ちょっと気になる機内食~スリランカ航空編~ 食後に“カップ”でセイロンティーを味わえる
筆者(伊藤英里)にとって、機内食は海外取材に赴く際の、ささやかな楽しみでもあります。2023年シーズンのMotoGP開幕戦、ポルトガルGPの取材に向かうスリランカ航空の機内食で、筆者の興味を引いたのは、カトラリーと小さなカップでした。
20時間以上のフライト、奥深き「機内食」の世界にしみじみと……
機内食に惹かれています。「食」へのこだわりがあるわけでもない筆者(伊藤英里)ですが、機内食は別です。エコノミークラスの小さなテーブルに乗る30センチ四方くらいのプレートに、食事と食事に関わる様々なものが詰まっています。パンやライス、おかず、デザートにドリンク。食事の味付けを好みに変える塩やソース。それからナイフやフォーク、スプーンといったカトラリーに、紙ナプキン……。

それらはレストランでの食事なら、ごく当たり前にあるものでしょう。しかし、飛行機内のヒト一人分のシートに設けられた限られたスペースにそれらが全て収まっているということに、毎回のように「すごいな」と驚き、子供みたいにわくわくしてしまうのです。
筆者にとって2023年最初の機内食は、MotoGP開幕戦の取材でポルトガルに向かうスリランカ航空のものでした。成田国際空港からスリランカのバンダラナイケ国際空港で飛行機を乗り継ぎ、パリのシャルル・ド・ゴール国際空港までは合計21時間30分ほどかかりました。
パリでさらに別の航空会社に乗り継ぎ、さすがにお尻がズキズキと……それはさておき、スリランカ航空の機内では、成田からバンダラナイケまでに2度、バンダラナイケからパリまでに2度の機内食がありました。

冒頭にも書いたように、筆者は食へのこだわりが強いわけでもなければ、食文化に詳しいわけでもありません。スリランカ航空の機内食は「なるほど、スリランカではカレーがよく食べられているのかな」などと想像しながら、どれも美味しくいただきました。最後の機内食にあった、玉ねぎの炒め物らしきものを除いて……。
辛い物が大の苦手な筆者にとってはこれがなかなかの強敵で、口に入れた瞬間に衝撃が走り、ちょっとだけ涙が出ました。大人なのに。機内食は未知の食べ物が出ることもありますから、驚くこともしばしば。もちろん、それも楽しいわけですけどね。
そんなスリランカ航空の機内食でかなり気になってしまったのが、カトラリーやカップといった、食器の方です。まずはカトラリー。ナイフとフォーク、スプーンがセットになっているごく標準的なものですが、スリランカ航空のカトラリーは、これまでの「マイ・ベスト・オブ・カトラリー」でした。

受賞のポイントは、重さと大きさです。航空会社によってカトラリーが金属製や木製などそれぞれですが、レストランのようにしっかりした金属製のカトラリーでは、機内の、ましてやエコノミークラスの小さなシート空間では手に重過ぎて使いづらいことがあります。かといって木製のカトラリーになると軽過ぎるわけです。
スリランカ航空の金属製のカトラリーは絶妙な重量感で、小さなテーブルの上でフォークとスプーンを持ち替えたり、ナイフを持ったり置いたり、そういう動きにしっくりくるのです。口と手を動かしながら、ふと「あ、すごく食べやすい」と気が付きました。カトラリーって、大事なんだ……。
そして感心してしまったのが、トレイにちょこんと乗せられたカップです。青緑色に塗られたプラスチック製の小さなカップには細い取っ手がついています。食事が終わるころ、キャビンアテンダントがコーヒーやお茶をサーブする際に、このカップに注いでもらうのです。

筆者はセイロンティーを注いでもらい、細い取っ手に指をかけてゴクリと一口。抽出時間が長かったのでしょうか、苦みが舌に広がっていきました。しかし、その味以上に、心持ちが違う気がするのです。
自分の体験上、これまで食後のドリンクのほとんどは紙コップでサーブされていました。カトラリーと同じように、カップも小さな道具のひとつかもしれません。ただ、カップで飲むと、いつもよりリラックスできる気がするものです。気持ちの問題かもしれません。けれど「なんだか、心地いい」は大事です。
「機内食に大事なものって、味や食事の内容だけじゃないんだなあ」と、しみじみ思います。やっぱり機内食は面白い。そしてすごく、まだまだ奥が深い。
次はどんな機内食に出会えるだろう……そんなことを考えながら、ポルトガルへと向かったのでした。
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。








