バイク保有世帯率 世界第一位のタイで見た 本格仕様のカブ・チョッパー

2019年11月末にタイの首都バンコクで開催されたカスタムショーでは様々なカスタムバイクが展示されました。その中でもかなり本格的なチョッパーへとカスタムされたのがThe Clown Shopによるスーパーカブ・ベースの一台です。

タイのカスタムショーに登場したハイレベルなカブ・チョッパー

 人口は世界で20位でありながら、バイクの保有世帯比率は世界第1位、計算上では国民の87%が二輪車を保有するタイ王国。その首都であるバンコクの風景を眺めると総人口約6800万人に対して登録台数2000万台オーバーというバイクの多さも納得出来るのですが、同国で近年、高い人気を博すのが『趣味性の高い』モデルであるといわれています。

フロントフォークをワンオフ(一品もの)で製作し、リア周りをリジッド化することで、本格的なチョッパー・スタイルとなった“The Clown Shop”製の一台。全体のバランスも見事です

 特に大型バイクは年々、人気の高まりを見せているそうですが、去る11月23日から24日に首都、バンコクの“Show DC Arena”で開催された“バンコク・ホットロッド・カスタムショー”でも出展の7割は大型バイク。中でもハーレーやBMWが高い人気を博している印象を受けました。

 とはいえ、実際のバンコクの風景を見るとやはり主力は125ccクラスの小排気量車で、市民のアシとなっているのはスクータータイプの車両が多いようです。

 東南アジアのカスタムシーンといえば、こうした小型車両をベースにしたものが多く、特にインドネシアのショーではハイレベルな「カブ・チョッパー」が立ち並びますが、タイのショーでも同クラスの車両がチラホラ見受けられます。タフな実用車を趣味性の高いチョッパーに変えてしまうマニアの存在は、やはり万国共通のようです。

スタイルのみならず走る楽しさも追求

 実用車の中でも『ホンダスーパーカブC70』はタイで高い人気を博していたそうですが、ここに紹介する一台は、1967年式の同モデルをベースにしつつ、見事なチョッパーに変貌を遂げています。

フロントフォークをワンオフ(一品もの)で製作し、リア周りをリジッド化することで、本格的なチョッパー・スタイルとなった“The Clown Shop”製の一台。全体のバランスも見事です

 製作したタイの“The Clown Shop”によると “Slim and Smooth” をコンセプトにカスタマイズが施されたこの一台は、スタイルイメージを具現化する為にシングル・スプリングタイプのスプリンガー・フロントフォークをワンオフ(一品もの)で製作。そのリアレッグから延長されたバックホーン・タイプのハンドルバーもナロー(細身)なフォルムに仕上げられています。

またフレームにしても“細く美しい”フォルムを実現すべく、リア周りを大胆にモディファイ。凝った造形のアップスゥイープマフラーがリジッドタイプとなったフレームの内側を通る構造やシッシーバー、コブラシートのデザインも一貫性を感じるものです。

 加えてこのマシンは見た目のデザインのみならず、「楽しい乗り味」を求めたものとのことで、エンジンはより信頼性の高い1997年式のホンダWAVE100のものへ換装。ジョッキータイプのハンドシフトとされた操作系と相まって狙い通りのライディング・アクティビティーを見せつけるに至っています。また車体全体に施された“ Loser Custom paint Pinstriping”による美しいピンストライピングもチョッパーらしさを強調する見事なものです。

エンジンはベースである1967年式スーパーカブC70から1997年式のWAVE100のホリゾンタルに換装。信頼性がより高められています。車体のピンストライピングも見事です

 チョッパーが米国で生みだされたという歴史的背景から考えれば、ハーレー・ダビッドソンをベースにした車両こそがその王道かもしれませんが、一方で『安価なモデルを自由に改造する』というチョッパーの基本的な理念に基づくと、小排気量車を素材に楽しむことも自然な成り行きといえるでしょう。特に大型バイクが驚くほど高価な地域では尚更です。

 世界のバイク大国であるタイのカブ・チョッパー……この一台からは創り手や乗り手の楽しさが伝わってきます。

【了】

タイで製作された個性的な「カブ・チョッパー」の画像を見る

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Writer: 渡辺まこと(チョッパージャーナル編集長)

ハーレーや国産バイクなど、様々な車両をベースにアメリカン・テイストのカスタムを施した「CHOPPER」(チョッパー)をメインに扱う雑誌「CHOPPER Journal」(チョッパージャーナル)編集長。カスタム車に限らず、幅広いバイクに対して深い知識を持つベテラン編集者。

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