インディアンの限定車「FTR×RSD Super Hooligan」に見る メーカーとカスタムの世界を繋ぐ意味

各社メーカーのプロトタイプにも関与

 そんな素性を持つゆえ、ローランド・サンズの生み出すカスタムマシンは、常に“走り”の性能が追求されているのですが、そうした部分が各バイクメーカーとの深い関係に繋がっているのは、まず間違いありません。

かつての“デイトナ・オレンジ”を彷彿とさせるBMW Concept90は2013年に製作。このマシンが2014年の“RnineT”シリーズの開発の礎となったのは明白です(写真提供 BMW Motorad /RSD)
かつての“デイトナ・オレンジ”を彷彿とさせるBMW Concept90は2013年に製作。このマシンが2014年の“RnineT”シリーズの開発の礎となったのは明白です(写真提供 BMW Motorad /RSD)

 AMAの年間チャンピオンだった実績とパーツメーカーの息子として、あくまでも安全性と機能を追求する父の姿を見て育ったローランド・サンズという人物の生み出すマシンたちは、たしかに他のビルダーが製作したものと、どこか一線を画する空気感が漂います。

 実際、ローランドは多くのメーカーから仕事としてカスタムビルドを依頼され、それが後に正式なプロダクツに採用されることが、しばしばあるのですが、2013年製作のBMWMotorrad“Concept90” や、このサイトのギャラリー(写真ページ)で紹介する2015年の“Concept101”はその典型。前車は2014年に発売された“RnineT”、後車は2017年の“K1600B”としてカタチを変え、リリースされるに至っています。また今回、冒頭で紹介したインディアンFTRの開発プロトタイプもローランド・サンズの手によるものです。

現在のRSDとインディアンの関係を示唆するかのようなこの1台は空冷チーフをベースにボードトラッカーをイメージしてカスタム。まさに“ヘリテイジ&パフォーマンス”を標榜するRSDらしい出来栄えです
現在のRSDとインディアンの関係を示唆するかのようなこの1台は空冷チーフをベースにボードトラッカーをイメージしてカスタム。まさに“ヘリテイジ&パフォーマンス”を標榜するRSDらしい出来栄えです

 また2017年にモトアメリカではじまったレースである“The Mission(スポンサー企業名)Super Hooligan National Championship (MSHNC) ”もローランド・サンズの立案によるものなのですが、そのレギュレーションは空冷で排気量750cc以上の2気筒、水冷も750cc以上の2気筒となっており、アップハンドルが備えられた車両という大雑把なもの。事前承認を受ければ電気バイクも参戦可能とのことですが、これもハーレーやチョッパー、カスタムバイクにレーサーなど、あらゆるバイクをいたずらに分別しないローランド・サンズの理念を感じさせるものです。

 2000年代初頭からは日本のカスタムシーンが海外から注目され、今も世界中から熱い視線が注がれているのですが、当時のアメリカのビルダーたちが一様に語っていたのが「アメリカのチョッパーは走らないゲテモノが多くなってしまったけど、日本のカスタムバイクやチョッパーは走りのことがシッカリと考えられている」という点です。

 現在、ごく少数台が残っているというインディアンFTR×RSD Super Hooliganというマシンを通して「カスタム“バイク”とは、どうあるべきか?」をプロショップとユーザーが一丸となり、業界全体で再考してみるのも悪くないかもしれません。

【画像】ローランド・サンズが手掛けた数々のカスタムバイクを画像で見る(26枚)

画像ギャラリー

Writer: 渡辺まこと

ハーレーや国産バイクなど、様々な車両をベースにアメリカン・テイストのカスタムを施した「CHOPPER」(チョッパー)をメインに扱う雑誌「CHOPPER Journal」(チョッパージャーナル)編集長。カスタム車に限らず、幅広いバイクに対して深い知識を持つベテラン編集者。

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