2台のBMW「G310R」と「Z4M40i」 バイクとクルマでBMWのものづくりの思想は変わるのか?

BMWでレースに参戦中の木下隆之氏が初めてBMWモトラッドのG310Rに試乗し解説します。BMWの2シーターモデルZ4と二輪車との共通項はあるのでしょうか。

身構えた初めてのBMWモトラッド、その走りとは?

「BMW G310R」を走らせるにあたり、三つの不安がありました。バイク素人の僕には、初めて跨るBMWモトラッドに緊張させられたのです。

 それもそのはず、BMWのバイクはどれも大型です。1.6リッターの直列6気筒エンジンを搭載しているものもあるのです。むしろ「G310R」のような、排気量313ccの4ストローク単気筒のバイクがあることさえ知らなかったほどですから、ことさら身構えてしまったのです。

BMW Motorrad G310Rに試乗する筆者(木下隆之)

 不安のひとつは、呼び名です。日本でいえば「ジー・サンイチマル・アール」が自然ですよね。でもネットで調べたら、外国人のキャスターが「ジースリー・テンアール」と呼んでいました。といっても、バイク素人の僕が欧文を気取っても似合わないので、日本流の呼び名で通しました。Z4を「ジーフォー」と呼ばずに、素直に「ゼット・フォー」と呼んでいるのですからね。

 二つ目の不安は、ライディングの衣装をどうするかということです。事前情報では、BMWの中でももっとも小排気量であり、軽量だとのこと。車重は160kgに抑えられています。だから、僕がBMWモトラッドに抱く、鉄の馬のような印象はありません。となると、革製のライダーズジャケットでは物々しすぎますし、かといって、いくら試乗日が猛暑だったからといっても、短パンTシャツでは撮影になりません。仕方なく、Tシャツに薄手のジャケットで、という出で立ちでまたがることにしたのです。

フレンドリーなキャラクターが与えられたBMW Motorrad G310R

 ただ、ヘルメットまでは気が回りませんでした。いつもモンキー50を転がすときのBUCOじゃナメているようですし、かといって、艶消し黒のフルフェイスでは大袈裟でしたね。慣れぬ試乗なのでお許し下さい。

 そうです、つまり、「BMW G310R」は、鉄の馬から想像するような武闘派ではなく、「R」と名乗っていても、実にフレンドリーなキャラクターが与えられているのです。

 ですので、三つ目の「立ちコケしないかなぁ~」という不安も、「BMW G310R」を対峙した瞬間に霧散しました。ヒョイっと跨っても、ふらつく心配はなかったのです。

水冷4ストローク単気筒エンジン搭載

 ハンドリングは軽快でした。単気筒エンジンですから、Z4のシルキーシックスとの共通性は発見できませんでしたし、パワーフィールも大人しいものでしたが、スムースなハンドリングに、Z4との共通項を見い出すことができたのです。これはエンジンを異例なほど後方へ傾斜させることで重心を低くしたゆえの結果でしょう。

 Z4も、エンジンを低い位置に搭載することで重心を下げています。フロントヘビーを避けるために、限りなく後退させています。それにより優れた前後重量配分を実現しています。それと同じ手法で、「BMW G310R」も重量配分に拘っている。思想にブレがないことに身震いしました。さすがBMWですね。これと決めたら絶対に譲らない頑固さは、二輪四輪問わず不変なのですね。恐れ入りました。

駆け抜ける歓びを体感するには、しっかりとしたウェアで試乗することをオススメします

 となるとやはり後悔は、あまりにも軽装で試乗してしまったことです。もうちょっと武装して、本格的にコーナーを攻めこむべきでしたかね。そう思わせるのが、やはりBMWの掲げる「駆け抜ける歓び」なのでしょうね。

【了】

「BMW Motorrad G310R/BMW Z4M40i」

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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