メーカー開発責任者とワインディングを走る! 「地球の三大名産品を楽しんでほしい」の意味とは?
車体を傾けて旋回する前2輪+後1輪の乗りもの、ヤマハ「NIKEN(ナイケン)」。そのプロジェクトリーダーらとワインディングを走り、開発秘話を聞くことができました。
「曲がること」と、「しゃれたデザイン」にこだわるヤマハ
眩しいほどに美しい新緑のなか、雨上がりのタイトコーナーを3台のヤマハ「NIKEN(ナイケン)」シリーズで、車体を傾けて気持ちよく駆け抜けます。

ヤマハ発動機 PF車両開発統括部SP開発部長の山本佳明さんと筆者(青木タカオ)は発売されたばかりの「NIKEN GT(ナイケンGT)」で、プロジェクトリーダーである鈴木貴博さん(ヤマハ発動機株式会社モビリティ技術本部)はご自身のナイケンです。
眺望の効くパーキングスペースで一息つくことに。ナイケンを見ながら、3人の話しは尽きませんでした。
鈴木さんはナイケンを愛車とし、通勤の足として自宅から会社まで片道30分、毎日欠かさず乗っているそうです。日常的に使いながら、これからのLMW(リーニング・マルチ・ホイール)をどうしていこうかとアレコレ考えているのだと言います。「先のことはお答えできませんが……」と明言は避けますが、LMWの可能性は拡がる一方で、ニューモデルも期待できそうです。
山本さんは「MT-09」や「MT-07」のプロジェクトリーダーを務め、ナイケンが搭載する排気量847ccの並列3気筒エンジンを開発した張本人です。
3気筒というのはバイクでは珍しいのですが、ヤマハはバイクだけでなく、スノーモビルや船外機、マリンジェット、産業用無人ヘリコプター、そして自動車などに搭載するエンジンをつくっていて、さまざまな気筒配列のエンジンに対する技術的なリソースがタップリ、だからこそ実現できました。

ふたりとも「旋回性能とデザインに強くこだわるヤマハの社風が好きだ」と言います。ヤマハ最初の市販バイクは1955年の「YA-1」ですが、黒一色で重厚なスタイルが常識だった時代に、マルーンやアイボリーを車体色に用いてスリムなフォルムとしたヤマハ。「しゃれたバイクを走らせたいという想いがずっとあって、当時も今も一貫していてブレていないところがいいですね」と、意見は一致しています。
LMW開発時、山本さんら上司からは「コーナリング性能はどうなのか?」と、なによりも先に旋回性を聞かれたと、鈴木さんは振り返ります。軽快に曲がれるのかを真っ先に考える、そんな社風がヤマハにはあるのです。