現地で見た『E-Xplorer』 電動バイクによる新しいレースのかたち
エキゾーストノートが無いレース。ライダーはどう感じていたのか?
では、静かな電動バイクによるレースを、ライダーたちはどう感じていたのでしょう。トーシャ・シャレイナ選手(Team HRC/男性ライダー)とターニャ・シュロッサー選手(GRAVITY/女性ライダー)に話を聞きました。2人とも、レースでは後ろからの追い上げを受けたライダーです。

「もちろん、全部がノーマルのバイクとは違っている。ほかのライダーとのバトルはとても難しい。(ライダーが)どこにいるのか分からないからね。でも、街中でのこういうレースができるのはいいことだと思うよ」(トーシャ・シャレイナ選手/男性ライダー総合2位)
「レース中は誰かが後ろにいるのかどうか、分かりにくかった。見ていたと思うけど、抜かれるときに接触したの。聞こえなかったから……。(内燃エンジンのバイクレースとは)すごく違っていて、チェーンの音、タイヤの音、サスペンションの音が聞こえる。それは、ノーマルのバイクでは聞こえない音でしょ。新しい音に慣れないといけない。最初は、チェーンとかタイヤの音などが聞こえるから、変な感じだった。でも慣れてしまえば、普通のバイクみたいな感じだよ」(ターニャ・シュロッサー選手/女性ライダー総合3位)
「ノーマルのバイクでは聞こえない音」があると言うターニャ選手に、さらに「チェーンなどそういう音で、後ろから来るライダーに気付くのですか?」と聞きました。するとターニャ選手は「慣れていけば、どこで集中すればいいのか分かるようになる」と答えていました。

「慣れるにつれて、後ろにいるライダーの音が聞こえてくると思う。どう聞こえるのかが分かるから。慣れなくちゃいけないけど、慣れてしまえば普通のバイクよ」(ターニャ・シュロッサー選手)
ライダーは、自分にあるモノ、環境で全力を尽くすのが仕事です。電動バイクであることそれ自体は、彼ら彼女らにとって大きな問題ではなく、それに「いかに早く適応」して勝つか、ということになるのでしょう。
「E-Xplorer」は電動バイクによるレースであるだけではなく、レースのスタイルとしても、新しい可能性を含んだ選手権でもあると感じられました。
電動バイクには課題もありながら、今後のモータースポーツにとって新しい見せ方、ファンへの届け方という可能性も持っているのではないでしょうか。
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。





















