カワサキ「Z2」のクラッチを現代的なパーツで整備&強化! 〜日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承〜Vol.12
メイド・イン・ジャパンのモーターサイクルを代表する一台として、誰もが認める存在と言えるのがカワサキZ1/Z2シリーズです。バイク仲間の友人が、長年所有し続けてきた1975年式750RSを購入して、将来的にはフルレストアで仕上げてみようと考えているのが、この企画になります。長年乗り続けることで、滑り症状が発生してしまうのがクラッチユニット。基本構成部品であるクラッチディスク&プレートは消耗部品です。現代技術を採用した、FCC製のクラッチキットを組み込むことで、確実な駆動力を得ようと考えました。
新車当時から未交換だった「クラッチディスク&プレート」
クラッチの滑り問題は、絶版旧車に限ったことではなく、新旧問わず縁があるトラブルだと思います。気持ち良く走っていた時に、前車を追い越そうとシフトダウンしてスロットル全開 !! ところが、「エンジン回転ばかり上がってしまい、思い通りにバイクが前へ進まない……」といった現象、経験したことがあるライダーは数多いと思います。

クラッチ部品の高性能化は著しく、70~80年代と比べても、現代モデル用部品の方が摩耗は少なく、断続性やフィーリングも確実に向上しています。特に、旧車の場合は、走らせていなかった期間もあるので、クラッチが貼りついてしまい、レバーをしっかり握ってもクラッチが切れない現象が多々発生します。
具体的には、エンジン始動からの暖機後に、クラッチレバーを握ってチェンジペダルを踏み込みます。しかし、次の瞬間にはエンスト……これはクラッチが切れていない証拠です。

軽度なハリツキならば、クラッチレバーを握ってギヤをシフトして、その状態でバイクを後方へ押すようにバックします。軽度なハリツキなら、そんな手順でフリクションディスクとクラッチプレートの固着が剥がれることもあります。どうしても剥がれない時には、クラッチユニットをバラして、状況確認することになります。
一方、通常走行は可能でも、パワーバンドに入るとクラッチが滑ってしまう症状もあります。ディスク&プレートのフリクション性能の低下も原因のひとつですが、時にはクラッチスプリングのヘタリによって、ディスクとプレートを力強く密着できないケースもあります。いずれにしても、新車当時から一度も交換されていないと思われるZ2E用クラッチなので、この機会に消耗部品と考えて、交換することにしました。
アドバンテージFCCのキットパーツをチョイス
旧車や絶版車になると、補修パーツはもちろん、消耗部品ですら入手するのが大変なモデルも数多くあります。泣く泣くクラッチ滑りを承知の上で、バイクを走られているライダーもいると聴きます。
そんな点を鑑みても、旧車の中でも超人気モデルと言える、カワサキ900 Z1や750 Z2オーナーは幸せです。メーカー純正部品でも、まだ購入できる部品があるのと同時に、ここで組み込むような、現代技術によって開発された「スペシャル」と呼ぶに相応しいキットパーツをチョイスし、組み込むこともできます。

FCC社と言えば、60年代以前から湿式多板クラッチメーカーとして業界に君臨してきました。現代のバイク市場を見ても、そのシェアは圧倒的と言えます。
そんなFCC社の最新技術で開発されたパーツを組み込めるのは、シアワセですよる。構成部品点数や様式は、メーカー純正仕様と同じですが、最新のフリクションディスク素材や表面処理技術によって開発されたこのパーツは、初代カワサキ空冷4気筒ファンのあいだでも評判が高いです。

ちなみにモデルによっては、ユニット全体で最新部品へコンバートするキットもあるそうです。例えば、クラッチ滑りが発生しやすく、切れが今ひとつ良くなかったモデルでも、このFCC製キットに交換したところ、切れの悪さや滑り症状がピタッと無くなり、至ってスムーズになったという実績もあります。

フリクションディスクの材質やスチールプレートの表面処理などなど、技術革新によって機能性が向上しています。したがって、同じ枚数のフリクションディスクとクラッチプレートを組み込んでも、純正仕様と比べて滑りにくく、操作性も良くなるというのが、大きな特徴と言えます。

そんな状況を考慮しつつ、750ccという排気量も踏まえ、ここでは柔らかめの設定であるカワサキZ2純正クラッチスプリングを復元し、利用することにしました。仮に、将来的に排気量アップしたり、パワーアップする際には、カワサキZ1純正スプリングやキットパーツに付属するスプリングに交換し、エンジン仕様に対応しようと考えてます。
取材協力/アドバンテージ
Writer: たぐちかつみ
フリーランスライター。バイクも作る国内自動車メーカーの生産技術開発部門を経てから大人向けのバイク専門誌「クラブマン」誌へ合流。同誌のメンテナンスコーナーが縁で、1995年春には「モト・メンテナンス」誌を創刊し編集長を務めた。同誌休刊後の2019年秋からは、内外出版社にて「モトメカニック」誌を創刊。現在も同誌編集長を務めている。





















