the「燃費」ヤマハの最新スポーツツアラー「TRACER9 GT」の性能を実走計測

排気量888ccの直列3気筒エンジンを搭載するスポーツツーリングモデル、2021年型でフルモデルチェンジとなったヤマハ「TRACER9 GT」の実走燃費を計測しました。

ヤマハの新型スポーツツアラー、その燃費はどうだ?

 2021年型でフルモデルチェンジを受けたヤマハ「TRACER9 GT(トレーサー・ナイン・ジーティー)」は、特徴的な直列3気筒エンジンを搭載したスポーツツアラーです。ツーリングアメニティの装備はもちろん、タンデム走行や、パニアケース、トップケースにラゲッジを載せても快適で安定した走りを楽しめるように最適設計された1台だけに、まずはツーリングルートでの走りに興味があるのと同時に、燃費は走るのかも気になるところ。まだ真冬だったthe「燃費」ルートで実走、検証してきました。

実際の燃費はどうなのか? パニアケース&トップケースを装着したヤマハ「TRACER9 GT」を走らせる筆者(松井勉)
実際の燃費はどうなのか? パニアケース&トップケースを装着したヤマハ「TRACER9 GT」を走らせる筆者(松井勉)

 ちなみに、トレーサー9GTの燃費性能は次のようになっています。

・60km/h定地走行燃費値(2名乗車時)=30.5km/l
・WMTCモード値(クラス3-2)=20.4km/l

 今回のテスト車にはオプション装備となるサイドケース、トップケースが装着されています。厳密に言えば、空気抵抗、重量増加など燃費面のマイナス要素はありますが、これがツアラーです! という出で立ち、こうした姿で使って下さいと、思いも込め設計されたワケです。多くの人がそのスタイルでの燃費が気になるハズ。でも、中身はほぼ空荷(レインウエアを入れた程度)ですが。

燃費計測は車載のトリップメーターと平均燃費計を利用。3.5インチのフルカラーTFTメーターを左右に配置するトレーサー9GTは、左がメイン、右に各種情報のうち4種を選んで拡大表示させる
燃費計測は車載のトリップメーターと平均燃費計を利用。3.5インチのフルカラーTFTメーターを左右に配置するトレーサー9GTは、左がメイン、右に各種情報のうち4種を選んで拡大表示させる

 the「燃費」では、毎度同じルートで市街地、高速道路、快走路(ツーリング路)を実走して燃費を計測しています。これにより過去記事にある別機種との比較もお楽しみいただける燃費エンタメ企画です。記事中に記載する走行距離、燃費値はテスト車のトリップメーター、平均燃費計の数値を記載。テストはとある休日にツーリングでの走行ペースを再現。交通の流れに合わせた走りをしています。いわゆる燃費記録チャレンジではありません。

市街地もスイスイの車体、信号待ちが多く燃費に影響

 the「燃費」の市街地燃費計測ルートは、都内外苑周辺をスタートして青山一丁目交差点から国道246号で赤坂、皇居方面へ。桜田門前を銀座方向に進み、途中、丸の内オフィス街を回ります。再び銀座、築地方向に進み、豊洲周辺の運河を越えて首都高湾岸線沿いを走る国道357号、東雲付近までを走ります。

いざ、燃費の実走計測へ。市街地燃費計測では丸の内オフィス街も経由
いざ、燃費の実走計測へ。市街地燃費計測では丸の内オフィス街も経由

 今回、一部通行止めの迂回があったため走行距離は普段より少々長い12.7kmを走行し、結果は17.2km/lでした。

 同区間、同じ3気筒エンジンで排気量660ccのトライアンフ「タイガースポーツ660」が17.5km/lだったので、悪くない結果だと思います。

 ルートの多くは大通りで、交差点には右折信号が多く、赤信号で一度止まると停止時間は長く感じます。繁華街である銀座周辺の信号でタイミング悪く信号待ちが多かったのも事実。止まる、アイドリング状態、発進する、という状況で燃費計を見ていると、このサイクルが市街地で一番燃費が伸びにくい条件のようです。

排気量888ccの直列3気筒DOHC4バルブエンジンを搭載する
排気量888ccの直列3気筒DOHC4バルブエンジンを搭載する

 それでも排気量888ccの3気筒エンジンは低い回転から力があり、パニアケースなどを付けていることも走り出した瞬間に忘れてしまうほど。ハンドル幅より少し広いケースがライダーの後ろに着いていることを忘れずに。それさえ心がけたら、市街地でも意外とスイスイ走れることが解りました。

