不動のホンダ「ダックス50」をプチレストア! チェーンとリヤブレーキをリフレッシュ【vol.5】

今回はリヤ周りをメンテナンス! チェーンやリヤブレーキをリフレッシュします。

古いチェーンはクリップの固着に注意!

 まずはチェーンを外します。

 チェンジペダルを一旦外し、スプロケットカバーを取ります。そして、チェンジペダルを戻し(ボルトは入れなくてOK。スプラインに噛ませるだけ)、ギアを入れます。

 ギヤを入れてチェーンを固定
ギヤを入れてチェーンを固定

 これで前後スプロケットとチェーンは動かなくなり、固定されました。

ピンの頭をベルトサンダーで削る
ピンの頭をベルトサンダーで削る

 チェーンを「輪っか」にしているクリップは、本来プライヤーなどでスライドさせれば外せますが、今回は固着していて取れません。これ、放置車両あるあるなんです……。

 その場合はベルトサンダーでピンの頭を削ります。

クリップの取り外し
クリップの取り外し

 はい、クリップが取れました! これで「輪っか」は解除され、1本のチェーンになりました。

フロントスプロケットの取り外し
フロントスプロケットの取り外し

 フロントスプロケットを外します。ギアが入っているので、共回りせずにボルトを取ることができるはず。

フロントスプロケット部の洗浄(Before)
フロントスプロケット部の洗浄(Before)

 フロントスプロケットが外れました。泥や鉄粉などで汚れているので、パーツクリーナーで洗浄。

フロントスプロケット部の洗浄(After)
フロントスプロケット部の洗浄(After)

 キレイになりました!

 メンテナンスの基本は清掃・洗浄。パーツを交換するだけでなく、こうした普段目につかない場所が汚れている場合は、「積極的にキレイにしましょう」と細井さん。汚れたままだと、ゴミがパーツに噛み込んだりして、せっかくの新品パーツも効果を発揮できないことがありますよ!

チェーンの取り外し
チェーンの取り外し

 チェーンを抜くときはスプロケットに沿って真後ろに。チェーンでスイングアームを傷つけないように気をつけましょう。

トルクロッドの取り外し
トルクロッドの取り外し

リヤブレーキの分解……出処不詳バイクの恐さが露見!!

 リヤブレーキをオーバーホールするためには、ホイールを外さなければなりません。

 まずはトルクロッドを外そうと思ったのですが……割りピンの代わりに針金!? しかも割りピンの役割を果たしていない!

トルクロッドの取り外し
トルクロッドの取り外し

 イヤな予感のままトルクロッドにメガネレンチを当てると……ゆるゆるで、ほとんど締まっていない状態でした。

 前オーナーが適当にメンテナンスしたのでしょう(バイクショップがやったとは思いたくない)。出処がよくわからないバイクにはよくあること。個人売買などで買ったバイクにそのまま乗るのはリスクがあるということが、よくわかります。

リヤホイールの取り外し
リヤホイールの取り外し

 トルクロッドを外し、次はホイールです。

 左右にあるアクスルシャフトとナットにそれぞれメガネレンチをかけて緩めます。この時、ナットを緩めるのが基本です。締める時もナットを締めましょう。

ドラムシューのチェック
ドラムシューのチェック

 ホイールを外すと、ドラムブレーキが露出します。シューを確認すると表面が灼けていて、テカリが見られます。これは鳴きの原因にもなります。

 ただ、残量は十分にあるので、今回はシュー表面をメンテナンスして、再使用することにしました。

ホイールベアリングのチェック
ホイールベアリングのチェック

 指でホイールベアリングを回してチェック。引っかかりなどはなく、交換の必要はなし。

 スプロケット側のホイールベアリングの状態も良好でした。

ブレーキアームの取り外し
ブレーキアームの取り外し

 ブレーキアーム周りも分解します。

 割りピンは再利用しません。そのためニッパーで切るなど、サクッと抜いちゃいましょう。なかには再利用しようと、プライヤーで丁寧に抜く人がいますがNGです! 金属疲労ですぐに折れてしまうので、必ず交換しましょう。

