メッツラーが送る大型アドベンチャーバイク用タイヤの新・基準点「TOURANCE NEXT 2」の性能とは

モーターサイクル用に特化したドイツのタイヤブランド「METZELER(メッツラー)」から、大型アドベンチャーバイクに向けた新作「TOURANCE NEXT 2(ツアランス・ネクスト・ツー)」が登場しました。先代からどのような進化を遂げたのでしょうか。

大型アドベンチャーバイク向け、進化したオンロード指向の新タイヤ

 2輪専門のタイヤブランド「METZELER(メッツラー)」の、アドベンチャーセグメント用タイヤに最新技術を投入して発売した「TOURANCE NEXT 2(ツアランス・ネクスト・ツー)」に試乗する機会があったので、その印象を報告します。

メッツラー新型「TOURANCE NEXT 2」に試乗する筆者(松井勉)
メッツラー新型「TOURANCE NEXT 2」に試乗する筆者(松井勉)

 そもそも、アドベンチャーバイク用のタイヤが求める部分とは? それは多機能分野において高性能であることです。なぜならば、アドベンチャーバイクユーザーの使い方がまさに多様で、1人乗りで近場もあれば、2人乗りで荷物満載、その状態で国を跨ぐような長距離ツーリング、というケースはもちろん、大陸を跨いで走り続けるライダーも珍しくありません。

 とくにこのジャンルのバイクが人気のヨーロッパでの使用環境を見ると、市街地には石畳の道が多く残り、雨が降れば本当に滑ります。石畳以外でも、雨が降るとヌルヌル滑る道は珍しくもありません。

 また、高速道路は移動速度が高く、最高の眺めを望むアルプスツーリングに出れば、峠道は標高2500〜2800メートルもあり、そんな峠ではたいてい雪解けの関係で通行出来るのは6月から9月あたりまで。シーズンインには除雪をして道を通しても、そうした場所は気温が低く、7月まで残雪からは雪解け水が。道も常に濡れていて、そこに山からの小石、泥も混ざります。そう、滑るのです。

アドベンチャーバイク用のタイヤは、多機能分野において高性能であることが求められる
アドベンチャーバイク用のタイヤは、多機能分野において高性能であることが求められる

 峠を下り、麓の街に着けば気温は30度。1日の中で何度も夏と冬のような気温を行き来することになるのです。夏でも寒く、晴天でも濡れていて、途中の道は、センターラインすらない細さ。しかも、舗装路なのに道はガタガタで砂利混じり……。

 そんな環境を安全に楽しむために、だからこそタイヤも多機能かつ高性能が求められるのです。もちろん、ダートロードだって守備範囲であって欲しいことは言うまでもありません。

「ツアランス・ネクスト2」の開発をする際、メッツラーの開発スタッフは次の項目に注力しました。

・ハンドリング性能の向上
・ウエット性能の向上
・コントロールフィーリングの向上
・ブレーキング時の性能向上
・2人乗り+積載時の安定感向上

 早い話、タイヤに求められている全項目を改善、進化させたのです。

先代の「TOURANCE NEXT」との性能比較を示すパフォーマンス・レーダーチャート。ブレーキ性能、ウエット特性、コントロール性が大幅に向上
先代の「TOURANCE NEXT」との性能比較を示すパフォーマンス・レーダーチャート。ブレーキ性能、ウエット特性、コントロール性が大幅に向上

 タイヤの骨格とも言える構造部分には、メッツラーが得意とするスチールベルトを使ったタイヤの内部構造などを進化させると同時に、トレッドゴムの製法もアップデイトしました。理想的な接地面の造り込みにより、高いグリップ性能を確保します。

 また、フロントに高機能ポリマーとハイシリカコンパウンドを用いることで、ウエットグリップと安定性も向上。ウエット路ブレーキングテストでも前作より10%停止距離を削っています(気温25度、速度85km/hからの制動で1.5メートルの短縮)。

 リアも同様で、トレッドのゴムに液体ポリマーの配合や、そのゴムの配置によって基礎性能を確保。また、走行時にセンタートレッドで発生した熱をサイドトレッドに効率良く伝達するトレッド構造としたほか、トレッドパターン(タイヤ溝)の配置も最適化しています。