高速道路走行の快適性、さすがの一言でした

 都内で市街地燃費を計測後、高速道路燃費を計るため房総半島へと移動します。高速道路燃費は、まず千葉県を走るアクアライン連絡道「袖ケ浦IC」から館山道の南端「富浦IC」までの54.5kmで1回目の計測。アクアライン連絡道の制限速度は80km/hで、館山道は100km/hから80km/h、そして70km/hと、南下するほど低下し、走行車線も対向2車線となります。館山道区間は長い距離でアップダウンが連続し、燃費的には意外にタフな状況です。

東京都内から千葉県木更津エリアへ移動し、高速道路での燃費計測に向かう
東京都内から千葉県木更津エリアへ移動し、高速道路での燃費計測に向かう

 2回目の計測は、快走路燃費計測を終えた地点、館山道「富津中央IC」からアクアライン連絡道「木更津金田IC」までの25.7kmです。この区間、館山道は100km/h制限区間のみを走行しますが、1回目の計測同様アップダウンが連続、アクアライン連絡道が80km/h制限なのは往路と同じです。

 トレーサー9GTが装備する電子制御サスペンションは、快適な乗り心地を提供してくれます。リアからの突き上げが少なく、舗装したての道を走っているようです。大きなウインドスクリーン、グリップヒーターもこの季節(取材時はまだ寒かった)には有り難い装備。もはやこれナシに冬の遠出はできません。クルーズコントロールで速度を合わせ、お任せで進む快適さも付け加えます。遠出で解る充実装備、なのです。

 そんなトレーサー9GTの高速道路燃費ですが、南下ルートで24.5km/l、北上ルートで23km/lでした。当日は風が強く、北上ルートでは向かい風だったことも1.5km/l差になった要因かも知れません。

快走路で好燃費をマーク、これならハイオクでも納得! か?

 the「燃費」快走路計測は房総ツーリングのメジャールート、総距離87.4kmを3区間に分けて計測しています。

the「燃費」の計測ルート。房総半島最南端エリアにて
the「燃費」の計測ルート。房総半島最南端エリアにて

 最初の区間は高速道路燃費計測を終えた館山道「富浦IC」近くのコンビニエンスストアから南下を開始。途中、内陸に入りアップダウンとワインディングが心地よい「安房グリーンライン」で房総半島南端エリアまでの22.3kmを走ります。

 続く区間2は南端エリアから海岸線を鴨川方向に進み、途中、国道410号で山間部へ。県道34号との交差点を左折。「大山千枚田」までの39.4km。そして区間3は「大山千枚田」から県道34号に戻り保田方向へ。途中、県道182号「もみじロード」を北上し、館山道「富津中央IC」を目指す25.4kmとなります。

 3区間とも平坦路、アップダウンとワインディングがミックスしたルートで信号が少なく、まさに快適なツーリング路です。この快走路での燃費結果は次の通りです。

・区間1=27.3km/l
・区間2=28.0km/l
・区間3=27.0km/l

 乗り心地の良さはもちろん、パニアケース装着状態でもワインディングで楽しめるキャラクターで良質な時間を楽しめます。6速、5速を主体に走れるトルク特性も秀逸。これならタンデムツーリングも楽勝でしょう。

欧州仕立てのその車体、アリかナシか!?

 ヨーロッパの速度域での快適さを狙ったトレーサー9GTですが、ならば一般道の上限が60km/h程度の日本ではどうか? 燃費を計りながらそんなことも考え、パニアケース装着状態で走らせました。計測区間以外の移動もあえて一般道を多く走ったのですが、答えは「アリ!」でした。うんざりするほど値上がり中のガソリン価格、しかもハイオク指定とあるものの、この走りの満足感と質感なら納得です。

大きなウインドスクリーン、グリップヒーターとブラッシュガード、電子制御サスペンション、クルーズコントロール、コーナリングランプなど、充実のツーリング機能を標準装備。容量18リットルの燃料タンクにはハイオクを給油
大きなウインドスクリーン、グリップヒーターとブラッシュガード、電子制御サスペンション、クルーズコントロール、コーナリングランプなど、充実のツーリング機能を標準装備。容量18リットルの燃料タンクにはハイオクを給油

■ヤマハ「TRACER9 GT」燃費結果
総合評価:☆☆☆☆★(ホシ4つ)
総走行距離:180.3km
市街地:17.2km/l
高速道路平均:23.7km/l
快走路平均:27.4km/l
総平均燃費:24.5km/l

【画像】ヤマハ「TRACER9 GT」の燃費性能は? 実際に走って調査!(9枚)

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Writer: 松井勉

モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。

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