 これでブレーキの分解は終了です。

スイングアームの取り外し
スイングアームの取り外し

せっかくなので、さらに分解を進める

 ここまでバラすと、スイングアームのシャフトが出てきました。せっかくなので、このままスイングアームも外して、メンテナンスしましょう。

 「普段なかなか手を入れることのない場所は、この際、積極的にチェックしていきたい」と細井さん。

マフラーの取り外し
マフラーの取り外し

 左側のリヤサスを外します。

 次に右のサスも取り外しますが、いきなり両方外すとスイングアームが落ちてしまいます。そこで共締めされているマフラーだけを外して、サスはまだそのまま。

スイングアームの取り外し
スイングアームの取り外し

 シャフトを緩めます。しかし、まだシャフトは抜きません。

リヤサスの取り外し
リヤサスの取り外し

 スイングアームが落ちないように手で支えながら、右のサスを抜きます。

スイングアームのシャフトを抜く
スイングアームのシャフトを抜く

 シャフトを抜き、スイングアームを取り外しは完了です。

 シャフト自体はあまりサビていなかったので、ひと安心。ナイロンたわしで表面を軽くさらう程度で良さそうです。

クランクケース後方の洗浄
クランクケース後方の洗浄

 クランクケース裏側をパーツクリーナーで洗浄。汚れやすく、清掃しにくい場所なので、この際、しっかり汚れを落としておきます。

スイングアームの清掃
スイングアームの清掃

 スイングアームもウエスで磨き上げます。特に内側は念入りに!

スイングアームのブッシュ部をグリスアップ
スイングアームのブッシュ部をグリスアップ

 シャフトが入るブッシュ部分は雨水や地面から跳ね上げた泥水などが付着しやすい過酷な環境にあります。そこで、耐水性・極圧性に優れたグリスを塗ります。

ブレーキアーム摺動部をグリスアップ
ブレーキアーム摺動部をグリスアップ

 ブレーキペダルの摺動部にも同様に、耐水性・極圧性に優れたグリスを塗っておきます。

スイングアームのシャフトをグリスアップ
スイングアームのシャフトをグリスアップ

 表面をキレイにしたスイングアームシャフトにも、同じグリスを塗布します。サス受けには一般的なグリスを塗っておきます。

リヤサスの汚れ、腐食を落とす
リヤサスの汚れ、腐食を落とす

 リヤサスは純正が廃番のため、再利用します。幸いにもオイルもガスも入っていないシンプルなモデルなので、性能的な劣化はなく、問題なく使用できそうです。

 ナイロンたわしやスチールブラシを使って、表面の汚れを取り除きます。

スイングアームの装着
スイングアームの装着

 スイングアームを装着する際、落とさないように右側のリヤサスを仮付けしておくと作業がスムーズ。

 ビポットの規定トルク値は45N・mで、締めるのはナット側ですよ!  間違えないようにしましょう。

スイングアームの動きをチェック
スイングアームの動きをチェック

 仮付けしたサスを一旦外し、スイングアームを上下に動かして動きをチェック。

 スムーズに動けば、スイングアームのメンテナンスは終了です!

リヤスプロケットの取り外し
リヤスプロケットの取り外し

特殊なリヤスプロケットは廃番(泣)

 本来、チェーンを交換する際は前後スプロケットも同時に交換するのが理想です。しかし、純正リヤスプロケットは廃番とのこと。幸いにもまだ使えそうなので、今回はとりあえずリヤスプロケットは再利用することになりました。

 ただし、スプロケットの歯に汚れが付着しているので洗浄し、さらにハブダンパーなどもチェックしなければなりません。

 というわけで、まずはスプロケットを外します。

 外し方は簡単で、中央にあるサークリップを外すだけ。ボルトなどはありません。

リヤスプロケットの取り外し
リヤスプロケットの取り外し

 スプロケ裏側に突起があり、これがハブに刺さっているだけという特殊な形状です。

 「特殊すぎて、早々に廃番になってしまったのかもしれません」と、細井さんも苦り顔。

リヤスプロケットの洗浄
リヤスプロケットの洗浄

 スプロケットはパーツクリーナーや使い古しの歯ブラシなどで汚れをしっかり落とします。

 汚れたままだと、新品チェーンがゴミを噛み込んで寿命を縮めてしまいますよ!

