the「燃費」 世界で人気のプレミアムスクーター ヤマハ「TMAX560 TECH MAX」って燃費性能はどうなの?

ヤマハ「TMAX560 TECH MAX」は、排気量561ccの水冷直列2気筒エンジンを搭載する、主にヨーロッパで人気のオートマチックスポーツモデルです。2023年型の最新バージョンで、快適性をさらに高めた上級仕様の燃費を実走で計測してみました。

オートマチック・スポーツは、燃費にどう影響するのか?

 2001年にデビューしたヤマハ「TMAX」シリーズは、車体中央にエンジンを搭載し、駆動輪への動力伝達にドライブチェーンやドライブベルトを採用することで、ユニットスイング方式が当たり前のスクーター界に一石を投じました。スクーターではなく「ATスポーツ」として人気を確立。今や世界で唯一無二の存在になっています。

実際の燃費はどうなのか? ヤマハ「TMAX560 TECH MAX」(2023年型)を走らせる筆者(松井勉)
実際の燃費はどうなのか? ヤマハ「TMAX560 TECH MAX」(2023年型)を走らせる筆者(松井勉)

 そのシリーズ最上級モデル、2023年型の「TMAX560 TECH MAX ABS」(以下、TMAX)が、今回のthe「燃費」テスト車です。

 2022年に受けたマイナーモデルチェンジにより、軽量なスピンフォージドホイールの採用や、アプリを活用してスマホ連動が可能になった大型7インチTFTカラーモニター、さらにクッキリ、シャキッとしたフロントフェイスの採用等々、装備面の大きなアップデイトを受け、プレミアムクラスのモデルとしても非の打ちようのない完成度を手に入れたのです。

 跨がるとライダーインターフェイスの変貌により、ゴージャスな先進性でオーナーを満たします。この「テックマックス」バージョンには、電動調整式ウインドスクリーン、シートヒーター、グリップウォーマー、クルーズコントロールなども標準装備。左右のスイッチ類は夜間でも扱いやすいよう照明付きになるなど、スポーツイメージが強いTMAXにあって、プレミアムツアラーのような趣も持つのです。

燃費計測は、車載のトリップメーターと平均燃費計を利用
燃費計測は、車載のトリップメーターと平均燃費計を利用

 思わずため息が漏れるthe「燃費」研究班ですが、我々の使命は市街地、高速道路、快走路でこのモデルが持つ燃費性能を確かめること。早速いつものthe「燃費」ルートに向かうのです。

 ちなみに、TMAXの燃費性能(国土交通省届出値)は、定地燃費値(60km/h、2名乗車時)が31.7km/lで、WMTCモード値(クラス3-2、1名乗車時)が22.1km/lとなっています。燃料タンク容量は15リットル。プレミアムガソリンが指定されています。

 毎回同一ルートで燃費を計測することで、過去記事にある類似モデル、同等排気量モデル、同カテゴリーの気になるモデルなどとの比較も出来るthe「燃費」企画では、交通の流れに合わせた走りで休日のゆったりツーリングをイメージして走行しています。

 記事で紹介する距離は取材車のトリップメーターに出た数値、燃費は平均燃費計の値を記載しています。

市街地での走りにストレス一切無し、だが……

 市街地燃費計測は次のルートで行なっています。都内外苑付近をスタート。青山一丁目交差点から国道246号で皇居方向へ。日比谷から丸の内のオフィス街を走り、再び日比谷から晴海方向へ。直進して首都高湾岸線沿いを走る国道357号の東雲付近までを走る12.3kmです。

いざ、燃費の実走計測へ。市街地燃費計測では丸の内オフィス街も経由
いざ、燃費の実走計測へ。市街地燃費計測では丸の内オフィス街も経由

 片側3車線の広い道が多く、交差点では直進、右折の分離信号がほとんどで、信号に掴まる回数によってはアイドリングで燃費値に影響が出る場合も。交通量は常に少なくありませんが、路線バスが多いタイミング、道路工事などの車線規制での渋滞など、道路状況によっても燃費値に変化が出ることがあります。

 TMAXのエンジンは直列2気筒のスムーズさを持ち、パワー、トルクに不足を感じる場面は市街地では一切ありません。スポーツ性重視のこのモデル、アクセルワークに忠実で、しっかりとエンジンブレーキも効きます。そのため流れに合わせて走り、進行方向の信号が赤になったらアクセルを閉じて惰性で行きたいところですが、スクーターの他モデルと比較して走行中、しっかりと速度維持のためにアクセルを開け続ける必要がありました。

