ホンダ「NSR250R」乗りのみなさん、お待たせしました!! 本格レーサーレプリカブームの申し子「ハチハチ」クランクシャフトの再生
日本のバイクメーカーがしのぎを削った1980年代。象徴的な出来事と言えば、250ccクラスに於ける本格「レーサーレプリカ」ブームでした。なかでもホンダ「NSR250R」の存在は別格で、年式毎に数多くのファンがいることでも知られています。特に、鮮烈だった1988年モデルには、今尚数多くのファンがいて保有台数も多いですが、本来のエンジンコンディションを保った個体は年々数を減らしています。そんなNSRファンのために、iB井上ボーリングが、またひとつ大きな話題を提供してくれそうです。
歴史的機械遺産を後世へ。誉れ高きプロジェクト
ホンダ「NSR250R」シリーズの内燃機加工修理において、様々なメニューを展開し、好評を得てきたのがiB井上ボーリングです。
純正シリンダーが焼き付いたときには、メーカー製めっきシリンダーと同等の再生特殊めっきで、焼き付いてしまったシリンダーを新品部品と同等に生き返らせる再生するサービスをいち早く展開してきました。

バイクメーカーに純正採用される特殊めっきは、決して一般的な技術ではありませんが、同社には、バイクメーカー向けの特殊めっきを担当している会社と取り引きがあるため、焼き付いてしまったり、めっきが剥離してしまったようなシリンダーの再生が可能です。その他にも、NSR250R向けの復活再生メニューがあります。
クランクシャフトに関しては、2ストマルチエンジン特有のセンターシール不良による圧縮漏れに対応し、センターオイルシールの交換も受注しています。さらにコンロッドベアリングやコンロッドがダメージを受け、再利用できない例が増えてきた頃には、国内コンロッドメーカーへオリジナル部品をオーダーし、難題を克服した実績もあります。
NSR250Rシリーズの中でも、通称「ハチハチ」と呼ばれる1988年型クランクシャフトの修理受注が多いそうですが、年々増えていく修理不可能な状況に困っていたのがiB井上ボーリングでした。
クランクピン一体のセンターウェブが、その性格上、傷んでしまうと再生が不可能になります。そんな実例が増える中でiB井上ボーリングでは、製造工程が複雑なセンターウェブの開発にも取り組んでいます。
NC旋盤で削り出されたクランクウェブは、防炭銅めっき処理後に熱処理を施し、さらにクランクピンとジャーナルピンを精密研磨処理。防炭処理以降がすべて外注オーダーになるためコスト的にも大変になります。
しかし、「大切な愛車を後世へ残したい……」との熱いユーザーに押され、このプロジェクトがスタートしました。「実走行テストを残していますので、まだ開発途中です」と前置きしながらも、すでに手応えは感じている様子の井上壮太郎社長。新品部品と同等のクランクシャフトが手に入る日も近そうなので、NSR250Rファン、特に「ハチハチ」ファンにとっては今後の展開が気になります!!
Writer: たぐちかつみ
フリーランスライター。バイクも作る国内自動車メーカーの生産技術開発部門を経てから大人向けのバイク専門誌「クラブマン」誌へ合流。同誌のメンテナンスコーナーが縁で、1995年春には「モト・メンテナンス」誌を創刊し編集長を務めた。同誌休刊後の2019年秋からは、内外出版社にて「モトメカニック」誌を創刊。現在も同誌編集長を務めている。









