【現地レポート】2022年開催のマン島TTレース 決勝3日目は「スーパーツインTTレース」のみ、日本の山中選手が完走を果たす

2022年に3年ぶりの開催となった「マン島TTレース(Isle of Man TT Races)」。決勝レース3日目の6月8日(水)は「スーパーツインTTレース」と「スーパースポーツTTレース2」が天候の影響により3時間の繰り下げ、15時スタートとなりました。

バラエティに富むツインエンジンのクラス、ツインショックのマシンも輝いていた

 2022年に3年ぶりの開催となった「マン島TTレース(Isle of Man TT Races)」。決勝レース3日目の6月8日(水)は「スーパーツインTTレース」と「スーパースポーツTTレース2」が行なわれる予定でした。雨予報のため、前日夜にはスタート時間を2時間繰り下げることが発表され、翌朝の雨により午前6時にはさらに1時間の繰り下げが決定。15時スタートとなりました。

「スーパーツインTT」で優勝したピーター・ヒックマン選手。イタリアのPaton「S1-R」を走らせた(写真/小林ゆき)
「スーパーツインTT」で優勝したピーター・ヒックマン選手。イタリアのPaton「S1-R」を走らせた(写真/小林ゆき)

 昼ごろには穏やかに晴れ、気温もダグラスは16度程度となり、絶好のレース日和になりました。

「スーパーツインTTクラス」は、2009年以降にイギリスで発売された4ストローク2気筒の排気量700cc以下の市販マシンで競われるレースです。2012年から「ライトウエイトTT」として始まった新しいカテゴリーで、今年から「スーパーツインTT」に名称が変わりました。

 当初はカワサキの「ER650」など、ほぼカワサキワンメイクの様相を呈していましたが、2015年にイタリアの「Paton(パトン)」が登場。着実に実績を積み、日本メーカーを凌駕する勢いを見せています。

 パトンは1957年設立のイタリアのバイクメーカーで、世界グランプリにも参戦していたこともあります。TTに参戦している「S1-R」はクラシカルなスタイルですが、最高峰レースにも参戦していたことがある経験値に裏付けされた実力を持ちます。

「スーパーツインTT」の中で唯一のヤマハ「MT-07」で参戦したバリー・フーバー選手(写真/小林ゆき)
「スーパーツインTT」の中で唯一のヤマハ「MT-07」で参戦したバリー・フーバー選手(写真/小林ゆき)

 スーパーツインTTに参戦しているマシンは、パトン「S1-R」のほか、アプリリア「RS660」、カワサキ「Z650」、「ER-6」、ヤマハ「MT-07」、スズキ「SV650」です。

 もともとTTの中では入門的クラスとして位置づけられてきましたが、バラエティに富むツインエンジンによって迫力あるエキゾーストノートが聴けることで人気が高いクラスです。レース向けではない市販車を改造して参戦する必要があり、モディファイの違いやライダーの力量も問われる難しいクラスでもあります。

 今回は世界9つの国と地域から54人がエントリー。決勝レースでは43台が出走しました。

他のカテゴリーに比べて非力な「スーパーツインTT」クラスだが、TTコースのいたるところでウイリーやジャンプを見ることができた(写真/小林ゆき)
他のカテゴリーに比べて非力な「スーパーツインTT」クラスだが、TTコースのいたるところでウイリーやジャンプを見ることができた(写真/小林ゆき)

 天候の影響で時間が繰り下げられたことにより、周回数は4周から3周に減算、15時にレースがスタートしました。

 1周目にトップに立ったのは、月曜日に「スーパースポーツTTレース1」で優勝した#6マイケル・ダンロップ選手(MD Racing)のパトン「S1R」です。2位に付けた#10ピーター・ヒックマン選手(PHR Performance)も同じく「S1R」を駆り、目まぐるしくトップが入れ代わる展開になりました。

 もっとも、マン島TTレースは10秒ごとに1台ずつスタートするタイムトライアル形式のレースなので、そのようなレース展開が分かるのは、マシンにトランスポンダーを積み、区間タイムを正確に刻むラップタイミングの現代の技術のおかげです。現場で見ている限り着順はある程度分かりますが、抜きつ抜かれつのレース展開が実際に起こっているわけではないので、こうしたデジタルや無線技術は、モータースポーツを楽しむ上で欠かせない技術となっています。

女性のベテランライダー、マリア・コステロ選手もパトンで参戦(写真/小林ゆき)
女性のベテランライダー、マリア・コステロ選手もパトンで参戦(写真/小林ゆき)

 レースは結局、ダンロップ選手が3周目でコースアウトしてヒックマン選手が今大会3勝目のハットトリックを達成しました。

 2位はアプリリア「RS660」に乗る#3リー・ジョンストン選手(Ashcourt Racing)、3位はカワサキ「Z650」を駆り、表彰台初獲得となった#8ポール・ジョーダン選手(PreZ Racing by Prosper²)となりました。

 日本から参戦している#44山中正之選手は、カワサキ「ER-6」で35番手から出走し、24位で完走。43台中完走は27台でした。

 なお、18時30分から予定されていた「スーパーバイクTTレース2」は降雨のため、翌6月9日(木)に延期となりました。

【画像】2022年のマン島TTレースの様子を見る(14枚)

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Writer: 小林ゆき(モーターサイクルジャーナリスト)

モーターサイクルジャーナリスト・ライダーとして、メディアへの出演や寄稿など精力的に活動中。バイクで日本一周、海外ツーリング経験も豊富。二輪専門誌「クラブマン」元編集部員。レースはライダーのほか、鈴鹿8耐ではチーム監督として参戦経験も。世界最古の公道バイクレース・マン島TTレースへは1996年から通い続けている。

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