 走行モードによってスーっとコースティング(空走)してくれたら、おそらく燃費もさらに向上したはずです。今回記録した燃費は21.5km/lでした。

高速道路も不満ナシ、いたって快適な走り

 高速道路燃費計測は次の2区間で行っています。区間1は、アクア連絡道の「木更津金田IC」から館山道の終点「富浦IC」直近のコンビニエンスストアまで54.6kmの往路。区間2は、快走路燃費計測を終えた館山道「富津中央IC」からアクア連絡道の「木更津金田IC」までの25.5kmの復路。合計80.1kmで行なっています。

高速道路ではいたって快適な走りを楽しめる
高速道路ではいたって快適な走りを楽しめる

 ルートの特徴は、アクア連絡道の制限速度は80km、館山道は往路では100km/hから80km/h、70km/hと制限速度が変化します。これは南下すると「富津中央IC」の先で館山道が片側一車線となるためです。

 アクア連絡道は比較的平坦路が続きますが、館山道区間は長いアップダウンが連続し、海岸から近い場所では設置された吹き流しが真横を向くような風が吹くことも。これが追い風になることも向かい風になることもあり、燃費的にキビシイ時もあります。

「テックマックス」バージョンに標準装備されたクルーズコントロールを使い、高さを電動で調整可能なウインドスクリーンで快適な位置を探しながら悠々としたクルーズを楽しみました。

 クルーズコントロールにお任せ走行の場合、アップダウンも関係なく一定速度を保ってくれるのは言うまでもありません。シートに装備された調整可能なバックレスト(腰当て)を適正な位置に合わせれば本当に快適。ちょっと細身になったシートが長時間走行だとお尻に痛みを覚えそうですが、重箱の隅をつついてそんなところ。

 燃費結果は区間1で25.5km/l、区間が2では23.8km/lとなり、平均で24.6km/lとなっています。

快走路では走りを楽しめる一方、やはり空走が欲しいところ

 快走路燃費は3区間の一般道で計測しています。区間1は、館山道「富浦IC」直近のコンビニエンスストアからスタート。国道127号から県道296号を経て「安房グリーンライン」で房総半島の南端エリアの海岸線までの22.1km。区間2はそのまま海岸線沿いの国道410号を千倉漁港方向に北上し、国道128号を経由してまた国道410号を進み、「安房中央ダム」沿いを走って県道34号との交差点を西へ。その先にある「大山千枚田」までの39.1km。区間3は「大山千枚田」から県道88号、県道34号、県道182号「もみじロード」、国道465号、国道127号と進み、館山道「富津中央IC」までの25.9km。合計87.1kmで計測しています。

the「燃費」の計測ルート。房総半島最南端エリアにて
the「燃費」の計測ルート。房総半島最南端エリアにて

 各区間とも平坦部分とアップダウンが50:50に近い割合で含まれ、直線路あり、ワインディングありの楽しいルートで信号が少ないもの特徴です。

 快走ルートでのTMAXは、市街地同様、強めに効くエンジンブレーキでワインディングでは楽しめます。反面、空いた直線道路で数百メートル先の交差点の信号が赤に変わっても、スロットルを戻してスーっと進める距離が短いため、直前までアクセルを開け続けないと速度が落ち過ぎてしまうというジレンマが……。これは下り坂も同様で、常にアクセルONな感じなのです。

 この設定が燃費面ではマイナスとなるのか、561ccという排気量ながら1000ccクラスと同等の燃費にとどまっています。区間1が25.1km/l、区間2は25.6km/l、区間3で最良の26.0km/lとなり、平均では25.6km/lとなりました。

これでしかない存在は、燃費を超越する!……か?

 今回の計測でTMAXの総平均燃費は23.9km/lでした。WMTCモード値よりも低い速度域となる今回のようなケースで、過去の経験からすると定地燃費値に近い値を出すモデルも少なくありません。と、考えると、プレミアムさと存在感では◎、でも燃費面ではCVTのセットアップなどをさらに詰めたモードの搭載が期待されます。

ツーリング想定のthe「燃費」計測ルートを走り終え、ゴール地点の千葉県木更津エリアに到着したヤマハ「TMAX560 TECH MAX」(2023年型)と、the「燃費」取材班の筆者(松井勉)
ツーリング想定のthe「燃費」計測ルートを走り終え、ゴール地点の千葉県木更津エリアに到着したヤマハ「TMAX560 TECH MAX」(2023年型)と、the「燃費」取材班の筆者(松井勉)

“TMAX道”は、さらに続くに違いありません。

■ヤマハ「TMAX560 TECH MAX」燃費結果
総合評価:☆☆☆★★(ホシ3つ)
市街地:21.5km/l
高速道路:24.6km/l
快走路:25.6km/l
平均:23.9km/l

【画像】ヤマハ「TMAX560 TECH MAX」の燃費性能は? 実際に走って調査! を見る(18枚)

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Writer: 松井勉

モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。

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