 ブレーキングや荷重時の安定性も、こうした総合的なタイヤの造りや、そのチューニングによって性能向上を達成しています。しかもロードノイズの低減も図っています。

タイヤの内部構造、トレッドゴムの製法、配合、配置など、最新技術を用いて進化と最適化が図られている
タイヤの内部構造、トレッドゴムの製法、配合、配置など、最新技術を用いて進化と最適化が図られている

 今回はフロント120/70ZR19、リア170/60ZR17というプレミアム系アドベンチャーバイクが定番にしているサイズのバイクで試乗をしました。

 その印象は「どんな場面も良い!」です。そもそも「ツアランス・ネクスト」は非常に優秀。だからと言ってどこかに尖った部分があるのではなく、舗装路では快適に、ワインディングではハンドリングを楽しめ、雨天や低温時でも安心……ひけらかす部分がない、でも高性能。そんなキャラクターをしっかり受け継いでいる印象です。

「ツアランス・ネクスト2」を履いたバイクで走り始めて数キロ、タイヤに触れてみると、すでにタイヤ全体が暖まっています。ちなみに、テストしたのは南半球、季節が逆転するオーストラリアで気温は15度程度、ちょっと驚きました。

ウエット性能と熱安定性の両立を実現。タイヤ全体が温まりやすくなっている
ウエット性能と熱安定性の両立を実現。タイヤ全体が温まりやすくなっている

 市街地でもハンドリングはアドベンチャーバイクの大きさ、重さを感じさせないもの。それでいて、バイクの個性を超えて軽快さを演出するようなこともありません。そう、いつも通りで安心感あり。

 郊外に出ると片側一車線の道ながら、制限速度は100km/hに。地形に合わせて道を敷設したかのように心地よいカーブと直線、時に丘を越えて進みます。その丘の先が直線なのか、カーブなのか解らない場面もあり、ちょっと身構えることも。それでも不安無く走れるのは、バイクの性能を引き出し、しっかり曲がれる、しっかり止まれる、というタイヤがライダーがリラックスさせてくれるから。

 ワインディングも走りました。とくに、ブレーキングを終え、リーン初期からバイクを寝かし、フルバンクへ、そして加速をしながらバイクを起こし、立ち上がって行く。これをリズミカルに続けるワケですが、こんな走りがしっかり決まるのです。

 峠でもスポーティな走りを楽しめる大型アドベンチャーバイク。その最高出力が150馬力なんてザラで、170馬力のエンジンを搭載し、ライディングモードでサスペンション設定まで変化するバイクも珍しくありません。

最先端の電子制御システムを搭載するモデルの、瞬時に変化する走りのキャラクターにも完全対応することを視野に入れた開発がなされている
最先端の電子制御システムを搭載するモデルの、瞬時に変化する走りのキャラクターにも完全対応することを視野に入れた開発がなされている

 じつは「ツアランス・ネクスト2」では、先代も含めてこうした電子制御の最先端装備を搭載したバイクと親和性を取れるように開発されたタイヤです。アクセルレスポンスやサスペンション設定が変わると、バイクの個性もガラリと変化します。走りながらセッティング変更を瞬時に終わらせ、トランスフォームする走りのキャラクター。そこにフォーカスしたタイヤであることがよく解りました。

 今回、ウエットは雨上がりの道を通過するレベルでしたが、メッツラータイヤに共通する抜群の安心感を体験できました。無事に辿り着く。それが冒険者の使命だとすると、アドベンチャーバイクのタイヤは、やっぱり多角的高性能が必須です。その点で、このタイヤは素晴らしい性能を持っていたのです。

※ ※ ※

 メッツラー「TOURANCE NEXT 2」は2022年春より順次発売、サイズは次の通りです。詳細な入荷時期や価格はタイヤ販売店にお問合せください。

<フロント>
90/90-21 M/C 54V TL
100/90R19 M/C 57V TL
110/80R19 M/C 59V TL
120/70R19 M/C 60V TL
120/70R19 M/C 60V TL(B)
120/70ZR19 M/C 60W TL

<リア>
150/70R18 M/C 70V TL
130/80R17 M/C 65V TL
140/80R17 M/C 69V TL
150/70R17 M/C 69V TL
170/60ZR17 M/C 72W TL
170/60R17 M/C 72V TL(B)
170/60R17 M/C 72V TL

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Writer: 松井勉

モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。

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