スズキ新型「KATANA」 9か月足らずの開発期間は、チームの情熱とサプライヤーの協力あってのもの!

2017年11月のミラノショーでカタナのプロトタイプ3.0が発表され世の中に衝撃が走りました。スズキは、カタナを開発していたのでしょうか? 発売間近と噂される新型についてチーフエンジニアにお聞きしました。

KATANAを復活させた理由は?

 スズキ新型「KATANA」の試乗後筆者(和歌山利宏)は、開発の切っ掛けや乗り味などについて、チーフエンジニア寺田覚さんにお話を伺いました。

スズキ新型「KATANA」を試乗中の筆者(和歌山利宏)

 和歌山利宏(以下:和歌山):新しいカタナには、いろんな意味でセンセーショナルな印象があります。まず、2017年11月のミラノショーでのプロトタイプ3.0の発表が衝撃的でした。プレスデイ1日目のカンファレンスで発表されながら、私は当日のスケジュールが過密で出席できず、日本からの電話でそのことを知ったのですが、翌日にスズキのブースに行くとそれがない。聞いたら、モトチクリスモ誌のブースに置かれているというではありませんか。

 そのことに対し私は、人々の反応を見るためにお披露目はしたものの、正式なスズキのプロジェクトではないので、誤解を招かないようスズキのブースからは引っ込めた、と解釈しておりました。実際はどうなんでしょうか。

 寺田覚チーフエンジニア(以下:寺田):ぜひ、よきに解釈してください。ただ、あれはモトチクリスモ誌の企画と、イタリア人デザイナーのロドルフォ・フラスコーリ氏、エンジンズ・エンジニアリング社の共同プロジェクトによるもので、本社が直接、関わったものでなかったことは事実です。

 それでも、開発陣にカタナを蘇らせたいとの想いがあったことは確かで、その3.0なら新しいカタナとしていいのではないかと考え、3.0に触発されるように開発が始まりました。ミラノショーの翌月、17年12月のことです。

 和歌山:それで、翌18年10月のケルンショーでの発表でしょ。正味、9か月足らずですから、ずいぶん早くないですか。

 寺田:確かに異例の早さです。ベース車両にGSX-S1000があって、スタイリングベースに3.0があったとは言え、開発チームの情熱とサプライヤーの協力あってのものでした。

カタナらしいヘッドライトやスズキ車初のスイングアームマウントリアフェンダーを採用

 和歌山:その開発期間で特に労力を費やされたのは、どの部分なのでしょうか。

 寺田:やはり、スタイリングありきなので、その優先度が高かったと思います。インナータンクにカバーを被せる方式としたのですが、あのデザインは型抜きの問題で生産化には困難もありました。シートレールを専用設計とし、3.0では短かったシートにはタンデムが可能な長さを与えました。

 また、ナンバープレートやウィンカーをスズキ初のスイングアーム支持とするため、その強度確認にも労力を割きました。よりカタナらしくとヘッドライトも角型にしました。

 和歌山:そうして発表された市販予定車にケルンで跨ったのですが、「これがカタナか」と思うぐらいにライディングポジションがアップライトなことに驚かされました。

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