一体何が違うか知ってる? バイクのレギュラーとハイオクの燃料指定
バイクを走らせるためには、ガソリンが必要です。このガソリンには、レギュラーとハイオクの2種類が存在し、車体メーカーの指示通りの種類を入れていれば問題はないのですが、そもそもレギュラーとハイオクの違いはどこにあるのでしょうか?
レギュラーとハイオクの違い
バイクを走らせるためにはガソリンが必要ですが、ガソリンにはレギュラーとハイオクの2種類がラインナップされています。
車体メーカーの指示通りの種類を入れていれば、性能に問題はありませんが、そもそもレギュラーとハイオクは何が違うのでしょうか。その違いを解説します。

結論から言うと、レギュラーとハイオクの違いはオクタン価と呼ばれる数値の違いです。
JIS(日本産業規格)規格ではレギュラーが89以上、ハイオクは96以上と定めていますが、海外ではこの間にもう一段階ある場合もあり、たとえばヨーロッパでは94以上という油種も存在します。このオクタン価は、一体どういった内容を表している数値なのかというと、まずハイオクは燃えやすく、爆発力が高くてパワーが出るといったイメージがありますが、実は直接的にはそういう訳ではありません。正確には、オクタン価が高くなるほど自己着火しにくくなる特質があります。
ではなぜ燃料として爆発力が高いわけでもないのにハイオクが、ハイパワー車を中心に指定されているかというと、エンジンの圧縮比を高くできたり、点火時期を早めることができる為。どちらもパワーにつながるポイントで、圧縮比を高くしたり点火時期を早めると、レギュラーの場合はノッキングが起こってしまいます。
ノッキングとはシリンダー内で、プラグによる着火ではなく勝手にガソリンが爆発してしまう現象。ギアの選択が高すぎる場合、無理にアクセルを開けると「チリチリ」や「カリカリ」という高い音が出てしまう現象です。ちなみにノッキングがひどくなると、ピストンに穴が空いたりしてエンジンが壊れてしまうこともあるので、発生したら適正なギアに変更したりアクセルを緩めるようにしましょう。
これらの特徴から、ハイオクは自己着火しにくくてノッキングが起こりにくいため、圧縮を高めたり点火時期を早くできるので、レギュラー仕様よりもパワーを出すことが可能という訳です。
また、空燃比、つまり燃料に対して空気の量が多くなってもノッキングが起こりやすいのですが、ハイオクにすることで燃費をよくすることが可能。しかし、こちらは燃料代に関係するので、燃費をよくした所で、価格が高いハイオク指定では意味がなくなってしまいます。
指定とは違う油種を入れるとどうなる?
まずレギュラー仕様のバイクにハイオクを入れる事は、プラグによる着火性には違いはないので、まったく問題ありません。
以前は洗浄剤が入っているのでエンジンの内部をクリーンに保てるといった効果が謳われていましたが、現在では防汚性に優れる程度で、あまりメリットはありません。
もし洗浄を目的とするなら、別で洗浄系の燃料添加剤を入れたほうがコスト的にも安くなるでしょう。いずれにしても、レギュラー仕様にハイオクを入れる事にはほぼ意味が無い上に、燃料代がかさむだけとなります。

一方、ハイオク仕様にレギュラーを入れる行為は、燃料代を抑えるためにやりたくなるかもしれませんが、前述したようにエンジンが本来持つパワーや燃費を発揮できなくなるばかりか、ノッキングが出やすくなるので、最悪の場合、エンジン内部にダメージが及ぶこともあります。
クルマの場合はノックセンサーという部品によってノッキングの発生を監視するなどの対策が取られているため、ハイオク仕様にレギュラーを入れると自動でレギュラー仕様の制御に移るようになっていることがほとんどです。
バイクでもこのような制御は増えていますが、市販車でハイオク仕様となったのは2007年のホンダ「CBR600RR」が日本初。
そのため、キャブ車や初期のインジェクション車で、ハイオク仕様にレギュラーを入れてしまうということはありえず、最近のモデルではパワーダウンはしてもトラブルにつながる事はありません。
最後に、もし軽油をガソリンエンジンに入れてしまったら、エンジンはかからないので内部が破損することはありませんが、タンクだけでなく燃料系全体を分解して洗浄なければならないので、費用も手間もかなりかかってしまうため、入れ間違いには注意しましょう。