納車待ちは仕方ないが、50周年記念のリミットは迫っている ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.159~

レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、納車待ちは仕方ないが、50周年記念は今年がリミットだと言います。どういうことなのでしょうか?

50周年記念と言えるのは、今年いっぱい……

 カワサキ「Z900RS 50th Anniversary」が欲しくなり、僕(筆者:木下隆之)がカワサキプラザに注文を入れたのが2022年1月のこと。立場上、けして門外漢ではないのだが、50周年記念車だから2022年の今年仕様なワケで、つまり1月に注文すれば年内には納車はされるだろう……と、のんびり構えていた。

カワサキ「Z900RS 50th Anniversary」発売日は2022年2月1日、販売店はカワサキプラザ
カワサキ「Z900RS 50th Anniversary」発売日は2022年2月1日、販売店はカワサキプラザ

 だが、いまだに納車の案内は来ない。誰もがご存じの通り、世界的な半導体不足、ロシアのウクライナ侵攻の影響による生産遅れ、なかなか出口が見えないコロナ禍による物流の乱れなど100年に一度の不幸が重なり、生産が遅れているという。

「何台生産するかも決まっていません。それでもよろしければ注文は受け付けます」

 カワサキブラザ店のスタッフにそう説明され、注文用紙に記入を済ませたのだが、いまだに吉報はない……。

 こんなことなら、1月時点で在庫があった「Z900RS」を買っておけばよかった……と、後悔先に立たずである。

 それでも、日産フェアレディZと比較すればマシなのかもしれない。14年ぶりのフルモデルチェンジ、人気沸騰である。だが、発表と同時に生産計画を上回る注文が殺到、まだデリバリーすら開始されてないというのに受注終了という珍事に陥っている。

 売るために開発したのに売る前に完売である。こんな経済原則を無視したような出来事が起こるとは夢にも思わなかったのは日産だろう。

 販売不審に喘ぐ日産の起死回生の4番バッター「アリア」はデリバリー前に受注終了。これも圧倒的な人気モデルであり、ドル箱が予想されたのだが、ドル箱ばかりか、生産ラインには1台も流れていないという。

 聞くところによると、フェアレディZの注文書にサインをしたユーザーでも、納車まで4年待ちだという。

 それにくらべれば、僕の納車待ちなと可愛いものだ、と思いたい。だが、フェアレディZは4年待てば手元に届くが、こっちは50周年記念車だから、リミットは2022年の12月31日までである。

 気持ちではどうにも納得ができない……。

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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