千代田区ではバイク駐車場は警察が許可しない? 作れない理由を分担して、駐車場を作らない行政のモラルを問う
東京都が都の施設にバイク駐車場を増やす方針を打ち出しました。そのひとつである「東京国際フォーラム」(千代田区丸の内3)では10台の駐車スペースが確保されました。それでも東京駅から有楽町駅に続くこの地域では、原付・自動二輪の対象を問わずバイク駐車場がほとんどありません。駐車場整備を担うのは、中央官庁が集まる千代田区です。
駐車できる車種を増やす条例改正は考えていない
バイクの利用者は、軽自動車税を負担して行政に貢献しています。しかし、駐車場整備を担う行政は、必要とされる地域ほど駐車場整備に消極的です。千代田区もそのひとつ。拡充を担うのは、環境まちづくり総務課ですが、担当者はバイク駐車場整備について次のように話します。

「千代田区が整備しなければならないのは、排気量50cc以下のバイク駐車場ですが、作る場所がありません。新たにそうした土地が見つかれば設置も考えられますが、現状では自転車駐輪場の需要が圧倒的に多いので、有楽町駅の周辺では確保出来ていません」
土地が見つかるというのはどういう意味か。担当者によると再開発などによる整備を言うのだそうです。しかし、東京駅前の丸の内開発でも、隣接する港区の汐留開発でも、バイクが止められる駐車場は、ほとんど出来ませんでした。新しく駐車場が出来ても、そこにバイクを駐車させる条例が無いからです。
有楽町駅周辺には、どの程度バイク駐車場があるのでしょうか。周辺の歩道には、バイク駐車禁止の警告が目立ちます。誰でもアクセスできる情報として、東京都道路整備保全公社やパーク24の駐車場検索でバイクを条件に探すと、有楽町駅を中心に300~500mの範囲に広げても数か所程度しかありません。ライダーが困っていることがわかります。

警察庁では都道府県警察の交通部に対して、状況に応じて駐車場整備を関係自治体に促すように指示しています。設置が充分でないことは、千代田区の担当者も認めています。ただ、その受け止めはこうです。
「警視庁からは原付2種(125cc以下)までを受け入れてほしいという話はいただいています。しかし、自転車法で自治体が設置を求められているのは原付(排気量50cc以下)まで。125ccを受け入れるためには条例改正が必要です。今のところ改正は考えていません」
駐輪場にバイクを入れる許可はしない
排気量50ccも125ccも、車格はほとんど同じなので、バイクスペースがあるなら受け入れは可能です。最近では、江東区が条例改正に踏み切りました。ところが、千代田区は東京国際フォーラムのすぐ隣の歩道に自転車駐輪場を新設しましたが、そもそもバイクスペースがありません。江東区のような例はニュースになるほど珍しいのです。その理由を千代田区は話します。

「駐輪場はだいたい歩道に作られますが、かなり歩道が広い場合を除いて、歩道にバイクを置くことを警察は認めません。千代田区が駐輪場を設置できる場所の基本は区道。国道や都道のように歩道に余裕がありませんから、新しい駐輪場にもバイクを置くことが出来ません」
区道と比較すれば、幹線道路である都道や国道は広いです。
「JR飯田橋駅近くの都道で、バイク駐車(50cc以下)を受け入れているケースもありますが、警察が認めても、都道や国道は道路管理者である都や国がバイクの駐車を認めないことが多いです」
バイクの放置駐車は、乗用車などと同じように禁止区間では取締りを受けます。本当にこんなことが起きているのでしょうか。警視庁に質しましたが、国葬警備などの多忙を理由に「1ヵ月後(9月末日)に文書で回答する」と、詳細は聞けませんでした。

バイクの駐車場が増えない本当の理由は、どこにあるのでしょうか。有楽町駅周辺の環境を見るだけで、行政が互いに駐車場整備の責任を押し付け合う構図が見えてきます。
バイク駐車のモラル、ライダーだけの問題ではないようです。
Writer: 中島みなみ
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。




