BMWモトラッド「CE 04」 乗り手の進化が問われる「電動バイクらしさ」とは
BMWがどんな電動バイクを作ろうとしているのか? その答えが「CE 04」に詰まっています。実際に試乗すると「電動バイクとは何か?」と、我々乗り手にも問われている気がしてなりません。
「電動バイクらしさ」を追求、他メーカーモデルとは一線を画す存在
「これは電動バイクであることを追求した電動バイクだ」……BMWモトラッドの「CE 04」を走らせて、筆者(伊藤英里)はそう納得しました。走り出して感じたのは、考えられた重量配分です。「CE 04」はBMWモトラッドの電動バイクとして、最初のモデルである「C evolution」よりも車両重量を減らすことをひとつのターゲットとして開発されました。バッテリーの数自体は「C evolution」よりも多くなっていますが、車両重量は「C evolution」が275kgだったのに対し、「CE 04」は231kgと、44kgの軽量化に成功しています。

電動バイクは内燃機関のバイクよりもコンポーネントが少ない分、バッテリー、モーターのような重量のあるものをどこに配置するかがひとつの肝となります。「CE 04」の場合は床下にバッテリーが搭載されていますが、走行時にこの重さが車体の安定に貢献するのです。電動バイクの大きなトルクを受け止め、スピードに乗ったところでも車体がぶれる不安がありません。それはカーブでも同様です。「なるほど、このレイアウトと重さによって安定性が生まれているのか」と納得することになりました。
加えて、回生ブレーキはこのカテゴリーでもトップクラスでしょう。「CE 04」が搭載する走行モードは「エコ」、「レイン」、「ロード」、「ダイナミック」の4つ。どのモードもアクセルの開け始めに、よく電動バイクで表現される「トルクが一気に出る」という感覚はなく、非常に滑らかです。
アクセルの開け始めに関しては各モードで大きな違いはなく、むしろそこからさらにアクセルを開けていったときのパワフルさが異なっています。そのどれも、トルクがよく制御されていることがわかるのです。そのため、極低速で走ったときにアクセル操作が多少ラフでも、出力によって車体が不安定になることはありません。この操作しやすさには感心しました。

中でも興味深かったのは「ダイナミック」モードです。トルクも高出力で、回生ブレーキもかなりよく利きます。最初こそ、ついつい内燃機関のエンジンブレーキをイメージした操作で回生ブレーキの利きの良さに驚かされましたが、慣れればブレーキを使わずに回生ブレーキだけで止まることもできそうなほど、利きが強いのです。回生ブレーキというのはエンジンブレーキの感覚とは異なっていて、電動バイクの特徴でもあります。
これもまた、電動バイクのひとつの可能性ではないでしょうか。確かに、内燃機関と同じような操作では戸惑うかもしれません。しかし、だからこそ電動バイク「CE 04」らしい走り方、走りの面白さを模索できる、とも言えます。「ダイナミックモードを生かすために、どんな走り方をしようか?」、そう考えることが楽しくなるのです。これは電動バイクとしての完成度が高いからこそ、「新しい面白さ」を追求することができるということです。
デザインについても先進的です。先代モデルの「C evolution」には、内燃機関のスクーターから受け継いだスタイルが残っていました。しかし「CE 04」はどうでしょう。シート下とモーターやバッテリーが収納されている間に設けられた空間や、足着きのときに太ももが干渉することもいとわないような長方形のシート形状など、「これからのバイク」を感じさせるデザインなのです。

筆者は個人の意見として、電動バイクならば、電動バイクらしいデザインであって欲しいと考えています。電動バイクが新しいモビリティであるならば、スタイルも「内燃機関の電動版」にとどまるよりも、電動バイクらしい、だからこそ、があっても良いはずだ、と。
もちろん、現在のバイクの形状はこれまでの時間が形成したものであり、そこには意味があります。しかし上述したように、電動バイクには電動バイクらしい走り味があるのだから、それに合ったデザインがあってもおかしくはないでしょう。内燃機関の電動版といったスタイルが多い現状にあって、「CE 04」はデザインという点でも一歩先んじているように感じます。
ひとつ、気になった点を挙げるならば、シティコミューターとして街中で走らせるだけではもったいない、というところでしょうか。
「CE 04」の軸足は、現在の多くの電動バイクがそうであるように、あくまでもシティコミューターに置かれています。しかし、筆者が小柄(身長153cm、体重43kg)であることを差し引いても、日本の街中で走らせるにはややオーバースペックであるように思います。このポテンシャルならば、少なくとも日本の道路では高速道路を走ったり、ツアラーのように使うことができたら……という印象はぬぐえません。もちろん、それには航続距離などの改善が必要なのですが……。
電動バイクと聞くと、どうしても気になる(気にされる)航続距離は、スペック上では130km(WMTCに準拠)となっており、これは「C evolution」の約160km(定地走行値)よりも短い航続距離です。車両重量、航続距離、充電時間といったバランスをとった結果、このスペックとなったのでしょう。

「CE 04」には「電動バイクらしい電動バイクを作ろう」というBMWの意志が込められている。実際に走らせて、そう心から感じました。「電動バイクらしい電動バイク」、それは、我々バイク乗りにとっても、新しい可能性を広げてくれるということにほかならないでしょう。
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。













