加速度的に進化するヤマハの電動トライアルマシン「TY-E 2.2」 そこから広がる可能性
黒山選手も驚く、「TY-E 2.2」の進化
電動トライアルマシンとともに全日本トライアル選手権シリーズを戦う2023年シーズンで、第5戦から「TY-E 2.2」を駆る黒山選手は第7戦を終え、現在ランキング3番手。第4戦和歌山・湯浅大会では全日本史上初めて電動マシンによる2位表彰台を獲得し、以降、4戦連続で表彰台に立っています(第4戦まではTY-E 2.1を使用)。

じつは、佐藤さんは「最初はかなり厳しいだろうと思っていた」と言います。しかし実際には、良い意味で予想を裏切る好結果。これには「TY-E」を初期の2018年から走らせてきた黒山選手による電動マシンへの適応と、加速度的に進んでいる開発も一因にあるとのことです。
「去年、世界選手権フランス大会に行ったとき、エンジン車に敵わなかった。結果が厳しかったんですね。それを踏まえると、今年、全日本ではそう簡単に勝てないだろうとは思っていたんですが、開発がかなりのスピードでマシンを開発してくれたんです。選手も電動マシンに慣れてきて、我々が思っていた以上の成績を収めています。チーム一丸となって、黒山選手に勝てるマシンを提供しようと、開発が急ピッチでマシン性能を上げてくれたことと、黒山選手が慣れてくれたということでしょうね」
「エンジン車のときは、どちらかと言えば戦略部の中で(開発を)していました。しかしこのTY-Eに関しては、開発の担当者がバッテリー担当、モーターユニットを担当する人などに分かれていて、そういう人たちがみんなでひとつひとつをつくり、アップデートしようとしてくれているのです。だから、スピーディに進化しました。黒山選手もびっくりするくらいのマシン進化、アップデートがありました」

ヤマハは2023年からの3年間で、「TY-E」でチャンピオンを獲得すると宣言しています。そうしたモータースポーツとしての成功のみならず、得られた知見はヤマハの各カテゴリーへ投入されているのです。
例えば、初期の「TY-E」に使用されていたモーターユニットは電動スクーター「E01」に投入され、最新型の「TY-E 2.2」のモーターユニットは、新たなプロジェクトとして誕生した電動ミニバイク「E-FV」に搭載されています。
「開発と戦略側としては、開発されたパーツ、モーターユニット関係も、いろいろなところに提供できるようにしたいと思っています」と、佐藤さんは語っていました。この「TY-E」から、ヤマハの電動バイク(あるいはモビリティ)の世界はさらに広がっていくのでしょう。
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。








