クラッチ操作は想像以上にアタマを使っていた!? ホンダ「CB650R E-Clutch」は直4エンジンと車体の良さがストレートに伝わってくる!!

排気量648ccの直列4気筒DOHC4バルブエンジンを搭載するホンダのスポーツネイキッドモデル「CB650R」に、クラッチレバー操作を自動化する「E-Clutch」搭載車がタイプ設定されて2024年6月に発売されました。一体どのような違いがあるのでしょうか。試乗しました。

まるで「宿題が無い夏休み」のよう?

 ホンダの新しい「CB650R」に乗りました。排気量は400でも1000でもない650ccクラスのエンジンを搭載したスポーツネイキッドです。その外観はクールそのもの。マナー講師の先生が2人並んで面接官の前に置かれたイスに座っているかのように揃った4本のエキゾーストパイプ。それは今や希少な、直列4気筒エンジンであることを静かに主張します。前傾したシリンダーや各部が醸すメカニカルなムードは見応充分なデザインです。

ホンダ「CB650R E-Clutch」(2024年6月発売)に試乗する筆者(松井勉)
ホンダ「CB650R E-Clutch」(2024年6月発売)に試乗する筆者(松井勉)

 足まわりを引き締める銅色に光る2本のフロントフォークに挟まれた丸いヘッドライトユニットは、トラッドで現代語訳的なスタイルです。光源は勿論LED。エッジの効いた燃料タンクからシートへと続くラインはスピード感があふれ、束ねたエキパイから「く」の字に見えるレイアウトで上方を向いた角型のサイレンサーや、サイズ180/55ZR17というリアタイヤが後ろ姿をスパイシーに演出しています。

 フレームはスチール製ツインチューブ型。エンジンを剛性体に使うダイヤモンドフレームレイアウトです。後輪を支持するスイングアームはアルミダイキャスト製で、右側はサイレンサーを避けるスタイルにも惹かれます。

 ライディングフォームは軽い前傾姿勢となり、扱いやすい範囲でステップの位置もやや後方。ネイキッドとしては上方に足を載せるペグがある、というイメージです。

 タンク後方とシート前端部分はキュっと細く絞り込まれ、外観から思うよりもコンパクトにライダーを迎えてくれます。もちろん足つき感も「◎」です。

 メーターパネルは5インチサイズのTFTカラーモニターを使い、速度やバイクのコンディションを知るのはもちろん、スマホ連動でナビ、音楽、通話などを画面表示しながらライダーはコミュニケーションを取れるのも重要なイマドキの装備。充電ソケットはオプションながら、大切なツールを活かして走れるのは嬉しいところ。

 そんな「CB650R」の推しとして、忘れてはいけないのが話題のホンダ「E-Clutch(Eクラッチ)」です。クラッチレバーはあるものの、クラッチ操作を自動化できるモードを持ち、発進、停止もクラッチレバーの操作からライダーを解放してくれるこの装備、最初にクラッチを握らず1速にシフトする瞬間は違和感アリでしたが、実際に使ってみればこれは便利。クラッチ操作に使っていた頭を他の部分に注ぐことができます。

 通常のクラッチレバーもあるので、フツーのバイクとしてそれを楽しむこともできます。ただし、オートモードのとき、クラッチは常にメカニカルに停車時は即半クラッチが切れる程度に引き込まれている様子で、物理レバーはまるでワイヤーが外れたかのようなスカスカ感があります。

 それさえ慣れてしまえば、スポーツバイクとクラッチ操作のイージー化を組み合わせた点で、ホンダのDCTよりもバイクの特定化がなく、「レブル250」にも搭載されるなど、追加装備が比較的容易に出来るのも特徴のようで、DCTモデルのように最初から開発する必要も無さそうです。今後も装着車が拡充するのか!? と期待が高まります。

ホンダ「CB650R E-Clutch」(2024年6月発売)カラー:パールディープマッドグレー
ホンダ「CB650R E-Clutch」(2024年6月発売)カラー:パールディープマッドグレー

 今回は市街地を中心にテストライドしたのですが、まず4気筒エンジンの滑らかな特性と扱いやすさ、3000rpmあたりからモリモリと湧き出すトルクとパワー、この魅力は直列4気筒ならでは。長年「CB400SF」をはじめ4気筒モデルが人気だった原点を確信する部分です。

 排気量が650ccクラスだけにトルク感もバッチリ。低い回転を使っても力感が楽しめます。信号待ちから走り出し、1速~2速とシフト操作をするだけで気持ち良し! それでいて、40km/hを6速で走ってもブォーという図太い排気音を出しながらスムーズさを保ち、必要ならそこから加速もしてくれます。良いエンジンです。

 フロントのサスペンションはしっとりと路面のうねりを吸収するタイプで、乗り心地もスポーティながら悪くありません。ブレーキング時にも減速Gをしっかりと受けとめてくれます。これはリアも同様。バランスが取れた足まわりも「CB650R」の魅力です。

 ここまできてフト思ったのが、ワインディングや高速道路を走っていないのに、バイクの特徴が手に取るように解ること。あ、これEクラッチの恩恵だ! と気づきます。

 クラッチ操作は想像以上にライダーのCPU(つまり自分のアタマ)を使っているのです。クラッチ操作を任せるとバイクの良さという純度がストレートに五感に響くのです。

 もちろん、クラッチを操作して走ることが出来るのですが、あえて自分でやらずとも任せて安心、頼んでもっと自由に、というのがEクラッチの魅力。そして使いたくなったらいつでも左手で操作ができて「MT」モデルとして楽しむことも。巧いシステムだね、コレ。

 本体価格に5万5000円のエクストラながら、これはこれでアリ。ヤマハの「Y-AMT」やBMWモトラッドの「ASA」ならシフトもクラッチも両方自動化してくれるけど、時々クラッチは触りたいな、というライダーにはオススメ。

 市街地走行多めの人ならクラッチ操作が無いEクラッチは恩恵「大」でしょう。まるで宿題のない夏休みのような(?)伸び伸び感を味わえること間違いなし。勉強したくなったら、算数ドリル並みにやり応えあるクラッチレバーも装備しているのですから。

 650ccクラスの4気筒エンジンは、今回どのような場面でも30%程度のエンジン出力で事足りたわけですが、それが排気量とバランスした魅力かもしれません。スーと前輪が軽くなるような加速も魅力ですが、その実力は、また別の機会に試したいと思います。

※ ※ ※

 ホンダ「CB650R E-Clutch」の価格(消費税10%込み)は108万9000円です。「Honda E-Clutch」を搭載しない「CB650R」は103万4000円となっています。

【画像】綺麗に並ぶパイプにギュッと引き締まった車体デザインも魅力のホンダ「CB650R E-Clutch」を見る

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Writer: 松井勉

モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。

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