の発出の意義を次のように話します。
「警察では、二輪車安全運転指導員は安全運転講習を担う交通ボランティアとして重要な方々と認識している。一方で、指導員等の数は年々減少している。地方委員会が行う指導員等の養成講習会、認定のための審査や、指導員等の活動の場であるBRL等の安全運転講習について、より一層の支援・協力を都道府県警察に対して求めるために、事務連絡を発出した。警察庁としては、引き続き各都道府県警察と地方委員会が連携を密にし、二輪車の交通事故防止に向けた活動をしていくことを期待している」
多くの指導員が配置されている方が、講習会はより充実し、初心運転者の安全運転技術を向上させることができます。
「二輪車安全運転指導員養成講習」と「審査」の日程は、各県の交通安全協会のホームページに掲載されます。夏・秋の開催を目指して、すでに募集が始まっている地域もあります。
Writer: 中島みなみ
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。





