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あえての「足し算」でうまれたホンダ「スーパーカブ」カスタム 他車と迎合しない個性を求めた渾身の一台

数々のカスタムバイクが展示された神戸「ニューオーダーチョッパーショー」では、ハーレー・ダビッドソンなどの大型車だけではなく、小排気量車をベースにした車両も展示されました。その中でも個性が光る一台のカブ・カスタムにスポットを当ててみました。

『足し算』の発想で具現化された バガースタイル・カブカスタム

 カスタムバイクを手掛けるビルダーが新たなスタイルのカスタムを提示する重要な舞台……個性豊かなマシンたちが立ち並ぶカスタム・ショーの会場は、時にそんな役割を果たしますが、2019年8月に兵庫県神戸市の神戸国際展示場3号館で開催された『ニューオーダーチョッパーショー』に出展されたホンダ「スーパーカブ」カスタムは、まさにそんなシチュエーションを大いに活用した好例と呼べるかもしれません。

リアのバッグに合わせ、あえてボリューミーなレッグシールドをワンオフで製作するこの一台。カブという素材でバガースタイルが見事に表現されています

 製作したのは、京都府南丹市のクラッセ・ドレスアップ&カスタムファクトリーですが、同店のビルダーである竹内浩朗氏は車両を手掛けた理由について「みんながしてへん事をやった方がオモロイから」と語ります。

 近年、スーパーカブのカスタムといえばレッグシールドを外し、シンプルな方向に針を振る『引き算』系のものが主流ですが、竹内氏が選んだのは、あえての『足し算』。車体後部の両側にハーレー・ダビッドソンのツアラーモデルのようなサイドバッグを加えることで『Bagger style(バガースタイル)』へ生まれ変わっています。

 また、ボリューム感を持たせたリア周りとのバランスを整えるべく、厚みのあるレッグシールドをFRP(繊維強化プラスチック)で再構築。ご覧のような個性的なフォルムに仕上げられています。

その昔、リアにケースを備える『CUBRA』というメーカーのキットもありましたが、それよりも良好なバランスに感じるこのマシン。エイプハンガーの角度も絶妙です

 ちなみに『バガースタイル』とはリアに『サイドバッグ』を備えるハーレーのツアラーモデルをベースにしたカスタム手法で、1990年代に『マスター・カスタマイザー』の異名を持つビルダー“アーレン・ネス”が生み出したカスタムスタイルです。車体全体のバランスもお世辞抜きに見事なこの一台では、小排気量車のスーパーカブで見事にその世界観を表現しています。

細部まで抜かり無く作り込んだ個性溢れる一台

 各部のディテールを見ると市販のエイプハンガーを左右4cmずつ詰め、カブのサイズに合わせてナロー化されたハンドルバーや、ホンダ「ズーマー」用のテールランプを流用したというリア周り、今や世界最高峰のカブ・カスタム・シーンともいえるインドネシア/バリ島のショップから輸入したというシートなど、ディテールを飾るパーツの選択もセンスを感じさせるもので、ビルダーの狙いどおり、他にはない個性を発揮します。

 ちなみにフロントのレッグシールドとリアのバッグは発泡ウレタンを削り、車体とのバランスを入念に整えた上で基本となるオス型を製作。そこにグラスファイバーを貼り付け具現化したもので、ステム周りなども絶妙な形状に仕上げられています。

ビルダーであるクラッセの竹内浩朗氏。カブに限らず様々なマシンを使い、柔軟な姿勢でカスタムに取り組みます

 ホンダ『スーパーカブ』は1958年に登場した“C100”を起点に生産が開始された、世界最多の生産台数を誇るモデルと言われていますが、そんな長い歴史を持つモデルをベースにしたカスタム車両の中でも、このマシンの個性はかなりのものです。あえてカブをバガースタイルに仕上げるという発想や、結果的に実用車であるカブが、より便利なものになっている点も見逃せないポイントでしょう。

 他車と迎合しない個性を求めて、ビルダーやオーナーが手を加え作り上げられるカスタムバイクというものですが、今回のニューオーダーチョッパーショーで目にしたクラッセによるカブ・カスタムは、まさにその象徴といえる存在であり、ハーレーを中心とした大排気量車が並ぶショー会場の中でも一際、オリジナリティを感じるものでした。この発想には脱帽です。

【了】

「足し算」思考で生まれたホンダ「カブ」バガーの画像を見る

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Writer: 渡辺まこと

ハーレーや国産バイクなど、様々な車両をベースにアメリカン・テイストのカスタムを施した「CHOPPER」(チョッパー)をメインに扱う雑誌「CHOPPER Journal」(チョッパージャーナル)編集長。カスタム車に限らず、幅広いバイクに対して深い知識を持つベテラン編集者。

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