ハブダンパーのチェック
ハブダンパーのチェック

 ハブのカバーを取ると、ハブダンパーが現れます。まだヘタリもなく、弾力もあるので再利用できそうです。

ハブダンパーのグリスアップ
ハブダンパーのグリスアップ

 ダンパーの側面(ハブに当たる部分)にラバーグリスを塗布。油分を与えることで寿命を延ばし、さらに素材の保護を図ります。

ハブダンパーのグリスアップ(スプロケに塗布)
ハブダンパーのグリスアップ(スプロケに塗布)

 ダンパー内側は塗りづらいので、スプロケの出っ張り部分にラバーグリスを塗ります。

リヤスプロケットの装着
リヤスプロケットの装着

 逆手順で元に戻せば、リヤスプロケットの作業は完了です!

トルクカムと周辺パーツ
トルクカムと周辺パーツ

シューを替えなくても、メンテで効きは変わる

 今回、ブレーキシューは再利用しますが、リヤブレーキ各部をリフレッシュすれば、ブレーキの効きは全然違うものになります。

 まずは分解したトルクカム周りをメンテナンスします。

トルクカムの汚れ、腐食を落とす
トルクカムの汚れ、腐食を落とす

 スチールブラシで表面の汚れや腐食を取り除きます。

トルクカムのグリスアップ
トルクカムのグリスアップ

 耐熱シリコングリスをトルクカムなどの摺動部に塗ります。

トルクカムとトルクロッドの装着
トルクカムとトルクロッドの装着

トルクカムとトルクロッドにはそれぞれ「アイマーク」が打刻されているので、位置を合わせましょう。

ブレーキシューが当たる部分にグリスを塗る
ブレーキシューが当たる部分にグリスを塗る

 ドラムシューが当たる場所にも鳴き止めと摩耗予防として、耐熱シリコングリスを塗ります。

ドラムシューのメンテナンス
ドラムシューのメンテナンス

 ナイロンたわしでドラムシュー表面をさらいます。目安は、テカリがなくなるまで!

ドラムシューのメンテナンス(BeforeとAfter)
ドラムシューのメンテナンス(BeforeとAfter)

 右がBeforeで、左がAfter。その違いは一目瞭然。ナイロンたわしによって表面の摩擦力が復活し、静動力が元通りに。ブレーキ鳴きの解消も期待できます。

ドラムブレーキ(ホイール側)のメンテナンス
ドラムブレーキ(ホイール側)のメンテナンス

 ホイール側のドラムシューが当たる場所にもナイロンたわしをあてます。汚れを取るとともに、表面を均す役割が期待できます。

 最後はパーツクリーナーで、落ちた汚れを流すのを忘れずに。

ブレーキアームの装着
ブレーキアームの装着

 逆手順でブレーキアームを取付けます。ブレーキアームの割りピンは、当然ながら新品!!

リヤサスペンションの本締め
リヤサスペンションの本締め

 サスの取付け部(左右の各上下)の規定トルク値は35N・m。

 リヤホイールとチェーンの取付けを残して、今回は終了! 次回はチェーンの装着と、前後タイヤ交換をリポートします!!

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Writer: 佐賀山敏行

カスタムバイク専門誌の編集長を経て、現在はヤマハSR400/500に特化したWEBマガジン「The SR Times」を運営する。自身も現在93年式と14年式の2台のSRを持つフリークだが、基本的にはバイクは何でも好き。

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