前2輪の3輪スクーター ヤマハ「トリシティ155」を原二の125と比べてみると?

前2輪+後1輪の3輪で傾きながら旋回する「LMW(リーニング・マルチ・ホイール)」技術を搭載するヤマハ「トリシティ」シリーズ。初代「トリシティ125」オーナー伊丹孝裕さんが、2020年型の「トリシティ155」と比較します。

くやしいけれど、進化しているところは称えるべき、か……

 2014年の登場当時は、ややキワモノ感が漂っていた3輪スクーターが「TRICITY 125(トリシティ125)」(以下、125)です。と言いつつ、ヤマハのそういうチャレンジが嫌いじゃない僕(筆者:伊丹孝裕)は、ほどなくそれを手に入れて日常の足として愛用。6年近くが経過した今も酷使に耐えてくれています。

ヤマハ「TRICITY 155 ABS」(2020年型)に乗る筆者(伊丹孝裕)

 以後、ABSが装着されたり、エンジンが新型に切り換わったり、排気量155ccバージョンが追加されるなどして着々とシェアを拡大。警察署や交番に配備されるケースも多く、街並みにすっかり溶け込んでいると言っていいでしょう。

 そこで、シリーズの最上級モデル「TRICITY 155 ABS(トリシティ155 ABS)」(以下、155)の印象をお届けしつつ、初代125との比較を通して進化したポイントを深堀りしていきたいと思います。

 まず、155にまたがって体感できるのは「お! 足つきがいい」という点で、発進や停止の際に足を出し入れするのも楽。このクラスのスクーターは意外なほど大柄な車体が多く、平均的な男性の体格でもツマ先立ちになるケースがあるのですが、かなり良好な部類と言っていいでしょう。

 そしてなによりありがたいのは、シート下の収納スペースが大きく向上していることです。 約23.5リットルの容量があり、前後に長い海外ブランドのフルフェイスヘルメットも余裕で収納できます。

特徴的な形状のフルフェイスヘルメットもスッポリ収まるようになったシート下収納

 初代125も約20リットル分のスペースが確保されていたものの、スッポリと入るフルフェイスヘルメットは限られていました。ほかにも155にはLEDの照明(ルームランプ)が装備されるなど、利便性が高められています。

 その利便性に関して追記しておくと、ヘルメットホルダー(しかも2個分)や12Vの電源ジャック、小物入れ、パーキングブレーキが用意されているところもポイント。いずれも初代125にはない装備で、着実な改良がうかがえます。

 とくにありがたいのがハンドル左側に備わるパーキングブレーキで、坂道や斜面でも気兼ねなく、しかも安全に停車させられるところが高ポイント。平坦な場所がなくて留められない、というシチュエーションは意外とよくあることなんです。

ハンドル左側、スイッチボックス下にパーキングブレーキのレバーを装備(写真はONの状態)

 そしてもうひとつ、素晴らしくいい出来なのがエンジンです。155ccにもかかわらず、125ccの初期型よりも燃費がよく、それでいて最高出力は圧勝。それを知った当時、あまりにも悔しくて「キーッ」となったことを思い出してしまいました。

 ちなみに、その差は仕様上では次のような感じです。

●トリシティ125(2014年型) 
燃費:35.8km/l(60km/h走行・2名乗車)
最高出力:11ps/9000rpm

●トリシティ155 ABS(2020年型)
燃費:43.4km/l(60km/h走行・2名乗車)
最高出力:15ps/8000rpm

排気量155ccの水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブエンジンを搭載する「TRICITY 155 ABS」は、「AT限定普通二輪免許」以上の二輪免許で運転可能な軽二輪スクーター

 初期型オーナーのガッカリ感が伝わるでしょうか? もちろん、ヤマハとしても125をそのままにしておくわけにもいかず、2018年にマイナーチェンジ。それ以降のモデルのスペックは次の通りです。

●トリシティ125 ABS(2018から2020年型)
燃費:46.2km/l(60km/h走行・2名乗車)
最高出力:12ps/7500rpm

 こうして数値を並べてみると、ガッカリ感がさらに増すばかり。燃費が10km/l以上も改善されるのはいかがなものか!? と関係者を問い詰めたくなりますが、これが技術の進歩ってやつですね。環境に優しいのだから文句を言っちゃいけません。

 で、実際に走り出すとどんなエンジンなのか? フロント2輪はどんなフィーリングなのか? そのあたりの印象はまた別の機会にたっぷりとお届けしましょう。

【了】

【画像】ヤマハ「トリシティ155」はどこが良いかって?(11枚)

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Writer: 伊丹孝裕

二輪専門誌「クラブマン」編集長を務めた後にフリーランスとなり、二輪誌を中心に編集・ライター、マシンやパーツのインプレッションを伝えるライダーとして活躍。マン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムなど、世界各国のレースにも参戦するなど、精力的に活動を続けている。

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