なぜ大ブーム? ヨーロッパでレースを絡めたバイクイベントが好調なワケとは?

現在、ヨーロッパのバイクシーンではレースを絡めたバイクイベントが大ブームとなっています。いったいなぜ、好調なのでしょうか。ヨーロッパのイベントに長年訪れている河野正士さんにその理由を綴ってもらいました。

レースを織り交ぜたヨーロッパのバイクイベント

 いまヨーロッパはバイクイベントが大ブームです。特に北ヨーロッパでは寒い冬にはバイクに乗ることができないため、短い夏に、一気にバイクを楽しもうという機運に溢れています。

ドイツ「グレムセック」では、レース後、対戦した2者が2000人ほど入るグランドスタンドの前を通過し、ピットに戻ってきます。その際に、お互いをたたえ合い&観客サービスのためバーンナウトなどを披露。当然、盛り上がります

 そしてここ数年は特にその気分が高まり、4月から9月に掛けては、それこそ毎週末のように各地でさまざまなバイク系イベントが開催されている状態。新しいイベントも、いくつも誕生しています。なかでも人気なのが、レースを絡めたイベントです。

 そもそもヨーロッパのカスタムバイクブームに種火が灯ったのはいまから約10年前。インターネットの普及により、いつでもどこでも世界中のカスタムバイクを見ることができるようになり、そのデジタルの盛り上がりをリアルに体験しようと、各地でカスタムバイクイベントがスタートしたことがその始まりでした。

アメリカのドラッグレースのようなスタート用のシグナルツリーやタイム計測はありません。フラッグガールの合図でスタートし、ゴールもスタッフの目視。きわどい判定の場合はやり直しになります

 そのカスタムシーンは、ハーレーダビッドソンを中心とした既存のカスタムバイクシーンにカウンターを当てるように、日本車や欧州車が中心だったのです。シーンの中心にいたバイクファンたちは、安価な日本車でバイクの楽しさを学び、米国車よりも身近に欧州車があったから、新しいシーンが生まれる土壌が長い時間をかけ育っていたのです。

 そしてヨーロッパ各地で起こった各イベントは、差別化のためカスタムバイクを展示するだけのイベントじゃない“新しい何か”を求めたのです。それがバイクのスポーツアクティビティ、そうです、レースだったのです。

レースのカテゴリはイベントによって様々

 今年で開催14回目を迎えたドイツ「Glemseck101/グレムセック・ワンオーワン」はカフェレーサークラブの集まりの余興として1/8マイルスプリントレース(0-200mドラッグレース)を始め、今やヨーロッパを代表するイベントへと成長しています。

カスタム&チューニング度合い、排気量、年式、スタイルによって様々なクラスが存在。なかにはこんな、ほぼスタンダードのホンダCBX1000で参戦できるクラスもあるのです

 2011年にはイギリスでダートトラックイベント「Dirt Quake/ダート・クウェーク」が始まり、いまやそれは英国のフラットトラック選手権をも巻き込み、そしてイベントは米国にも飛び火しました。
 
 そして8回目を迎えたフランス「Wheels and Waves/ホイールス・アンド・ウェーブス」は初回から開催しているスプリントレースに加え、数年前からフラットトラックレースを取り入れ、一昨年から始まったイタリア「Deus Swank Rally/デウス・スワンク・ラリー」はビンテージエンデューロレースをイベントの核としました

ドイツの大型パーツ量販店/Louisが制作したホンダ・ゴールドウイングのカスタムバイク。水平対向6気筒エンジンをオリジナルフレームに搭載。ゴールドウイングが持つ多くの電子制御システムも継続使用できるようにセットアップされています

 また、グレムセックととも、南ドイツ「Auerberg Klassik/アウアーベルグ・クラシック」では、1960年代後半から約20年間、オーストリアに近い南ドイツの町/ベルンボイレンで開催されていた、舗装されたと峠道、いわゆるワインディングを使ったヒルクライムを2017年に復活させ、以来2年ごとの開催を目指し、今年その第2回目が開催されました。村全体を巻き込み、ビンテージバイクとカスタムバイクが全力で峠道を駆け上がります。

 それ以外にも、ヨーロッパ各地で、単独または複数のカテゴリーのレースをイベントの核としながら、同時にカスタムバイクやビンテージバイクをミックスし、またキャンプやライブを絡めたフェスのようなイベントが沸き起こっています。

 格好いいバイクは当然のように速く走って欲しい、と思うのはバイクファンの常。そして、速いバイクは格好いいし、そして速いライダーも格好いい、というのもバイクファンの常識です。これらヨーロッパのイベントには、そのバイクファンの欲望が詰まっています。

 そしてイベントの現場で感じたのは、観客から賞賛を浴びるのは“魅せるライダー/魅せるバイク”の重要さ。言い換えれば“美学があるライダー&バイク”ということでしょうか。レースは、この”美学”が明確になります。だからこそ、いまレースを中心としたイベントがウケているのかもしれません。

【了】

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Writer: 河野正士

国内外問わず、幅広いフィールドでオートバイ関係の取材、 執筆活動を行う。オートバイ・メーカーのwebサイトなども担当しているため、繋がりも強く、事前情報などにも精通。
海外試乗会などにも積極的に参加している。

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