【インタビュー】Moto2小椋藍選手、カタルーニャGPの優勝に「安堵」の意味。長年コンビを組むクルーチーフが語る「小椋藍の強さ」とは
Moto2クラスに参戦する小椋藍選手(MTヘルメット - MSI)は、2022年の日本GP以来、1年半ぶり、そしてMTヘルメット - MSIに移籍して初の優勝をカタルーニャGPで飾りました。この優勝について、小椋選手と、小椋選手のクルーチーフであるノーマン・ランクさんに聞きました。ランクさんには小椋選手の強さの背景などについても質問したところ、とても詳しく答えてくれました。
今シーズン初優勝を飾った小椋選手、その心境を語る
2024年のMotoGP第6戦カタルーニャGPのMoto2クラス決勝レースで、小椋藍選手(MTヘルメット – MSI)がシーズン初優勝を飾りました。2022年の日本GP以来、1年半ぶりの優勝でした。

レースの展開を、おおまかに振り返りましょう。4列目10番手スタートだった小椋選手は、素晴らしいスタートを切って、1コーナーの時点で3番手に浮上していました。序盤は周囲もタイヤがフレッシュな状態だったために少しポジションを落としましたが、周回を重ねながらポジションを上げていきました。残り4周でトップに立ち、先頭でチェッカーを受けたのです。
カタルーニャGP後、連戦であるイタリアGPの開催地ムジェロ・サーキットで、小椋選手にこの優勝についてインタビューをしました。
「序盤にあまり攻めすぎなかったので、それが結果的に良かったということですね」と、小椋選手は終盤まで維持したペースについて語ります。小椋選手が選んだタイヤは、フロント、リアともにソフトでした。小椋選手は、レース終盤に向けてリアタイヤを温存していたのです。
「レース中にリアタイヤをセーブしたい場合は、フロントを多く使ってタイムを出していく方向でリアをセーブします。逆にフロントをセーブしたいなら、スロットルを開けるところで頑張って、タイムを維持しながらフロントを長くもたせる。そのどちらかになると思うんです。そういうところを理解して走れていたんだと思います」
残り4周でチームメイトのセルジオ・ガルシア選手をかわし、トップに浮上したときの心境を尋ねると、小椋選手は淡々と「僕がガルシアを抜いたときは、彼のタイヤがだいぶ終わっていたころだったんです。ミスなく走っていれば(優勝できると)思っていました」と言います。
「(1年半ぶりの優勝という期待や緊張は)なかったですね。最後まで争っていたわけじゃなく、周回ごとに差が開いていく展開でしたから」

小椋選手にとっては、1年半ぶりの優勝というよりも、「ボスコスクーロ」勢として優勝できたという安堵のほうが大きかったそうです。2024年シーズンのMoto2クラスでは、小椋選手を含む2チーム4名のフル参戦ライダーが、ボスコスクーロのシャシーを使用しています。
「チームメイトも今年は調子が良いし、チームの中でもチームメイトが勝っている状況。ボスコスクーロ内でも、僕以外はみんな優勝していました。僕もそこに混ざれてよかった、という安心感はありましたね。勝てていないのは自分だけだったから」
「(2022年日本GP以来の優勝というのは)とくに気にしていなかったです。今年のパッケージでまず1勝できたことへの喜びの方が大きかったです」と言う小椋選手に、勝てずにいた1年半、焦りはなかったのか、と質問しました。
「もちろん、勝ちたいとは思っていましたけど、焦りはないですね。勝てるときは勝てるし、勝てないときは勝てない、と思っているので。焦り、というのはなかったです」
2023年シーズンは開幕戦前に負った左手首の負傷、序盤の欠場が響き、未勝利に終わりました。小椋選手の目標は、チャンピオン獲得です。優勝しなければ必ずしもチャンピオンになれないわけではありませんが、タイトル争いが難しくなるのは確かです。しかし、小椋選手はやはり、「焦燥感などはなかったです」と繰り返すのです。
「だめでも自分が足りないんだな、と思うだけですから。もちろん、自分に残念な気持ちにはなりますけど、それは焦りとは違います。焦りはなかったです」
淡々と自分のやるべきこと、改善すべきことに注力する、小椋選手らしい答えでした。その取り組みが、こうして再び小椋選手を優勝に導いたのでしょう。





