【現地レポート】2022年のマン島TTレース 迎えた最終日は島特有の天候に翻弄されることに

2022年に3年ぶりの開催となった「マン島TTレース(Isle of Man TT Races)」。4日間が予定されていた決勝レースの最終日は、マン島特有の天候「マンクス・ウェザー」によって変更が繰り返されました。

今年も結局「マンクス・ウェザー」に翻弄された最終日

 世界で最も歴史が長く有名なモーターサイクルのロードレース、マン島TTレースは、「TT」=「ツーリスト・トロフィー」の名前からも窺い知れるように、もともとは市販車の性能を実証するためのレースとして始まりました。現在も、1907年の発祥から変わらず、公道を閉鎖しての「公道レース」として市販車改造クラスのレースが行なわれています。

「スーパースポーツTTレース2」を征したのは、レース1に続きこのクラスにめっぽう強いマイケル・ダンロップ選手(写真/小林ゆき)
「スーパースポーツTTレース2」を征したのは、レース1に続きこのクラスにめっぽう強いマイケル・ダンロップ選手(写真/小林ゆき)

 3年ぶりの開催となった2022年のレース日程は、6月4日(土)、6日(月)、8日(水)、10日(金)の4日間が予定されていましたが、8日(水)のスケジュールが雨でたびたび変更になりました。

 もともとレースの前にソロ(2輪)のウォームアップラップとサイドカーのシェイクダウンラップが行なわれる予定でしたが、これをレースのあとに移動。レースはスーパーツインTT(4周)とスーパースポーツTTレース2(4周)が行なわれるはずのところ、それぞれ3周に減周したうえ、開始時間を2時間遅らせると発表がありました。

 スーパーツインTTレースが終わったところで降雨によりスケジュールがまた変更され、翌9日(木)へ延期されました。そして9日(木)も結局雨でスーパースポーツTTレース2は中止に。

 再度スケジュールが組み直され、10日(金)はサイドカーTTレース2(3周)とシニアTT(6周)で行なわれるところ、順延になったスーパースポーツTTレース2が2周に、サイドカーTTレース2も2周、シニアTTを4周に減周して開催すると発表がありました。

「スーパースポーツTTレース2」で2位に入ったピーター・ヒックマン選手(写真/小林ゆき)
「スーパースポーツTTレース2」で2位に入ったピーター・ヒックマン選手(写真/小林ゆき)

 穏やかに晴れた10日(金)。予定通りスーパースポーツTTレース2が10時45分に始まりました。

 レース1と同様、ヤマハ「YZF-R6」に乗るマイケル・ダンロップ選手、トライアンフ「デイトナ765」のピーター・ヒックマン選手、カワサキ「Ninja ZX-6R」のディーン・ハリソン選手の三つ巴の闘いになりました。

 とくにダンロップ選手とヒックマン選手のタイム差は接近していました。わずか2周とはいえ、1周60キロのTTコースなのでレースの総走行距離は120キロ。時間にして30分ちょっとですが、その差はわずか3秒という接戦で、ダンロップ選手が勝利を獲得しました。

 この勝利でダンロップ選手はTTレースで最も成功した600ccライダーとなり、スーパースポーツで9勝目、TT通算では現役最多勝利のジョン・マクギネス選手の23勝に次ぐ21勝目を達成しました。

 スーパースポーツTTレース2は55台が出走し、完走は48台でした。日本から参戦している山中選手は、カワサキ「Ninja ZX-6R」を駆り48位で無事完走を果たしています。

「サイドカーTTレース2」もバーチャル兄弟組が征した(写真/小林ゆき)
「サイドカーTTレース2」もバーチャル兄弟組が征した(写真/小林ゆき)

 続いてサイドカーTTレース2は、ベン/トム・バーチャル組(ホンダLCR)が優勝、ピーター・ファウンズ/ジェバン・ウォルムズリー組(ホンダLCR)が2位、ライアン/カルム・クロウ組(ホンダLCR)が3位に入りました。

 2周目で発生した事故により赤旗中断となり、レースは2周のところ1周通過時で成立。1位から3位までのタイム差がわずか5秒以内という接戦となりました。

 この赤旗中断とその後の降雨により、シニアTTは翌6月11日(土)に延期されることになりました。

 また、11日(土)に予定されていたTT後の後座レースとも言えるビロウン・サーキットの「ポストTTロードレース」(TTと別の公道コースを使用するレース)は、イベント自体が中止されることが発表されました。これは、コースマーシャルのボランティアの多くがTTレースと兼任しているので、人数が確保できないためです。

ゴールした選手を待ち構えるスタンドと、その後ろの臨時バイク駐車場(写真/小林ゆき)
ゴールした選手を待ち構えるスタンドと、その後ろの臨時バイク駐車場(写真/小林ゆき)

 このように、マン島TTレースは公道であること、一周60キロという長大なコースであることだけでなく、スケジュールが天候に翻弄されるという点においても、ライダーにとって非常に過酷なレースであると言えます。最終レースは事実上のスーパーバイクTTレース2ですが、TTウィークを闘い抜いてきたライダーだけが走ることができるという意味でも、いまだに畏敬の念が込められ「シニアTT」と呼ばれているのです。

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Writer: 小林ゆき(モーターサイクルジャーナリスト)

モーターサイクルジャーナリスト・ライダーとして、メディアへの出演や寄稿など精力的に活動中。バイクで日本一周、海外ツーリング経験も豊富。二輪専門誌「クラブマン」元編集部員。レースはライダーのほか、鈴鹿8耐ではチーム監督として参戦経験も。世界最古の公道バイクレース・マン島TTレースへは1996年から通い続けている。

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