【MotoGP現場ぶら歩き】ここはサーキット? きらびやかなパドックと夜店の高揚感漂うスタンド裏
初めて取材に行ったMotoGP2024年シーズンのカタールGPは、新しいパドックとナイトレースに驚くばかりでした。そして地域的にレアな天候も……。カタールGPの“ぶら歩き”をお届けします。
「ここは……パドックなのか!?」
ルサイル・インターナショナル・サーキットで夜のパドックを歩いたとき、大きな衝撃を受けました。初めて訪れたカタールGPのパドックは、わたし(筆者:伊藤英里)が経験してきたどのパドックとも違っていたからです。

ルサイル・インターナショナル・サーキットは、2024年シーズンのMotoGP開幕戦カタールGPの舞台です。カタールGPは2007年から開幕戦、そして2008年からはナイトレースとして行なわれていましたが、2023年はサーキットの大改修工事のために開幕戦を外れ、シーズン後半にスケジュールされました。
そして2024年は開幕戦に戻った、というわけです。つまり、大改修工事後の真新しいサーキットなのですが、パドックはまるで最新のショッピングモールのような明るさと設備でした。
ピットが入る建物も、チームやサプライヤーが入る建物も、中東らしいクリーム色をしており、とても大きいのです。オフィスが入る建物は基本的に2階立てで、その前のスペースにはテーブルと椅子が並び、チームスタッフやゲストがくつろぎ、食事をしたりしています。
これがヨーロッパのサーキットなら、パドックには大きなトレーラーが並び、移動式の巨大ホスピタリティが軒を連ねているところですが、中東カタールはヨーロッパから距離があるために、そのようなトレーラーもホスピタリティもありません。代わりに、各チームは割り当てられた常設のオフィスを使用しているわけです。

あまりにもきらびやかなパドックに、あっけにとられながら写真を撮っていると、それを見止めた知り合いの日本人が「すごいでしょう」と笑いました。曰く、2023年の大改修工事で今のようなパドックになったそう。
「以前はオフィスもプレハブ小屋で、風が吹けば屋根がばたついたくらい」だったそうです。そのパドックも体験してみたかった気もしますが、今のパドックのほうが便利で快適であることは間違いありません。
それでは、と、金曜日の夜にスタンド裏に行ってみることにしました。
巨大なグランドスタンドの裏は、パドックほど明るくはありません。広々としたスペースに、バイクメーカーのブースやグッズ販売ブースが並び、音楽アーティストのライブや子供向け補助輪付きのミニバイク体験、好きに色を塗れるバイク模型など、様々な「イベント」がそこかしこにありました。

その中を、やって来た観客が嬉しそうに、楽しそうに歩きます。そんな様子を、紐で連なる小さな電球がオレンジ色に照らしているのです。
「まるで、お祭りの夜店みたいだ」
お祭りには、夜という特別な時間に、特別な場所や催しを楽しむという、そこにしかない興奮があります。そんな「特別な興奮」が、ルサイル・インターナショナル・サーキットのスタンド裏には満ちていました。
そうして「カタールの夜店」を楽しんでいると……ふと、冷たいものが頬に当たったのを感じました。気のせいだろうと思っていると、また、ぽつり。「雨だろうか」なんて思っているうちに、ざああと強めの雨が降り始めたではありませんか。
しばらく雨宿りをしてメディアが仕事をする部屋、メディアセンターに戻ると、ちょうど走行時間だったMoto2クラスはほとんどのライダーが走行できなかったようです。

「カタールで雨という記憶はあまりないなあ」と思っていると、トイレでばったり会った知り合いのスペイン人が、やはりカタールGPでの雨は珍しいと教えてくれました。
さらにそのあと取材をしたMoto2ライダー、小椋藍選手も「1年で数日しか雨が降らないらしいですよ。それがたまたま今日だったらしいです」と語っていました。なんともレアな雨が、ちょうどカタールGPの走行時間に降ったというのです。
その後、土曜日も日曜日も、雨が降ることはありませんでした。
カタールGPのルサイル・インターナショナル・サーキットは、わたしにとって、新しいサーキット体験になったのでした。
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。
























