ツーリング中の転倒事故 道路にオイルをぶちまけた時にライダーがやるべきこと

ツーリング中の転倒事故、不幸中の幸いで大けがやバイクに重大な破損が無かったにしても、道路にオイルを垂れ流してしまった場合、ライダーはどのような行動をとるべきなのでしょうか。

自身のアクシデントが原因で、道路利用者に迷惑をかけないように

 長期休暇でツーリングに出かける機会も多い夏。こんな投稿がSNSを賑わせました。

“事故った後オイル処理しないとか何考えてるんですか。この垂れ流しオイルで事故起きてますよ”●

事故防止の看板が設置されている「奥多摩周遊道路」。不幸中の幸いで、事故が軽かった時のことも考えるべき

 バイクの転倒事故では運転者に影響がない軽い事故でも、車体が大きく破損し、エンジンオイルやガソリンが流出することも珍しくありません。関係者に対応策を聞いてみました。

警察だけでなく、道路管理者にも一報を

 運転者には通報義務があり、警察への通報はすぐに思い浮かべるところですが、警察が最優先する仕事は、事故原因を特定するための事故処理です。道路の機能が損なわれている時は通報とは別に、道路管理者に連絡することが必要です。市道は市、町道は町、村道は村など、道路には必ず自治体など管理者がいます。

 SNSに投稿された事故現場は、東京都奥多摩町と檜原村を結ぶ都道「奥多摩周遊道路」でした。東京都建設局の建設事務所に聞きました。

「ご存知のようにオートバイの転倒ケースはよくあります。巡回中に発見すれば救出活動をしますし、路面にオイル漏れを発見すれば、ACライトのような油吸着材をまいて処理をします。しかし、道路管理のための巡回は1日1回。転んだから来てくれという便利屋的なことは困りますが、次の車両が通過して事故を起こすことは絶対に避けるべき。ぜひ連絡をいただきたい」(奥多摩出張所)

 自治体以外にも道路管理者がいます。静岡県内の有料道路を管理するのは静岡県道路公社です。ここでも事故当事者の積極的な連絡を求めています。

「危険な状況を放置すると二次事故が出ます。次の事故を防ぐための措置は運転する人にとって欠かせません」(道路部企画業務課)

 同公社は、伊豆、箱根スカイラインなど霧に包まれることも珍しくない地理的に厳しく、長いルートを抱えています。事故現場を放置しないことが、何より新たな事故を未然に防ぐことになります。

 トラブルの詳細は明らかにされていませんが、SNSには放置されたままの路面を通行し、二次的な転倒事故が起きたことが書き込まれていました。

ロードサービスという選択肢も

 事故車両を救出することを仕事にするロードサービスは、こうした事故処理に、どう対応しているのでしょうか。国内4メーカーや国内販売店組合のロードサービスや保険商品を手掛ける「zuttoRide(ズットライド)」のサービス&セールス担当の羽井佐圭一取締役は次のように言います。

「私見ですが、ライダーが転倒時に対応するとなると常時吸着材を装備するわけにもいかないため、現場周辺にある土や砂を掛けて隅に寄せていくことになるかと思います」

2021年3月、バイクシーズンを前にライダーへ向けた事故防止を呼びかけるイベントが開催された

 吸着剤の大きな特徴のひとつは、スリップしないことです。砂はその機能がありません。そのため今度は路面の砂を取り除く道具の調達に困ることになります。焦る余り、砂や塩化カルシウムなどの融雪剤などあり合わせの手段で対応するより、よい手段はないのでしょうか。羽伊佐取締役は、事故時にやるべきことを列挙して意識することが大切だと、アドバイスします。

「身体の状況チェックと後方車両からの安全確保。これに問題がなければ、次の段階として車両の状況確認と二次事故回避行動。二次事故を回避するための対応が十分にできないときに備えて発煙筒の装備なども望ましいのかもしれません」

 同社のロードサービスは事故車両だけでなく、現場の二次事故防止も行なうと言います。

「レスキューの現場でオイル漏れをしている場合、これに限らずクーラント、ガソリン等の漏れを含めて、吸着シートなどで当然に処理します」(前同)

※ ※ ※

 事故に直面すると、負傷や物損の収拾、そのショックで道路の原状回復まで気が回らないものです。ただ、それに伴う責任は免れるものではありません。

【了】

【画像】バイクはいつの時代も注目の的? 事故防止を呼び掛けるイベントを見る(4枚)

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Writer: 中島みなみ

1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。

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