ロングライドで発見 ホンダ「モンキー125」の快適性と5速ギアの軽快な加速
新エンジンを搭載して2019年に発売されたホンダ「モンキー125」は従来型からどのような進化を遂げたのでしょうか。東京から千葉県の最北端と最東端を走りロングライド性能を確かめます。
長距離でも疲れない、5速ギアの新エンジンはシフトチェンジが楽しい!
5速ギアの新しいエンジンを採用したホンダ「モンキー125」の進化、ついでに燃費はどれくらいなのか? を知るべく、東京都内からチーバくんの鼻の先、千葉県の最北端を目指し、野田市関宿町へ向かいます。その道は靖国通りから昭和通りへ折れ、そのまま国道4号へと進むかたちで始まります。

全長1710mmの車体に前後12インチのセミブロックタイヤ、前後とも比較的ソフトなサスペンションがセットされ、前後輪の中心軸間の距離であるホイールベースは1145mmと長くありません。容量5.6リットルの小ぶりな燃料タンクと、存在感のある鞍型の肉厚シートが特徴です。
身長183cmの筆者(松井勉)が乗ると、どっかりと後輪の真上に乗るようなイメージになります。ハンドルバーはアップライトでやや手前に引かれたもの。グリップ位置も自分に近く、広くてゆったりとはいきませんが、窮屈で困ることもない。「ああ、後輪に荷重が乗って前輪が軽く頼りないのかなぁ」そんなイメージで走り出します。
操作は軽いものの、半クラッチでパワーが伝わり出すポイントがモヤっとしていてイマイチな印象ですが、それを除けば「モンキー125」はご機嫌です。エンジンは4速時代(従来型)よりもさらにロングストロークとなり、トルク型になったのか、と思いきや、1速、2速、3速の見事なギア比の連携により、軽快な加速が楽しい! 赤信号へのシフトダウン時も、4速時代のようにエンジンの回転をしっかり合わせないとクラッチを離した瞬間にドンと後輪を押されるようなバックトルクも感じません。
加速と減速を繰り返す一般道が楽しい。ブレーキもカチっとした手応えながら急激な食いつき感は無く穏やかなもの。短い車体に大きな男がどっかり乗っても後輪がどっしりで前輪がフワフワで軽すぎ、という違和感はありません。フツーに安心感があります。これはいい!
交差点を曲がるのも、小さい車体に体が馴染んでくると車体と自分の体重を合わせた重厚感とハンドリングの軽快さが上手く合わさり、一体感が楽しいのです。

都内から埼玉県へと進む国道4号線。道沿いの風景は郊外型の大型店舗、ファミリーレストラン、大きな敷地の自動車ディーラーなど変化しはじめ、ツーリング感が盛り上がります。越谷市を通過した頃、国道4号は旧道とバイパスに分岐。春日部バイパスへと進みます。
「モンキー125」が走る左側車線は、大型トラックが着けた轍でちょっとしたラフロード。それでも肉厚のシート、新しくリアサスペンションに採用されたプログレッシブレートのスプリングの効果か、底付きするような衝撃が無く、しっかりと支えてくれています。これはフロントフォークも同様。5速にシフトしたままバイパスでは長い距離を60km/hで進めます。早くも燃費成績優秀な予感。過去、この道で「スーパーカブC125」の70km/l以上を体験しただけに、期待が高まるのです。
野田市関宿町にほど近い交差点までやってきました。国道4号から右に折れ、江戸川を渡るとそこは千葉県、目の前に続く土手の内側のダート路を進みます。その先にあるのが『関町城博物館』です。“最北感”はありませんが、小さい「モンキー125」はここまであっさりと連れてきてくれました。

ここからは利根川沿いを辿って犬吠埼がある銚子市に向かいます。Googleマップは到着時刻を午後4時過ぎと表示。日本海側に大雪を降らせている寒波の影響で風の冷たさが増します。
国道4号バイパスとは打って変わり、Googleマップのナビが案内する道はなかなかスリリングです。「モンキー125」サイズがばっちり合う、センターラインすらない道を通り柏市へ。すると今度は田んぼの中を一直線に貫く道へと案内されます。信号が少なく、気分的にスイスイです。その先は利根川沿いに走る道を延々走ります。Googleマップが示した通り、本当に夕方が近くなってきました。セルフのガソリンスタンドで給油した結果は……
■給油1
走行距離:141.7km
給油量:2.1リットル
燃費:67.4km/l
と、なりました。しかし、前回給油時と満タン基準が同じかどうか、全然確信が持てません。しかしながら、カタログ燃費値に近い感じは正直嬉しい。誰も褒めてくれないけど「次も頑張ります!」という気分になって移動を再開します。
犬吠埼の隣、君ヶ浜に到着したのは午後4時過ぎ。しっかり太陽は西に傾き、影が長く伸びています。ここで「モンキー125」とともに千葉県の最東端の地にもっとも接近した、ということにして今日のところは戻ります。
しかしここからまだ長い道乗りが……犬吠埼から東へおよそ15kmの刑部岬(ぎょうぶみさき)へ、そこで雲に沈む太陽を見て、再び「モンキー125」に腰を下ろす。夜が近づき、やがて完全に夜間走行に。キラッとしたLEDライトながら、隣にクルマが来ると自分のヘッドライトがどこを照らしているのかワカラナイのが玉に瑕。もうちょっと明るいLED着けて下さい! と言ったら贅沢でしょうか。

帰路、最初の給油の好調ぶりが気になり、途中と帰着してからの2度、燃費を計りました。2度目、3度目までの走行ペースはほぼ1回目の給油時と同じ。向かい風区間もありましたが、移動速度はむしろ低めでした。
■給油2
走行距離:88.6km
給油量:1.6リットル
燃費:55.3km/l
■給油3
走行距離:69.7km
給油量:1.3リットル
燃費:53.6km/l
ここでジワジワ入れてレベルプレートのヒタヒタ感に完全に誤差が生じています。スマホの電卓で計算したら驚きました。「ナンでこんなに違うの!?」と。給油量が100cc違うと燃費値が大きく変わる、小排気量バイクの満タン計測の難しさです。
そこで最終区間で実験。信号待ちから巡航速度までの加速をあえてアクセル全開で走り、シフトアップ。移動速度も周囲に合わせて早い区間もありました。帰着後の計測結果は次の通りです。
■給油4
走行距離:68.9km
給油量:1.3リットル
燃費:53km/l
給油3と給油4の結果を見れば、ペースと乗り方を完全に変えたのに0.6km/lしか燃費が変わらないなんてあり得ない!

この日、東京を出発して千葉県最北端、最東端を「モンキー125」で走った燃費値はアテにならないことが350km以上走って確定したのです。やり直しだ……(つづく)。
Writer: 松井勉
モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。