【インタビュー】SHOEIのフィッティングシステム体験 「自分の頭にヘルメットを合わせる」重要性
SHOEIの「パーソナル・フィッティング・システム」を体験!
田上さんが触れた「パーソナル・フィッティング・システム」は、ヘルメットの内装を頭の形に合わせるサービスです。SHOEIのテクニカルショップやSHOEI Galleryで、基本的に新品購入するとサービス(有料)を受けることができます。

「独自の計測機器を使って、頭の前後の長さと横幅、それから耳から頭頂部の部分の高さを測ります。それぞれのモデルでプログラムが組まれていますので、まずは推奨のヘルメットサイズを割り出し、そこからパッドで調整していきます」
「SHOEIに入る前のことですが、わたしもヘルメットを買ったとき、なんとなくの感じでMサイズを被っていたんです。でも、SHOEIに入社してフィッティングしてもらったら、Sだったんですよ。調整してもらったものを被ったら全然違っていたんです」と田上さんは明かし、自分の頭に合ったヘルメットを被る重要性を語りました。
「自分で試着して決めるサイズは、大き目を選ぶ方が多いんですね。小さいときついですから。ただ、大きいヘルメットになってしまうと、走行中に風の抵抗を受けてしまいます。例えば横に隙間があれば横にぶれるし、前後にすきまがあれば縦にぶれることが起こり得るんです」
「横にすきまがあって前後は当たっていると、前頭部と後頭部だけでヘルメットを支えていることになるので、負荷が集中して痛くなってしまいます。頭全体でヘルメットの重さを支えるという意味でも、ちゃんと頭にフィットさせることが重要なんです」
今回、わたしはSHOEI Gallery TOKYOでヘルメットを購入する際、このパーソナル・フィッティング・システムを実際に体験してきました。選んだヘルメットは「X-Fifteen」です。時々サーキットを走って、レースにも参戦するし、空力性能によって高速道路を楽に走りたかったので、あまり悩まずに済みました。

まず、頭の計測をしていきます。ここで重要なのは横幅と前後の幅で、外周も計測されます。わたしのサイズはSで、ここからパッドを追加して頭に合わせていきました。
何度もヘルメットを被っては感触を確かめ、スタッフの方がつきっきりで、どういった感触がベターなのかを教えてくれます。個人的にはこれが安心でした。と言うのも、素人の感覚による曖昧な情報では、「この感覚がヘルメットを被ったときのベストかわからない」からです。
「きついようにも感じるけれど……」と、不安なところをどんどん伝え、その結果、パッドの硬さを変えるなどとても微細な調整をしてもらうことができました。しっかりと自分の頭に合ったヘルメットは、軽さを感じやすいというメリットもあるのだそうです。
パーソナル・フィッティング・システムを受けていると、購入したばかりのヘルメットに、じわじわと愛着が湧いてくるのを感じました。スタッフの方と一緒にヘルメットを自分に合ったものにしていったからでしょう。
1時間でフィッティングを終えるころには、心の中ですっかり「馴染みの装具」の仲間入りをしていました。そんな素敵なメリットも、あるのかもしれません。
SHOEIヘルメットのコンセプト
パーソナル・フィッティング・システムを受け、自分の頭に合ったヘルメットを使用する重要性を認識しました。では、そんなSHOEIのヘルメットは、どんなコンセプトを持っているのでしょう? 田上さんに尋ねました。

「コンセプトとしては3つあります。ひとつは安全性。これは、ヘルメットとして必ず持っていなければならないものです。もうひとつはコンフォート(快適性)、最後はパッション、感動を届けるということです」
「コンフォートについては、商品を被って快適にライディングをしていただく、ということなのです。ベンチレーションやインナーサンバイザーなど、快適に走るための性能を追求し、そういうものを作り上げることによって、バイクに乗る楽しみ、感動をお客様に感じていただく。それが、パッションです。この3つが、ものづくりの上で、大事な思想になっています」
コンセプトのひとつであり、必須の「安全性」について、SHOEIが考えるヘルメットの安全性とは?
「アクティブ・セーフティと、パッシブ・セーフティ、このふたつを掲げています。パッシブ・セーフティは、各国の必要な安全規格に適合し、安全性能を持たせるということです。アクティブ・セーフティは、万が一のことを引き起こさせないための性能です。例えば、換気性能をつけることでライダーが涼しく快適にライディングできるようにして、暑くなってぼうっとしてしまい、集中力が低下してしまうのを防いだり、インナーサンバイザーで眩しさを防ぎ、きちんと視野を確保しながらライディングをしてもらう。シールドもそうです。ゆがみをできるだけなくして、クリアな視界を確保します」
「重さをできるだけ軽くし、空力性能によって空気抵抗を少なくすることでライダーの疲労を軽減すれば、ライダーはよりライディングに集中できます。そういうことで、事故を起こしにくくするんです。それが、アクティブ・セーフティです」
アクシデントが起こった時の頭部の保護はもちろんのこと、そのアクシデント自体を防ぐ。それが、SHOEIが考えるひとつのセーフティ(安全性)ということでした。
最後に、SHOEIが考える「ヘルメットの今後の進化」について聞きました。
「どんどん機能が追加されています。例えば、NEOTECはIIになって専用設計のインカムをつけられるようになりました。インカムの普及率も上がっていますし、アクセサリーにあたる部分もすごくライダーの間では当たり前になってきたことを踏まえ、専用設計のコミュニケーションシステムをつけよう、ということになりました」
「さらに先進的なものは、ヘッドアップディスプレイ付きのOPTICSONです。いま表示されるのはナビのみですが、この先もっと表示される情報が増える、などが考えられると思っています」

ヘルメットの使用期限である3年後、次のヘルメットを購入するとき、また新しい機能を持ったヘルメットが登場しているかもしれません。
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。














