自転車で神話の世界へ!? 鹿児島空港からのアクセスも良好 天孫降臨の舞台「高千穂河原」で激坂クライムを堪能!
鹿児島県霧島市に位置する霧島連山では、火山の息吹を感じながら自転車のペダルを踏んで標高を上げるとともに、大自然と神聖な空気に包まれていきます。神々が降り立ったとされる山でヒルクライムに挑戦してみました。
激坂ヒルクライム、スタートは国宝「霧島神宮」
鹿児島県霧島市に位置する霧島連山では、火山の息吹を感じながら自転車のペダルを踏んで標高を上げるとともに、大自然と神聖な空気に包まれていきます。神々が降り立ったとされる山でヒルクライムに挑戦してみました。

霧島連山に連なる標高1574mの高千穂峰は、日本神話において天照大神の命を受けた瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が天上から地上へ降り立った「天孫降臨」の舞台として知られています。
その登山口である高千穂河原は、まさに神話の入口。霧島山という日本有数の活火山が育んだダイナミックな地形と静寂に包まれた森が共存するこの地は、神々の気配を肌で感じられるような神秘的な空気に満ちています。
今回のヒルクライムの起点となるのは、2022年に国宝に指定された「霧島神宮」のすぐ近くです。ここから「高千穂河原ビジターセンター」までは約5.5kmと、数字だけ見れば短いと感じるかもしれませんが平均勾配はなんと9.5%(!)あり、スタートした瞬間から激坂が始まり、息をつく暇もないほどの急登が続きます。
ただし、この道には他では味わえない魅力があります。森に包まれた登坂では、外界との接点が徐々に断ち切られていくような感覚になり、次第に自分と向き合う世界に没入していきます。
路肩から立ちのぼる火山性の蒸気、硫黄の香りが漂うポイントもあり、「生きた山」に登っているという実感がひしひしと湧いてきます。
鳥居と御鉢、息をのむ絶景が待つフィニッシュ
視界が一気に開けたら、高千穂河原に到着です。森の中の登坂から一転、広い空の下、目の前には鳥居が現れます。
さらに奥へと目をやると、霧島連山の一つである「御鉢(おはち)」と呼ばれる火口跡が堂々とした姿で聳えています。
今回は見えませんでしたが、晴れた日には御鉢の背後に、高千穂峰が頭を出してくれるそうです。古代の人々がこの山を「神が降り立つにふさわしい場所」と信じた高千穂峰への玄関口、そんな景観が広がります。
ビジターセンターで知る、火山と神話の記憶
フィニッシュ地点にある「高千穂河原ビジターセンター」は、霧島山の自然と文化を学ぶには最適な場所です。ここでは火山の成り立ちや霧島連山の歴史だけでなく、「天孫降臨」の神話や、霧島が舞台となったさまざまな歴史エピソードに触れることができます。
たとえば、日本で初めての「ハネムーン」として記録されている坂本龍馬とおりょうの新婚旅行では、高千穂峰を目指してこの地を訪れました。
自らの脚でこの山を登った坂本龍馬夫妻の姿に思いを馳せ、自転車で同じ山に挑んだ自分を重ねてみるのも一興でしょう。
古宮跡と霧島神宮の歴史をたどる
高千穂河原には、霧島神宮の「古宮」趾もあります。6世紀、御鉢と高千穂峰の間の鞍部に初めて霧島神宮が創建されましたが、たび重なる噴火により消失し、平安時代にこの高千穂河原に遷座されました。しかし度重なる噴火で再び失われ、現在の地に再建されたのが1484年、今の霧島神宮です。
現在の社殿は1715年、薩摩藩主・島津吉貴により再建され、2022年に本殿・幣殿・拝殿が国宝に指定されました。
ヒルクライム後はダウンヒルを楽しみつつ、再びふもとの霧島神宮へ向かい、壮麗な社殿を参拝することで、歴史の巡りを感じることができます。
心と体に沁みるご褒美のひととき
ヒルクライムのご褒美は、登りきった達成感だけではありません。高千穂河原にある「神宮前茶屋」では、名物・霧島茶を使用した抹茶アイスクリームがオススメです。濃厚で香り高い抹茶の味わいが、火照った身体に染み渡ります。

明るく元気な女将さんとの会話も旅の思い出に。周辺情報やオススメスポットも教えてくれるので、クライム後の休憩にぴったりの場所です。
アクセスも良好! 鹿児島空港からすぐの神話エリア
高千穂河原はアクセス面でも魅力的です。鹿児島空港からヒルクライムのスタート地点までは約25kmです。鹿児島空港は更衣室やサイクルステーションが充実したサイクリストフレンドリーな空港なので、遠方からのライド旅にも最適です。
空港からは霧島連山が一望できます。到着したらすぐに、これから挑む山々を目の前にして、気持ちが高まってくるのを感じます。
神話と火山と自分自身、唯一無二の体験を
神々が降り立ったとされる神聖な山を、自らの脚でペダルを踏み込んで登る……自分自身と静かに向き合うこの時間が、どこか祈りのようでもあります。険しい登りの先に広がる景色、そして心に満ちる達成感は格別です。
霧島・高千穂河原は、単なるヒルクライムの枠を超えた「体験」として、深く記憶に残る旅になるでしょう。神話の世界に、自転車でアクセスしてみてはいかがでしょうか。
Writer: 才田直人
1985年生まれ。学生時代に通学用に購入したロードバイクをきっかけにトレーニングを開始。サイクルロードレースの全日本選手権参戦やフランスでの選手生活、国内での社会人兼選手生活を経て2023年に引退。日本だけでなく東南アジアなど自転車旅をこよなく愛し、現在はワーケーション自転車旅を続けている。専門的な知識と経験でTV出演やヒルクライムイベントのアテンド、講師なども務める。










