“アメリカン・スポーツ”のニューカマー、ホンダ「レブル1100」とその頂点であるサンダンス「スーパーXR」を比べてみました

かつての“国産アメリカン”とは異なるテイストを持つモデルとして登場したレブル・シリーズ、その大排気量車である「レブル1100DCT」ですが、そのライバルとなるモデルといえそうなのがハーレーダビッドソンの「スポーツスター」ではないでしょうか。ここでは走行性能面においてスポーツスターの頂点ともいうべき存在サンダンス「スーパーXR」と比較してみましょう。

かつての“国産アメリカン”とは事なるフィーリング

 ホンダが独自に開発した“DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)”を採用し、2020年に登場した「レブル1100 DCT」ですが、そのライバルたるモデルは何か? 中には異論、反論あるとは思いますが、それはハーレーダビッドソン(以下:ハーレー)の「スポーツスター」ではないでしょうか。

全長2,240mmのホンダ「レブル1100」(右)は2003年以前のソリッドマウント(現在はエンジンがラバーマウント)スポーツスターの2,250mmとほぼ同サイズ。跨った際のポジションもアメリカン・スポーツを感じさせる似たものとなっています

 多くの人が『アメリカン・バイク』と聞くとアシを前に投げ出したフォワードコントロールとプルバックハンドルによるホースバック・ライディング・ポジション(馬に跨っているようなポジション)で、ゆったりと走るイメージを抱きがちでしょうが、レブル1100やスポーツスターはいずれにしてもミッドコントロール・ステップに低めのハンドルバーというダートトラッカー的なポジションとなっており、アメリカンの中ではスポーツバイクとカテゴリー出来るもの。峠道でも比較的、キビキビと走れるものとなっています。

 今回は、そのレブル1100に対して、ハーレーのスポーツスターの中で究極(個人的な意見ですが)、といえる車両であるサンダンスの「スーパーXR」と乗り比べをしてみたのですが、結論から先に言ってしまうと、どちらにもそれぞれの良さがあるというのが正直なところです。

レブル1100に搭載されたボア92.0mm×ストローク81.4mmの水冷4ストロークOHC4バルブ直列2気筒エンジンは中々にトルクフル。ハーレーのスポーツスター・フォーティーエイトが1200ccで9.8kg-mなのに対して1082ccで9.9kg-mという最大トルクを発揮します。またアメリカン=Vツインに囚われていないところも個人的に好感を持った部分です

 ホンダ独自の技術であるDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)を備え、87ps/7000rpmのスペックが与えられた1082ccの水冷4ストロークOHC 4バルブ直列2気筒エンジンを搭載するレブル1100ですが、以前に当サイト(バイクのニュース)で書かせて頂いたとおり、走らせてみても文句をつける部分がありません。エンジンはハーレーと比較して鼓動こそ感じませんが、トルクは十分。スペック上で10.0kgf・m/4,750rpmの最大トルクは車体をグイグイと前に進めるアメリカン・クルーザーらしい味付けとなっています。

 またクラッチレバーを持たないDCTという機構もシフトチェンジ操作を必要としない分、ワインディングでコーナーを楽しむことに集中出来る点も特筆すべき部分です。

 最初こそ、クラッチ操作のない乗車感覚に違和感を覚えたのが正直なところですが、慣れてしまえば逆に、それが楽しさを感じさせるものとなっており、「なんか未来の乗り物って感じだなぁ」と思ったのが筆者の率直な感想。ちなみにこのレブル1100はライディングモードを“ノーマル”と“スポーツ”、“レイン”と任意に変更可能なのですが、“スポーツ”モードで峠道を走らせてみると、ある程度までエンジン回転域が引っ張られるのでキビキビとライディングを堪能出来る味付けとなっています。

ホンダ「レブル1100DCT」に乗る筆者(渡辺まこと)

 90年代、いわゆる“国産アメリカン”の多くのモデルはエンジンが“電動モーター”のような味付けであり、“出来の良さ”がイコールで“ツマラなさ”に繋がっていたような印象を個人的には抱いていたのですが、今の“国産アメリカン”は、トルク感が面白さに繋がるという“ツボ”が巧く押さえられている気がします。

