ドゥカティ新型「ムルティストラーダV4 S」初試乗!! 万能ツアラーが足つき向上デバイス投入でさらに快適!
ドゥカティが誇るアドベンチャーツアラーの最高峰「Multistrada V4 S(ムルティストラーダ・ブイフォー・エス)」の2025年モデルが登場しました。イタリアで開催された国際メディア試乗会から、モーターサイクルジャーナリストのケニー佐川がレポートします。
電子制御をメインに、全方位的にアップグレード
道を選ばず快適なロングライドを楽しめる、アドベンチャーツアラーというジャンルが世界的に躍進しています。特に国境を越えてバイクで長旅をするスタイルが定着している欧州での人気は高く、ブランドでも欧州勢を中心にバチバチに火花を散らしているのが現状です。

ツーリングでの快適性や卓越したオフロード性能など、アピールポイントは各車様々ですが、とりわけラグジュアリー感と万能性を誇示したモデルが、ドゥカティの「Multistrada V4 S(ムルティストラーダ・ブイフォー・エス)」と言えるでしょう。
イタリア語で「全ての道」を意味する「ムルティストラーダ」は、長距離ツアラーと街乗りバイク、スポーツバイクとオフロードバイクという4つのカテゴリーの長所を併せ持つ万能マシンです。
2021年には従来のV2エンジンからV4エンジンを搭載した完全新設計となり、今回の2025年モデルではさらなる進化を遂げました。
最高出力170psを発揮する、通称「V4グランツーリスモ」エンジンは、低回転時に前方バンク2気筒のみを稼働させるエンジン休止システムを新たに搭載し、低燃費走行や熱管理にも優れています。
ちなみに、同じV4でもスーパースポーツの「Panigale V4(パニガーレV4)」シリーズとは排気量もボア×ストロークも異なる別物で、ドゥカティ伝統のデスモドロミックではなく、耐久性に優れたスプリングによるバルブ駆動方式を採用するなど、アドベンチャー用に最適化されています。
車体も改良され、アルミ製モノコックフレームはスイングアームのピボット位置を1mm上げて加速時やタンデム走行時のトラクションを向上。また電子制御には新たに、車高を自動で下げる機能や「ウェット」モードが実装され、足つき性や雨天時の安心感も向上しています。
さらには前走車を自動で追尾する「ACC」や、バックミラーの死角にある車両を検知する「BSD」など従来からの機能に加え、新たに前方衝突警告機能も追加。安全性や快適性、扱いやすさが大幅に向上しています。
生粋のスポーツバイクに匹敵するパフォーマンス
第一印象として、外観はあまり変わらないように見えますが、実はヘッドライトが新設計となり、ホイールやサイレンサーも軽快感のあるデザインに洗練されてします。

さっそく跨ってみると、シート位置が低いことに気づきます。新型には自動車高低下機能(オートマチック・ロワリング・デバイス)が搭載されていて、速度が10km/h以下になるとリアサスペンションのプリロードが調整されて、シート高が約30mm下がる仕組みです。
自分の足がしっかり地面に届くという安心感が、新型の最大のトピックかもしれません。大きく、重く、背の高いアドベンチャーバイクと向き合うには、この機能が最も実用的と言えるでしょう。
ライディングモードを切り替えたときのキャラクターの激変ぶりも、新型の特徴です。市街地では「アーバン」モードで穏やかに流します。速度レンジ的にも前方バンク2気筒だけになり、排気音も静かに。「ゾーン30」が徹底されている欧州の生活道路では、その意義がよく分かります。

いざワインディングへ。モードを「スポーツ」に変更すると、アクセル反応が鋭くなりエンジンパワーが増大。電子制御サスペンションによってリア車高が上がり、減衰力も強化されてスポーツ走行に適した仕様へと自動的にセットアップされます。
クラス最強レベルのV4エンジンの加速は強烈そのものですが、鼓動もキメ細かく、パワーの出方もスムーズ。低回転からトルクが安定していて、タイトな上りコーナーでもギアを落とさず登っていけます。
ハンドリングも軽快かつフロント19インチホイール特有の安定感があり、狙ったラインを正確に描ける気持ち良さはドゥカティならではと言えます。
「ムルティストラーダ」はアドベンチャーと言うよりも、生粋のスポーツバイクに乗っている感覚に近く、同クラスのライバルの多くが2気筒や3気筒であるのに対し、V型4気筒を採用していることが大きいかもしれません。「パニガーレ」やMotoGPマシンにも繋がる血統を感じさせるところです。






















