「もう少し頑張れると思います」 あえて不利なアドベンチャーモデルでロードレースに挑戦する理由とは? アマチュアレースに見る楽しさと醍醐味
自身もカワサキの2ストロークマシン「750SS」(マッハIV/H2)で旧車レースを楽しむライターの後藤武さんが、アマチュアレースを楽しむ「ヒト」と「バイク」を紹介します。
大型アドベンチャーを「スーパーモト」の姿に!?
アマチュアレースを見に行くと、さまざまなバイクが走っています。自分の好きなバイクをサーキットに持ち込み、工夫して速く走る。それはアマチュアレースの醍醐味だと言ってもよいでしょう。
カメラマンのPOP近藤が「筑波ツーリスト・トロフィー」で注目したのは、最新のスーパースポーツに混ざって走っていたBMW Motorrad「R 1200 GS」でした。ご存知のように、大柄なアドベンチャーモデルです。決してサーキット向きのバイクではありません。しかも大きなアップハンドルのままだったこともあり、ひときわ目を引いたのだそうです。
ライダーの小倉さんは20代の頃、スーパーモト(スーパーモタード)のレースに参戦していた経験がありました。しばらくレースから離れていましたが、ホンダ「CRF1100Lアフリカツイン」で「GoodSunday Racers」というレースイベントに参加するようになったところ、もう少し本格的なレースに出場したくなり、筑波ツーリスト・トロフィーへの出場を考えるようになったのだと言います。
もともとスーパーモトでレースをしていたこともあって、オフロード系のバイクでサーキットを走ることに抵抗はありませんでした。
じつは当初、「アフリカツイン」で参戦を考えていたそうです。ところがたまたまツーリングに出かけたとき、「R 1200 GS」を手足のように扱う人と一緒に走ることがありました。これに憧れて増車することを決めます。
「R 1200 GS」はパワーがあり、フロントタイヤが19インチだったことから、21インチのアフリカツインよりもサーキットでは安心して走ることができました。こうしてレース参戦車両が決定。モタードスタイルを崩したくないと考えて幅広のオフロードハンドルはそのままに、マフラーをスリップオンにして、ステップをワンオフ製作しました。
レースをするとなると、タイヤの選択肢を増やしておきたくなります。そこで同じBMWの「R 1200 S」用ホイールを使って17インチ化することにしました。

ところが、これで問題が噴出します。ホイール径を小さくしたことで、ハンドリングが悪化してしまったのです。そこでスーパーモトに参戦していた頃のノウハウを活かして、セットアップを行います。
「ハンドリングに違和感が出てしまいました。フロントサスを伸ばしたりしてフロントを10mmくらい上げたことで、かなり良くなりました」
ハンドリングは改善されたものの、スロットルを開けたときの二次旋回が弱かったことから、さらに調整を加えていきました。
「タイヤの特性によってかなり変わるので、いろいろと試した結果、ダンロップのD212GPに落ち着きました。17インチ化でバンク角は減りますが、現状で大きな問題にはなっていません」
ただし、まだ理想的なハンドリングには到達できていません。
「本当はフロントのオフセットを変えたいんですが、それだと大手術になります。流用できるパーツがないか調べてみましたが、ワンオフするしかないという結果になりました。コストを考えるとそこまでは難しいので、現状のままどこまでできるかトライしてみるつもりです」
発展途上にある点に関して、小倉さんはポジティブに考えています。
「いじること自体を楽しんでいます。どこを変えるかを考えて、どのような変化が出るのか、そういうセットアップを繰り返していくこと自体が面白いんです」
現状のタイムは1分6秒8と、「R 1200 GS」としては立派なものですが、このクラスはライバルが速いため、レースでは苦戦してばかりだと言います。
「裏のストレートでの速度差も大きいから大変です。今のタイムではついていくことができません。でも、もう少し頑張れると思います」
小倉さんがあえて不利なアドベンチャーモデルでレースに挑戦するのは、こだわりがあるだけでなく、スポーツバイクやネイキッドには無い楽しさを感じているからなのでしょう。
Writer: 後藤武
クラブマン誌や航空雑誌の編集長を経て現在はバイク、食、飛行機などのライターと
して活動中。飛行機とヘリの免許を所持しエアレースのTV解説も担当していたことも。2スト、旧車、V8のアメ車など多数所有。