 そうした乗り味やポジションから、レブル1100を走らせた時にハーレーのスポーツスターという存在が即座にアタマの中にチラついたのですが、こと“ノーマル”という部分だけで語れば、面白さはレブル1100に軍配が挙がるかもしれません。

低回転から強烈なトルクを発揮する

 一方、走行性能という観点から見た場合にスポーツスターの究極形と言えるであろう存在がサンダンスのスーパーXRなのですが、このマシンは2004年式以前のスポーツスターをベースにしたコンプリート・マシンであり、最初の発売が1995年。現在もオーダー・カスタムというカタチで販売されています。

5速スポーツスターの腰下(クランク&ミッション周り)にサンダンス・オリジナルのシリンダーやヘッドを組み合わせたスーパーXRエンジンはボア89.4mm×ストローク96.7mmの排気量1214ccで後軸100ps/5200~7000rpm、トルク13kg-m/4800rpmを発揮。スペック上ではレブル1100の遥か上をいきますが、3500rpmから豹変する乗り味もかなりエキサイティングです

 スペック上でボア89.4mm×ストローク96.7mmの排気量1214cc、最高出力120ps/5200~7000rpm、最大トルク15.6kg-m/4800rpmを発揮するこのマシン(今回はレブル1100のスペックと合わせてエンジン出力表記としています)とノーマルのレブルと比較すること自体、ナンセンスなのかもしれませんが、たとえばスポーツスターを筆頭にした“アメリカン・スポーツ”の中でレブル1100の実力は如何なるものかを探るモノサシとして、筆者(渡辺まこと)の個人的な好奇心から今回は乗り比べをしてみた次第です。

 ちなみにノーマルのスポーツスターは2003年式のXL1200Sで馬力はだいたい66馬力前後(ハーレーはメーカーから正式な馬力が公表されていません)、トルクは約9.8kg-m/3000rpmなのですが、単純にこの数字だけみても、スーパーXRというマシンが別モノであることがお分かりになるでしょう。ちなみにエンジン出力のデータは後軸で計測すると約20パーセントダウンします。

 無論、スーパーXRは実際に走らせてみても低速ではハーレーらしい鼓動感を感じさせつつ、3500rpmを超えると強烈無比な加速を見せつけるのですが、それよりもこのマシンの特筆すべき部分は、チューニング・ハーレーにありがちな不安的な異音がエンジンから、まったく発せられない部分とでもいえばいいでしょうか。ヘッドやシリンダー、キャブやカムなどのほとんどがサンダンス製のパーツで固められ、ノーマルパーツはクランクケースとミッションのみという内容でありながら、この完成度の高さは見事です。

サンダンス「スーパーXR」に乗る筆者(渡辺まこと)

 また足周りにしてもスーパーXRはサンダンス・オリジナルのパーツで固められており、ノーマルで足周りに難があるスポーツスターとはまったく別ものとなっています。また今回、同日に試乗したレブル1100DCTもスーパーXRと比較してしまうと、フロントとリアのサスの動きが微妙にバラバラに動いているように感じたのも率直な感想です。

 とはいえ、“アメリカン・スポーツ”というカテゴリーの中で考えれば、レブル1100には、まだまだ改善の余地があるでしょう。たとえばこのマシンをベースにレーシングコンストラクターの“無限”あたりが手を加えたコンプリート・マシンが生まれたら、相当に面白いかもしれません。

 いずれにしても“カスタム”を施し、“より面白くする”のもアメリカン・バイクの醍醐味。その完成形であるスーパーXRと可能性を感じるレブル1100、どちらも良いバイクであることは間違いありません。

【了】

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Writer: 渡辺まこと(チョッパージャーナル編集長)

ハーレーや国産バイクなど、様々な車両をベースにアメリカン・テイストのカスタムを施した「CHOPPER」(チョッパー)をメインに扱う雑誌「CHOPPER Journal」(チョッパージャーナル)編集長。カスタム車に限らず、幅広いバイクに対して深い知識を持つベテラン編集者。

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